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Kiss of Vampire  作者: かなみち のに
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魔女が相手の正体を知ったのはいつなんですか?

「先週だよ。」

その割にニコラ・ルナプリアを避難させるのが早かったですね。

「疑惑はあったんだ。」

ロゼの分家を追い、歴史を遡り、候補者をリストアップ。

「危険な芽は早めに摘む。」

意味違いますよ。

「最終的には姫様から例の触媒の出処を探って辿り着いた。」

「同時にプナイリンナんとこの王女様がイロイロと号令出していたから。」

号令?

「あの人ホラ、自分が人質にされるような危険があったのを知って」

「魔女に協力するフリして本当に協力したんだ。」

「知り得る全ての人脈を利用するって息巻いてたんだって。」

「それで狙われたら返り討ちにするってさ。」

王子様大変だな。

「その甲斐あって突き止めた。」

ニコラ・ルナプリアの母親はどうなるのでしょうか。

「さあな。そこまでは判らない。」

「真意がどうあろうと問題を起こしたのは事実だ。」

「佳純が狙われたのも、そのために土地を穢したのも。」

「言わなかったけど、それは日本だけじゃ無い。」

市野萱友維は、数年前にアメリカで起きた裁判の話をした。

ヴァンパイアが「自分たちは本物」だと主張し

過去の創作物全てに対して権利の使用料を支払えと申し立てた。

「そんなアホな連中本当にいたの?」

「その主張の元はティナの入れ知恵なんだ。」

ティナがヴァンパイアの権利を主張する事により「暴走」してしまった。

「大変だったんだよ。」

橘結はとても悲しい表情を浮かべた。

主張したヴァンパイアは、センドゥ・ロゼによって滅ぼされた。

彼はヴァンパイアの不祥事を、その業を背負った。

「対象は魔女にも及んでいたんだ。」

委員会と呼ばれる組織がその対象を魔女に限定した。

魔女は他の「継ぐ者」とは異なる位置にカテゴライズされている。

一般人であると同時に一般とはかけ離れた技術を継承している。

敵視される要素は常に存在していた。

ティナはその心理を利用し魔女の撲滅を計った。

彼女がその誇りや権利を取り戻すには

正義の定義を変えてしまう以外方法は無い。

力尽くで、犠牲を伴ったとしてもそうするしか道は無い。

「母のしている事は許される事ではない。」

「相応の罰は受けなければならない。」

ニコラ・ルナプリアは自分に言い聞かせながら泣いた。

きっと素敵な母親なのだろう。

娘には何も伝えず、たった1人で全てを背負った。

娘に罪が被らぬよう細心の配慮を行った。

母を失う悲しみは誰にも癒せない。

それを知る橘結は彼女を抱きしめ一緒に泣いていた。


文化祭二日目。

ニコラ・ルナプリアは登校する。

「お休みはホームステイの人々が心配。」

「しばらくうちに泊まってもいいよ?」

「はい。考えます。ありがとうございますカスミ。」

ニコラ・ルナプリアが母の元に戻る「手土産」として

橘結か橘佳純を手に入れる。

この可能性について言及したのは

当人であるニコラ・ルナプリアだった。

「私は考えた。私が母の元に戻れる唯一の方法。」

「貴女達姉妹は私がそれを実行する可能性を全く考慮しない。」

この姉妹はどうかしている。

「本人目の前にどうかしているってどういう事よっ。」

いや、お前達はどうかしている。

人を疑わないのではない。信じ込ませてしまうのかとも思ったが違う。

極端に言うなら、こちら側の罪悪感に訴えるようだ。

「そんな便利な技は無いっ。」

言動や行動による誘導とか催眠とか魔法とかの類じゃない。

お前達の存在がそうさせているとしか思えない。

「やめてっそんなに高尚なっ手を合わせるなっ。」

「はーありがたや。」

「拝むなっ。」

「歩くパワースポット。」

「手をかざすなっ。」

「本当におかしな人達。」

ニコラ・ルナプリアの笑顔から痛々しさが消えた。

「達って言うなっ。」

「親分が何を言うか。」


ニコラ・ルナプリアの母親がどのような処分を課されるのかは聞かされていない。

そもそもそのティナと呼ばれている彼女は捕らえられてもいない。

確証が無いのだろうか。

それとも彼女の他に黒幕がいるのだろうか。

復讐だとか復権のために、現在進行系で「何か」が行われているのだろうか。

ニコラ・ルナプリアは母親に連絡をとった。

留学してからの「いつもの」連絡。

「何も変わらなかった。何も聞けなかった。」

知らないと思わせているのが娘としての親切なのだろうか。

それとも娘の口から全て語らせるべきなのだろうか。

魔女達はニコラ・ルナプリアに何も要求しない。

三原紹実や市野萱友維に尋ねても

「魔女が口を出す問題じゃない。」

と言われるだけだった。

ニコラ・ルナプリアに何も教えないのは彼女を苦しめるだけではありませんか。

「お前の言いたい事は判る。」

「だから言うな。これは私達の問題じゃ無いんだ。」

元々は一部のヴァンパイアの権力闘争に過ぎない。

魔女達は橘姉妹を守っていただけ。(委員会の件もあるが)

「ニコラの母親を魔女の都合だけでどうこうは出来ない。」

この問題を片付けられるのはただ1人。

サーラ・プナイリンナ


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