23.気分はロイヤルファミリー
「「お帰りなさいませ若様。ようこそおいで下さいました姫様」」
門を潜ると、ズラッと並んだ使用人だろう人達が出迎えてくれた。
ロイヤルファミリーになった気分だ。
「長い事留守にして苦労をかけた。俺の花嫁の桜花だ。皆相応の待遇をする様に」
「「かしこまりました」」
使用人達は桜花に恭しくお辞儀をした後、初老の女性と若い女性ニ人が前に出て来た。
「本日姫様のお世話をさせて頂きます、わたくしはカヨと申します。こちらの若いのはサヤ。ここまでの道中お疲れでございましょう。お部屋の御用意は出来ておりますのでご案内致します。こちらへどうぞ」
そう言うとその使用人はいつの間に持ったのだろうか、桜花の荷物を持って歩き出したので桜花は慌ててついて行く。
梓拍も一緒に行こうとしたが…。
「若、よもや祝言を挙げてもいないのに女人の部屋まで行くおつもりで?若がいない間に溜まりに溜まった仕事が沢山あるんです!行きますよ!」
と、執事であろう男性に引き摺られて連れて行かれた。
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「本当は姫様の為にと景色が1番綺麗なお部屋をご用意していたのですが…事情がございまして…。この様な部屋にしかお通し出来ず残念です…」
とサヤが申し訳なさそうに言った。
桜花の為にと準備された部屋は玄関口から1番離れているらしく、結構な距離を歩いた。
使用人曰く、龍の花嫁である桜花を狙う不届者から桜花を守る為に最奥なのだそうだ。
疲れているだろうに更に疲れさせて申し訳ないと謝られてしまった。
それよりも、既に自分が狙われる立場にあると言う事実に桜花は驚いた。
「私って誰に狙われているんですか?梓拍は何も言ってませんでしたけど…」
「姫様は御生まれになった当時からその座を奪わんとする者や、若様達と敵対する妖共から狙われておりました。だからあれ程早く見付けて保護なさいませと進言してましたのに若様ったら…」
とカヨがクドクドと梓拍に対しての愚痴を言い始めた。主人の愚痴を言って良いのかと疑問に思ってサヤの方を見ると、サヤまでうんうんと頷いているので黙って聞く事にした。
「あら嫌だ!わたくしとした事が姫様の前でとんだ失礼を!申し訳ございません」
とカヨは謝って来たが、愚痴を吐いて清々した顔を見る限り梓拍に対しては悪いとは思っていなさそうだ。
そうして話している間に部屋に到着した。
両肩に乗っているヒイとスイが何かを訴える様にピーピー鳴いている。
「どうしたの?部屋に何かあるの?」
「式ちゃん達は沢山飛んだからお腹が空いてしまった様ですね。お部屋にご用意したお菓子が食べたいそうです。式ちゃん達には専用のオヤツを準備して貰いますからね」
カヨはヒイとスイが言ってる事が分かる様だ。
自分達専用と聞いたヒイとスイは何を貰えるんだろうかとワクワクしている。
知らない所に来たから緊張して静かにしているのかと思いきや…お菓子に釣られてしまうとは、マイペースな式神達である。
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