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かくりよの乙女〜千年恋唄〜  作者: 桜並木
第一章 巡り逢い
20/24

19.番外編〜とある二人の恋愛事情〜



「俺な、有紗の事めっちゃ好きやねん。付き合ってくれへん?」


「へ!?」


桜花のおじいちゃんの家からの帰り道、家まで送ってくれた尚樹から突然告られた。

あんまりにも突然だったから自分でも驚くくらい変な声が出た。


「だから、俺有紗の事がーーー」


「聞いてた!聞いてたから2回も言わないで恥ずかしいから!」


私が聞いてないと思ったのか、尚樹がもう一回告ろうとして来たのを思わず止めてしまった。

だって、今までただの友達としか見られていないと思っていたから。

実を言うと、私は転校して来た時から尚樹の事が好きだった。所謂一目惚れと言うやつ。

本当はすぐ話しかけたかったけど、周りの子達みたいにイケメンにキャーキャー言うタイプじゃ無かったから、興味無いフリをしていた。

そしたらまさか尚樹の方から近づいて来てくれたから嬉しくて顔がニヤケそうになった。バレない様に必死に抑えていたけど…。

桜花はなんとなくだけど気付いていたっぽいけど、私に合わせてくれたのだろう、知らないフリをしてくれていた。ホントいい子。


でも、最初は尚樹も楊花目当てで桜花に近付いてきたんじゃ無いかって警戒もした。

だってアイツ、何かある度に楊花ちゃん楊花ちゃんて言ってたから。

何より、好きな人が他の女の子の話ばっかりして来たら誰だってムカつくよね?

だから悪態吐いたり、ど突いたり。

でもその後すぐに嫌われたらどうしよう…って後悔した。


今思えば、尚樹が近付いて来たのは桜花が龍の花嫁で護るべき対象で、妹の楊花にガラ…ナントカって変なのが憑いていて、そいつを見張る為だったから。

私はその場に居合わせただけのオマケ。きっと眼中に無いんだろうな…。

そう思っていた矢先の告白。

正直、私の何処が良いのかさっぱり分からない。

でもコレは私の人生最大のチャンス!

逃してなるものか。


……明日槍でも降るのかな。


「返事…聞かしてくれへん?いや!別に今すぐじゃ無くてええねん!じっくり考えてからでも遅無いし、別にーーー」


「良いよ」


「ふぇ!?ホンマ!?」


焦った様に喋り出した尚樹に返事をすると、今度は尚樹が変な声を出したから笑ってしまった。

尚樹の正体が実は妖狐だって事には驚いたけど、好きになっちゃったのは仕方ないよね?


「ホンマに!実は私も尚樹の事好きだったし」


そう言った私に尚樹は抱きついて来た。

心臓に悪い!


「ホンマやな!?夢ちゃうよな!?俺妖狐やけどかまへんねやな!?めっちゃ嬉しいわぁ!」


「分かったから道の真ん中で騒がないでよ!」


まさかこんなに喜ぶなんて思ってなかった。

今日は桜花の誕生日だけど、私に彼氏が出来た記念日にもなった。

これって龍の御利益なのかな?

とにかく、きっかけをくれた桜花と梓拍さんに感謝しなきゃだね。

明日桜花が学校来たら報告しよ。どんな顔するかな?喜んでくれるといいな。


と思ってたのに、次の日桜花は学校に来なかった。

何かあったのかと尚樹に聞いたら、帰ってからの修羅場と、桜花が既に梓拍さんと一緒に隠世に行ってしまったと聞いて倒れそうになった。

さよなら出来なかった寂しさで尚樹に八つ当たりしちゃったけど、尚樹は怒るどころか「またすぐ会えるから、今は我慢しぃ」と頭を撫でてくれた。うぅ…何だこのスパダリ感、カッコいいんだよバカ。


桜花が最後まで家族と良い関係になれなかったのは残念だけど、梓拍さんが守ってくれるから安心出来るかな。

今はただ、隠世に行った桜花が笑顔で過ごしてくれる事を願う。


桜花、今度はちゃんと幸せになるんだよ。




「ねぇ尚樹。私の何処が良かったの?」


「ん?誰にでも物怖じせんとハッキリものを言える所やな。俺気ぃ強い女がタイプみたいや。あと、俺の正体知っても見る目変えんかったやろ?あれが決め手」


「私そんなに気が強い?」


「せやな。俺のオカンより気ぃ強いかもしれん。俺将来有紗の尻に敷かれる様になるかも知れんな」


「将来って…先の事なんて分からないでしょ」


「妖は一度惚れたら相手死ぬまで心変わりなんかせん。有紗の気ぃが変わっても必ず俺んトコに戻る様に仕向けるしな」


「は!?何それ怖ッ!」


「怖ーい事、された無かったら…浮気なんかしたら…アカンで?」


尚樹の笑顔が物凄く黒く感じて、私は何度も頷いた。

まぁ、浮気なんかする事は無いだろうね。

尚樹にしか興味無いから。



後日、二人が付き合っていると知った尚樹ファンの女子達から有紗は嫌がらせを受けるが、何倍にもしてやり返し、もうしません!勘弁してください!と泣いて謝らせ、更に尚樹が有紗に惚れるようになるのは別の話。




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