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Kiss of Vampire  作者: かなみち のに
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12月になると学校公認で幼稚園や保育園、老人介護施設等

地域のボランティア活動参加の一環として

何故か「魔女の格好」をさせられ、それらの施設を巡る。

「何言ってるの。アナタも魔女でしょ。」

神流川蓮は自身がアルバイトをしている幼稚園に俺を指名までした。

「それに去年のアレももう一回見たいし。」

まさかまた女装させるつもりか。

「魔女なんだから魔女の衣装を着るだけ。何の不思議も無いでしょ。」

「イヤがったら連絡しろって絢さんから言われてるけどイヤがったりしないでしょ?」

俺の魔女衣装姿見ても楽しく無いでしょ

「大丈夫。今回は1人じゃないから。」

どうして津久田伴は断らないのか。

どうしてこんなにもノリノリなのか。

「ワタシも魔女になるですのか。」

さすがにニコラ・ルナプリアは似合うな。

「日本のクリスマスは皆さん魔女になるですな?」

昨年はサーラ・プナイリンナも同じ格好をした。

写真を撮って送ったら喜ぶと思う。

「でも魔女の格好するのは日本でもここくらいじゃないかな。」

この街がオカシイだけ。

「ニコラの国ではどんなクリスマスなの?」

「お休みになりますです。」

「街はキラキラになりますです。」

子供達は聖歌隊を組んで近所の家で歌う。

するとその家の人がお菓子をくれたりお小遣いをくれたり。

「そして夜は家族います。」

ニコラがぼそりと言った。

「ワタシも帰りたい。しかしママ忙しいです。ママ帰れないです。」

「じゃあウチに」

と3人が同時に声を掛けた。

「神社の娘が何を言うか。」

「クリスマスにおでん食べるような猫に言われたくないわっ。」

「にゃにおうっ。」

お前ら全員で集まったらいいだろ。どうせ冬休みなんだ。

「それだ。」


俺は「お前ら」と言ったはずなのにどうして俺が会場の手配まで。

さすがに南室家では狭いな。

橘家か小室家か三原家。広い場所には困らないが

当人が誘っていた事もあるし橘家が妥当か。

「待てっ。ウチを使え。許可する。」

放課後の道場でその日最初に会った候補者として相談を持ちかけた小室絢が言った。

よろしいのですか?

小室絢さんはその、恋人とお過ごしになるのでは。

「いっっ。そんな心配はいいんだよっ。」

「ただ条件がある。」

はい?

何のことはない。条件とは「小室道場のクリスマス会の設営と運営と片付けの手伝い」

それなら去年もしています。

俺達の会の場所提供がなくてもそれはお手伝いします。

「お前はイイ奴だなぁ。」

「でも条件てもう1つあるんだよ。」

この「小室絢の企み」がきっかけで

クリスマスイブの夜はとてつもなく大事になってしまった。


最初に橘結に声をかける。

「勿論いいわよ。でも何で綸君が幹事やってるの?」

気付いたらそうなっていただけです。

「面倒事引き受けるの好きよね。」

好きではありません。

綴さんに参加を要請すると

「当たり前でしょっ。」

と結構本気で怒られた。

橘結と南室綴。この2人は何があっても参加してもらう。

2人が参加しないのならこの会は中止だ。

順番的に次いで三原紹実。

「あー実は恋人と。」

「うそこけっ」

「はいはい嘘ですよ。でもオバサンが行っちゃっていいのかよ。」

オバサン?冗談でも自分をオバサン呼ばわりしたら

本物の世のオバサンに怒られますよ。

い、友維さんはどうでしょう。

「まあ兄ちゃん達はヨーロッパだしどうせ暇だし。」

「何それ。綸といっ」

「黙れオバサンっ。」

「何だったら他の魔女達も誘ってやったら。」

「うん?お前何か企んでいるな?」

いえ。俺は何も企んでいません。

神流川蓮。藤沢藍。渡良瀬葵の連絡先は知っているので

鏑木姉妹の、たしか姉の鏑木華奈の連絡先だけ。

突然申し訳ありません。

小室家でクリスマス会を執り行うにあたり参加していただけないかと。

「それは構わないけど私達も一緒でいいの?」

参加していただかないと困ります。

「リナが今年こそ帰るって言っていたから一緒でもいい?」

はい。喜んで。

それと鏑木華奈さんには折り入って秘密のお願いがあります。

「うん?」

彼女は快く承諾してくれた。

当日は彼女の家に迎えが必要になる。その手配もしないと。

声をかけるのはこのあたりだろうな。

いや。

肝心な人を忘れていた。


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