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かくりよの乙女〜千年恋唄〜  作者: 桜並木
第一章 巡り逢い
2/24

1.夢と現実


『ーーーーーー』


ー誰?


『ーーーーーー』


ー何?聞こえないよ。


『ーーー、、、』


ー待って!行かないで!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ハッ!」


目を覚ますといつもの朝。

いつもの部屋。

いつものベッド。

代わり映えの無い1日が始まるのだ。


(変な夢だったなぁ…あれ?どんな夢だっけ?)


不思議な夢を見た気がする。

だがどんな夢だったのかが思い出せない。

きっと大した夢では無かったのだろう。

まだ重い瞼を擦りながら桜花(おうか)は身体を伸ばし、身支度を整え、朝食の準備をするためにリビングへと降りた。


リビングに入ると既に双子の妹の楊花(ようか)がいた。


「桜花遅ーい!早くしないと遅刻しちゃうじゃない!」


「ごめん!今準備するから!」


「早くしなさいよね!」


桜花達の両親は共働きな上、夜勤もあり家を空ける事が多いため、母親がいない時は桜花が家事をしている。

楊花は何もせず座っているだけ。

以前それを指摘して、一緒に家事をやる様にお願いすると

『は?私が家事なんて出来るわけないでしょ?大切な指に怪我でもしてピアノ弾けなくなったら桜花責任取れんの?』

と一蹴。

挙句、その事を両親に歪曲して伝えた様で、逆に桜花が叱られてしまった。


楊花は天才ピアニストと呼ばれる程ピアノの腕が良い。

将来はピアニストになるそうだ。そのために高校卒業後は有名な音大に入学する事が既に決まっている。

幼い頃からピアノを習い、コンクールで賞を獲る程だ。

桜花も一緒にピアノを習っていた。幼い頃は桜花の方が上手だったが、小学5年生の頃辺りから楊花の方が上手になっていき、逆に桜花は弾く事が出来なくなってしまい、楊花程の才能は無かったのだと早々に辞めさせられた。


楊花への期待が大きい分、両親は楊花にしか関心が無い。

桜花にもそれなりに愛情を込めていただろうが、楊花と比べたら雀の涙程だ。


楊花もそれを分かっている。

双子でも、妹でも、自分の方が立場が上だと認識している。

両親に期待されている自分は姉を顎で使って良いのだと。


幼い頃は仲が良かったが、成長するにつれて楊花の桜花に対する態度は酷くなっていた。

それを両親に伝えた事は何度かあった。

だが信じては貰えなかった。

楊花は両親、学校、友人の前ではとても人当たりの良いいい子を演じているのだ。

中学の頃、楊花の裏の顔を友人に話したら信じてもらえず、挙句には人気者の妹を妬む姉というレッテルを貼られ、楊花に庇われ好感度アップに貢献してしまった。


「てか、桜花がこの時間に起きて来るなんて珍しいじゃん。何?彼氏でも出来た?出来たなら何で報告しないのよ。紹介しなさいよね」


昔の事を考えながら朝食の準備を終え、黙々と食べていると、唐突に楊花から話しかけられた。


「ただ変な夢見て寝付きが悪かっただけだよ。てゆうか、彼氏出来たとしても楊花に紹介なんかしないよ。どうせまた盗るんでしょ?」


「人聞きの悪い事言わないでくれる?私の方が魅力的だからみーんな私の方に来たってだけよ。あんなイケメン達桜花みたいな地味女には似合わないから貰ってあげたの♪むしろ感謝して欲しいくらいだわ」


きっと悪いとは微塵も思っていないのだろう。

楊花のお願いは必ず叶ってきた。

例え人の物であろうと楊花が欲しがったらその時点で楊花の物になるのだ。


理不尽すぎる…。

そう思って言葉を出そうとするがーーー。


「あ、ヤバ!遅刻しちゃう!じゃ桜花後片付けよろしく〜♪精々遅刻しない様にね〜♪」


と矢継ぎ早に言い残し、楊花は1人だけ先に学校へと行ってしまった。


「…はぁぁ〜〜〜…」


桜花は盛大な溜息を吐きながら急いで後片付けを済ませ、自身も学校へと急いだ。





面白い、続きが気になる!って思っていただけたら高評価お願いします。

誤字脱字等ありましたらご指摘下さい。



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