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かくりよの乙女〜千年恋唄〜  作者: 桜並木
第一章 巡り逢い
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8.邂逅


桜花の目の前に現れた男は神社の神主が着る様な服を着ていた。

そして何より…美形だ。

世の中には美形と言われるタイプの男性は沢山いるが比べ物にならない。

龍はみんなこんなに美形なのだろうか。

桜花がぼんやりそう思っているとーーー。


「あ〜ぁッ!やっぱりこっちの姿の方がしっくり来るな。暫くこっちの姿になってなかったから身体中ガッチガチ。んぁ〜〜ッ」


目の前の男は先程の龍の姿の時と打って変わってラフな口調で喋りながら身体を伸ばすと、呆気にとられて固まっている桜花に向き直り優しく微笑むと桜花の手を取った。


「悪い、まだ指の傷を治してなかったな」


男はそう言うと指の傷口に息を吹きかけた。

不思議な事に、それだけで傷が綺麗に無くなっていた。


「あ、ありがとうございます。あの…あなたはさっきの龍…なんですか?どうして急に人の姿に?」


男の顔が近い事にドキドキしながらも桜花は気になる事を聞いてみた。

ついでに男に握られた手を引っ込めようとしてみたが、余計に力を入れて握られてしまったため諦めた。


「んー…その辺の説明は後でする。今は礼を言わせてくれ。お前のおかげで俺はこの姿に戻れたし、隠世(かくりよ)に帰るための闔も開けた。感謝する」


そう言うと男は握っていた桜花の手の甲に唇を寄せた。


「い、いえ…元に戻れてよかったです。あ、あの、隠世ってなんですか?」


男の行動に内心絶叫しながら分からない事だらけの今の状況を理解するために更に質問を続ける。


「隠世ってのは別名を常世(とこよ)って呼ばれている。死者や(あやかし)、神が住む世界を隠世って呼ぶ。俺は龍だから元々は隠世に住んでいたんだが、ある事をきっかけにお前達人間が住む現世に住む様になった」


隠世の次は現世?次から次へとワードが飛び出して来て理解が追いつかない。


「そ、そうなんですか」


「それはそうと自己紹介がまだだったな。俺は梓拍(しはく)だ。お前の今の名前は?」


「え?あ…桜花です。船橋桜花」


「桜花か……桜花…。いい名前だな。よろしくな桜花!」


梓拍は嬉しそうに笑うと桜花を抱きしめた。

男性に抱きしめられた事など無いに等しい桜花には刺激が強すぎる。

ましてや会ったばかりのしかも美形に(これ大事)手の甲とはいえキスをされたり抱きしめられたり桜花の心臓はドキドキしっぱなしだった。


「あ、あの!離してください!距離が近いです!」


「なんでだ?せっかく逢えたのに」


「距離感が先ずおかしいです!今日初めて会ったばっかりなんですよ!?」


桜花がそう言うと梓拍は渋々離してくれた。


「俺は初めてじゃ無いんだけどな…」


「え?」


「まぁいい。とりあえず説明諸々ゆっくりしたいから日が暮れる前に隠世に帰ろう」


そう言うと梓拍は桜花の手を取って祠へ向かって歩き出す。


「え!?ちょ、ちょっと待って!どこ行くんですか!?」


「どこって…隠世に一緒に帰るんだよ」


「なんで私も!?」


「当たり前だろ?桜花は俺の唯一無二の花嫁なんだから」


「は、花嫁!?私そんな話聞いてませんよ!?」


「だから説明諸々ゆっくりしたいからって言っただろ?」


「そうゆう大事な説明は先にして下さい!そ、それに今から行くのは無理です!」


「なぜだ?」


ようやく足を止めてくれた梓拍に、桜花は明日の予定等の説明をした。

説明中、終始梓拍は嫌そうな顔をしていたが、桜花の予定やお願いは優先してくれる様だ。

暫く待っていてくれる事になった。


「待つのは分かったが、もしも桜花が嫌な思いをしたり、傷付けられそうになったらその時はすぐにでも隠世に連れて帰る。分かったか?」


「はい、それでいいです」


「桜花は俺の大事な花嫁だ、傷付ける奴には容赦はしない。一応念の為にコレを持っていろ。」


そう言って梓拍は懐から手のひらサイズのネックレスを取り出した。

ヘッド部分が牙の様な形をしている。


「カッコいい…でもお洒落」


「その牙は俺のガキの頃の牙だ。厄除けの効果があるから肌身離さず持っていろ。いいな?」


「分かった」


コレを受け取っておいてよかったと思う出来事が起こるとは、この時の桜花は思ってもいなかった。



ただ一人を除いてはーーーーーーー。



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