2.誕生日は?
「って事があったんだよ朝からさぁ〜…」
遅刻ギリギリに学校に着いて早々、幼馴染の有紗に理由を聞かれたので正直に答えた。
ちなみに有紗は唯一楊花の裏の顔を知っている。
他の友人達は「楊花に限ってそんな事あるわけない」と私の話を信じてくれなかった。
「ホンット性格悪いね楊花って!アンタ達ホントに双子なの?性格真逆過ぎない?」
「まぁ、楊花は外面…と言うか、人当たりは良いし美人だから疑われても仕方ないと言うかーーーふぎゅッ!」
「そーゆう事を言ってるんじゃ無いっての!」
楊花と自分を比較してネガティブな考えを始めた桜花の鼻を有紗が摘まんで黙らせる。
「性格はどうにもならないとしても、アンタも化粧すれば楊花に負けないと思うんだよねぇ〜?せっかくの土台が勿体ない!」
「う〜ん…化粧しても変わらないと思うよ?楊花は小さい頃から可愛かったし才能もあるし器量も良かったからなぁ」
「可愛くて才能あり器量良しだろうが何でも許されると思ったら大間違いだって教えてあげないと!このままだと次に彼氏出来てもまた2〜3日で盗られるよ?」
有紗の言う通り、今まで付き合った人は全員漏れなく楊花に掠め取られている。
最長10日、最短2日だ。
中には桜花と付き合えば楊花とお近付きになれるという下心で告白して来た男もいた。
「しばらくは彼氏とか要らないかな…。私に告白して来る人って大体が楊花狙いだもん。いい加減学んだよ」
「アンタって子は…。あぁー!もうやめやめこんな話!なんか楽しい話しよ!ていうかアンタ達もうすぐ誕生日じゃん?どうするの?」
有紗から振ってきた話なのに…と心の中でツッコミを入れながら、桜花は1週間後にやって来る誕生日の事を考えた。
「どうするって言われても…多分今年はお父さんもお母さんも楊花の分しか準備してないんじゃないかな?去年誕生日が私と一緒なの嫌だって楊花に泣きつかれてたから」
自分で言って悲しくなって来る。
両親は楊花のお願いは全て叶えてくれる。
桜花のお願いは二の次三の次なのだ。
「え、マジで言ってるそれ!?妹が妹ならその親も親だね。ならさ、桜花は誕生日私の家に来なよ!ウチで誕生日のお祝いしよ?」
「いいの?」
「いいのいいの!てか、ウチの親がすごく心配しててさ、桜花ちゃん連れて来なさい!ってうるさいの」
身振り手振りで自身の母親の真似をする有紗に笑ってしまう。
有紗からそんな提案をされるとは思っていなかったから、嬉しさで目が熱くなる。
「こんな事で泣いてどーすんのよ!よし、決まったしお母さんに連絡しとく。多分万歳して喜ぶわ」
「うん!ありがとう有紗!」
こんなに誕生日が待ち遠しいと思ったのは何年振りだろうか。
初めて友人と過ごす誕生日だ。
きっと今までで1番楽しい誕生日になる。
桜花はこの時はそう思っていた。
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