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Kiss of Vampire  作者: かなみち のに
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005

橘結がオカシナ事を言うから集中できない。

案の定小室絢に

「お前ちょっと外れてろ」と言われてしまう。

すると、剣道の防具を着けた奴が近寄ってきた。

週末の自主練習は空手も剣道も混ざって行う。

「何やらかしたんだ?」

宮田桃。彼女は時折体を動かしに来るそうだ。

何もやらかしてなんていません。ちょっと集中できなかっただけです。

「何だ?悩み事か?アタシに聞かせろ?遠慮するな。な?」

好奇心が強いのは猫だからか。


週明け月曜日。朝から津久田伴が俺に纏わりつく。

「何か困ってる事あったら聞くぞ?」

何?

「桃さんから聞いたぞ。」

何を言ったのか。

何も困ってないから安心しろ。

「いやいや。それじゃ俺が困る。何か心配しろ。」

何を言っている。

「桃さんに「俺に任せろ」って言っちゃったから。」

なるほど。

「だから困れ。な。桃さんにイイとこ見せさせろ。協力しろ。」

凄い奴だ。

「お前の心配なんかしていない。俺の心配だ。」とハッキリ言った。

それじゃあ一つだけ

「お。何だ。場合によっては協力してやらなくもないぞ。」

ぜひ頼む。

最近学校で獣臭いヤツが近寄ってくるので対処方法を知りたい。

「ぬっ。」

「お前、トモダチ失くすぞ。」

最初からいないからそれこそ余計なお世話だろうな。

それでも津久田伴は何かと俺に声を掛ける。

結構酷い事を言ったつもりだった。

なのにどうして近寄ってくる?

「あ?桃さんに「アイツとトモダチになってやれ」って言われたからだ。」

ああなるほど。

「だから協力しろよ。」

判った。宮田桃の前ではトモダチのフリをしてやる。だから学校で

「桃さんを騙すような事できるわけねぇだろ。」

初めて本気でイラっとしたなコイツ。

となると面倒だな。

宮田柚。

「うわっ綸が話しかけたっ。聞いたよな?空耳じゃないよな。」

敷島楓は言葉を失くしてこくりと頷く。

何を驚く。

「そ、そ、それで何だ?血か?アタシの血液が欲しいのか?」

要らんわ。

「うわーっ綸がアタシのボケに突っ込んだ。」

悪かったな。もういい。

「まあまあ怒るな。で?何だよ。」

津久田伴と俺は友人だと証人になってほしい。

「あ?」

「伴ちゃんが桃姉ちゃんに何か言われたな?」

敷島楓が察した。

そうだ。宮田桃からの依頼だ。

だからそうなったと伝えてほしい。

「アタシに嘘吐けってんだな?」

嘘ではない。宮田柚が「二人はトモダチだ」と言うだけだ。

そこには真実や嘘など存在しない。

「するだろっ。大体本当にトモダチなら証人なんて要らんわ。」

面倒だな。本人に言うか。


週末

道場で宮田桃に声を掛けた。

「おう。どうした?あっ。お前伴のトモダチになってやったんだって?」

なに?

「ありがとな綸。」

宮田柚が伝えてくれたのか?

「いや?伴から聞いたんだけど。まさかアイツ。」

彼女は津久田伴を探して問い詰めている。

ソイツは嘘なんて吐いてませんよ。

たいして親しくはないけど一応トモダチにはなりました。

「偉いっ。伴。お前なら出来ると思ったんだ。」

「はいっ」

「うんうん。ようやくお前たち二人が揃ってくれたよ。」

宮田桃は何がそんなに嬉しいのだろう。

「ところで。」

宮田桃は俺と津久田伴を値踏みするよう眺め

「どっちが強いんだ?」

「なあ柚。アタシ空手見てないから知らないけど綸は強いのか?」

「どうかな。伴は強いのかよ。」

「絢さんに聞いたら?」

と言ったのは敷島楓

「絢ねーちゃーん。」

「先生とか師範とか呼べよ。」

「遠くで叫んでいないで用事があるならコッチ来い。」

「何なんだよ。とっとと着替えて練習しろって。あ?伴と綸?」

「そんなもん剣道なら伴で空手なら綸だろう。」

「まあそりゃそうだろうけど。」

「じゃあ素手の綸と竹刀持った伴の喧嘩なら?」

「あー、綸だな。」

小室絢のこの一言は津久田伴にかなりのショックを与えたようだった。

宮田桃に褒められ、ずっと笑顔でいたのに

あっさりと言い切った小室絢にその理由を問い正す事すら忘れるほどに。


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