5.その言葉の意味は?
「はぃ?何それウケる。桜花、アンタ寝ぼけてただのヘビを見間違えたんじゃないの?」
学校に着いた桜花は早速有紗に今朝の出来事を話した。
まぁ、信じてはくれないだろうと思ってはいたが、予想通りの反応だ。
「ホントだってば!しかもその変な生き物喋ったんだよ!?」
「分かった分かった。とりあえずその話は他の奴らに話しちゃダメだからね?おかしな子って思われちゃうから」
「むぅ〜…ホントなのに」
有紗の言う事も尤もだと思うと桜花は何も言えなくなる。
「それよりさ、明日何時頃家に来る?私的には朝からがいいんだなぁ。アンタをあの家に居させたくないし」
有紗の気遣いに嬉しくなる。
「私は何時からでも大丈夫だから、朝ご飯食べたら行くね」
「あいよ、じゃー待ってるから」
「あ、後さ、おじいちゃんの家に行ってもいいかな?明日誕生日だから遊びにおいでって言ってもらったの」
有紗と仲良くなるまで、家族の輪に入れずに寂しい思いをしていた桜花の味方だったのが祖父母だ。
何度も両親に桜花と楊花を差別するなと注意してくれていたが、両親の耳には届いておらず、寧ろ小言ばかりを言われるからと遠巻きにされてしまっている。
「いいよいいよ。せっかくなら行って来な」
「有紗も一緒においでって言ってたよ。明日有紗の家でお祝いしてもらえるって伝えたら、人数多い方が楽しいだろうからって」
「マジ?んじゃお邪魔しちゃうー」
祖父母は桜花と仲良くしてくれる有紗の事も可愛がっていた。
有紗も行くと知れば喜ぶだろう。
「なーなー、何の話しとるん?」
そう話しかけて来たのは先日転校して来た狐坂尚樹だ。
関西の方から越して来たらしく、その人当たりの良さと人を笑わせる性格ですぐにクラスの人気者となりムードメーカーの役割を果たしている。
「明日の桜花の誕生日の話ー。色々計画立ててんのよ」
「マジ!?お前明日誕生日なんか!そらおめでとうさん!」
「ふふ、ありがとう」
桜花は笑って尚樹の顔を見たが、その時尚樹の顔は笑って無かった。
何かを真剣に考えるような仕草で何かを呟いていた。
『マジかぃ…若、間に合うか?』
「何か言った?」
「ん?なーんも言うとらんで?あ!って事は楊花ちゃんも誕生日やろ?」
「え?うん…」
「デート誘うてみようかなー?俺顔はそこらの男に負けんし?トークスキルも高いやん?楊花ちゃんもイチコロやんな?」
そう言いながら尚樹はモデルの様なポーズをしてキメ顔をして来る。
「はいはい、無駄な夢見て玉砕して来な」
そんな尚樹を有紗はバッサリ切り落とす。
「ひっどいなぁー!口の悪ぅ女はモテへんで!」
「もう!アタックするならさっさと行った!ここで楊花の話なんかしないでよね!」
「おー怖!さっさと退散しよ。あ、せや桜花ちゃん」
尚樹からは先程のふざけた表情は消え、真面目な顔で桜花を見つめた。
「なに?」
「もし何かが見えるようなったら…気のせいちゃうで。そらキミの運命や。」
「え?何の事?」
「いずれ分かる事やから今はまだ分からんくてええ。でもせやな…なんか困った事あったら俺ん家来ぃ。実家神社やから」
そう言うと尚樹は教室から出て行った。
きっとさっき言った通り楊花にデートの申し込みにでも行ったのだろう。
「何アイツ?桜花、気にしない方がいいよ」
「う…うん」
有紗からは気にするなと言われたが、今朝の事もあり尚樹の言った事が頭から離れなかった。
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