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Kiss of Vampire  作者: かなみち のに
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面倒な事になった。

とても面倒な事になったので市野萱友維に連絡を取った。

市野萱友維はニコラ・ルナプリアを連れて来いと行った。

放課後、橘佳純にニコラを誘わせ三原家へ。

「久しぶりだなニコラ。」

「ユイ・イチノカヤ。アナタがどうしてここにいるだです。」

「私も関係者だからだよ。」

2人は知り合いなのか。

ニコラ・ルナプリアは戸惑いの表情を浮かべている。

彼女は至って真面目に

「リン・ナムロの唇を奪いカスミ・タチバナを守る。」

つもりで留学してきた。

"彼女は

俺と橘佳純との関係については承知している。"

和気藹々と、和やかに会話しているこの状況を理解できるだろうか。

「リン・ナムロはカスミ・タチバナを狙っていない?」

「そうだよ。」

市野萱友維は簡単に認めてしまった。

彼女はニコラ・ルナプリアの素性を知っている。

「よく遊びに来てたんだよ。」

市野萱友維は一時期フィンランドで暮らしていた。

その滞在先がプナイリンナ家。

ニコラ・ルナプリアは何度かプナイリンナ家を訪れている。

「説明を求めます。」


ニコラ・ルナプリアはルーマニア(ペンシルバニア)のヴァンパイア。

彼女が俺の唇を狙い、橘佳純を守ると言った理由は

少々屈折してとても手間を掛けた理由から始まる。

プナイリンナ家とルナプリア家は古くから親交がある。

東欧のルーマニア。北欧のフィンランド。

共にそれぞれの地方では大きな影響力を持ち、

それぞれのヴァンパイアは年に数回親睦を深めるために互いの土地を訪れている。

ニコラ・ルナプリアはプナイリンナ家の王子を尊敬し、憧れていた。

幼い頃に「好意」「恋心」を抱いていた事をあっさりと認めた。

そのエーリッキ・プナイリンナ王子からの直々の「お願い」。

彼は「王女の日本での悪戯」について話す。

それが王女の意に反して思いも寄らず「大袈裟に」「大事に」なったと言われても

ニコラ・ルナプリアは微塵も疑わなかった。

しかし市野萱友維はニコラ・ルナプリアに対する説明をここで止めた。

その理由はすぐに判明する。

エーリッキ・プナイリンナが来日したのは翌日の早朝だった。

俺と綴さんが橘家に呼ばれ、到着すると橘結は神社の境内で待っていた。

ほんの少しの日常会話の途中、エーリッキ・プナイリンナが現れる。

「いらっしゃい王子様。」

「王女の夫ってだけだよ。キミ達はまだ結婚しないの?」

「何言ってるのよ。貴方達が引っ張り回してるくせに。」

「ボクはそれほど。確かに今回の件では彼の協力は不可欠だけど」

彼は橘結ととても親しそうに話す。

サーラ・プナイリンナ王女の夫。プナイリンナ家の婿。

ニコラ・ルナプリアに「説明」するために来日。

「いや、それだけが目的じゃないよ。」

他にも何か

「ボクはキミに会いに来たんだ。」

その目的は?

「まあとにかく入って。話は中でしましょう。2人も待ってるから。」

2人?

橘家には市野萱友維とニコラ・ルナプリアがいた。

「こんな朝早くに到着するなよ。」

「王子に向かって失礼です。」

「王子様なら融通効かせてプライベートジェットでも何でも使えよ。」

ニコラ・ルナプリアは市野萱友維の不平に怒るが

「2人とも相変わらずだネ。」

「目立つ行動は避けようと民間機の手配をしたのだけど。」

「フライトの時間まで計算していなくてね。申し訳ナイ。」

長旅で疲れているだろう事は市野萱友維も承知している筈だ。

それでもこうやって悪態を吐くのは

両者がそれほど親密だから。なのと同時に

エーリッキ・プナイリンナに対する魔女の印象を

ニコラ・ルナプリアに見せつけるためだった。


エーリッキ・プナイリンナはニコラ・ルナプリアに「釈明」をしない。

彼のニコラに対する要請(依頼)は全て「真実」。

しかしその全ては魔女の(特に碓氷薫)の策略であり、計算であり、手筈だった。

エーリッキ・プナイリンナは魔女の口からサーラ・プナイリンナの「悪戯」を知る。

この「悪戯」は事象は事実だが「意味」は異なる。

この時既に本当の意味をサーラ・プナイリンナから直接聞いている。

そして「大事」にしたのは魔女自身なのも彼本人は理解している。

それでも魔女の言う通りニコラ・ルナプリアに伝えたのは

「当面、ニコラ・ルナプリアが敵対するのは魔女であるべき」

と方針を打ち出した御厨理緒の案による。

つまり、エーリッキ・プナイリンナは魔女を信じたがために

ニコラ・ルナプリアは彼を「嘘付き」呼ばわりする事にならない。

何故そこまでしなくてはならないのか。

そんな回りくどい方法で

態々プナイリンナ家王女婿まで遠い地に呼び寄せて。

「説得力だよ。リン・ナムロ。」

「カスミを狙う連中の目をキミに向けるには説得力が必要なんだ。」

もう一つ、重要な話があると言っていたが

学校に行く時間になり、続きは帰宅後。

おそらく、エーリッキ・プナイリンナの来日のもう一つの目的の事だろう。


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