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かくりよの乙女〜千年恋唄〜  作者: 桜並木
第一章 巡り逢い
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6.生き物の正体

今朝尚樹から言われた事が頭から離れず、桜花は放課後までボーっとしながら過ごしてしまった。


「桜花ー?おーい!アンタ大丈夫?ずっとボーっとしてるじゃん。アイツに言われた事まだ気にしてるの?」


桜花の目の前で手を振りながら有紗が心配して来る。

ありがたい事だが今の桜花は尚樹の言葉が気になって仕方ない。


「んー…大丈夫。尚樹君、何か知ってる様な言い方してたから凄く気になっちゃってさ」


「気にしない方がいいよ?きっとアレよ!人の弱みに漬け込んで魔除けアイテムです〜とか言って高い壺買わされるやつ!」


「はは…尚樹君はそんな悪どい商売しないと思うけど」


「人は見かけによらないんだからね?」


「誰が悪徳商売人やねんアホ」


「ウギャッ!」


いつの間にか有紗の後ろには尚樹が立っていて、有紗の頭に手刀を食らわせていた。


「痛ったいわね!何すんのよ!」


「こっちの台詞や。俺の事何や思てんねん」


「尚樹君、いつから聞いてたの?」


「人の弱みに漬け込んで〜辺りから」


一番聞かれてはいけない場所をガッツリ聞かれてしまっていた。


「ぁはは…ご、ごめんね?」


「桜花ちゃんは謝らんでええよ?お前には謝って貰うけどなぁ?」


そう言いながら尚樹は有紗の頭をゲンコツでグリグリしていた。


「痛いっての!私が悪かったからもうやめて!」


「おう、分かればええねん」


仲がいいなぁと思いながら桜花は二人のやり取りを見ていたが、ふと視線を感じて窓を見ると、窓の縁に今朝の生き物が綺麗な蟠を巻いて鎮座しているのを見つけてしまいーーーーーー目が合ってしまった。


『娘、今すぐ我と共に来い』


その生き物は目が合った途端桜花に話しかけて来た。

周りに聞こえるんじゃ!?と思って桜花は周りを見回すが、誰も気づいた様子は無い。

それどころか時が止まったかの様に誰一人として動いていなかった。


「なんなの…これ?時間が止まってる…?」


『人間などに龍である我の姿は見えぬだろうが…見える者もいる様だから要らぬ騒ぎを起こさぬ様にした』


時間を止めるという事はやっぱりこの生き物は普通の生き物では無いのだ。

今朝のは見間違いでは無かったと桜花は思う。


「あなた龍なの?時間を止められるって事は魔法も使えるとか?」


『我のこの姿を見ても驚かぬ上に素っ頓狂な感想を述べる天然さ…やはり何も変わっておらぬの』


「え?私あなたと会うのは今朝が初めてだけど…」


『其方は何も憶えておらんだろう。だが我は其方を憶えておる。…いや、其方の魂をと言った方が良いかの。とにかくこんな所で無駄話をしている暇は無い。すぐに今朝の場所まで来るのだ。良いな』


何の事だかさっぱり分からない桜花を尻目に、龍は言いたい事を言ったらさっさとフヨフヨと飛んで行ってしまった。

龍が居なくなった途端、周りに騒がしさが戻る。

有紗と尚樹の言い争いも聞こえたが、桜花は龍の後を追う事にした。


「ごめん有紗!尚樹君!用事思い出したから先に帰るね!また明日ね!」


「え?あー分かった。また明日ね〜」


「…早よ行った方がええで?気ぃ付けてなー」


若に宜しゅうと小声で言った尚樹の言葉に桜花は首を傾げながらも今朝の場所まで急いで向かった。





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