表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Kiss of Vampire  作者: かなみち のに
46/112

046

滝沢伊紀の話では

「実際に動きがあるのは7月頃になるのではないかとの事です。」

前もって判るのか。

「先日の件がありましたから。」

雇われただけの連中ではあるが

魔女の協力を得て「泳がせ」接触する人物を一つずつ潰した。

そして仲介役を見つけ出し、さらにもう一つ間があり

その「悪魔のような」奴らの下部組織に辿り着いた。

詳細は不明だが

7月に「何か」をする準備として人を集めている。

集め、選び、指示し指導をする。その準備におよそ3カ月。

下部組織には「人集め」のみするようにと指示されている。

その事が滝沢伊紀に知らされた。

俺達も何かしらの準備をするべきだろうか。

「でも何してくるか判らないじゃない。」

「考えられるのは佳純様の誘拐。」

「ぜっ」

「たいにそんな事させない。」

箱田佐代がここまで入れ込むには理由がある。


それは春休みの事。

小室道場には箱田佐代が敷島楓と宮田柚と共にいた。

小室絢は

「私は反対したんだけどな。」

箱田佐代が小室道場に入門した。

でもどうして反対を?

「あの子強いじゃん。」

まあ、そうですね。

小室絢との話にその箱田佐代が加わる。

「ここならもっと強くなれるでしょ。」

「でもここは空手の道場だぞ。」

「は?柚はともかく楓なんてコマンドサンボじゃないですか。」

「挙句言ってる絢さんがジークンドーとか。」

「うっ。それはその個人の資質と言うか特徴でもって」

「だからこそこの道場なんです。」

「ここなら私の特性に合わせた動きかを指導していただける。」

「あーいやー私そんなに」

「何よ謙遜しちゃって格闘技オタクのくせに。」

橘佳純に付いてきた橘結の一言。

「オタクで悪いか。」

きっと、小室絢は橘結を守るために「格闘技オタク」になった。

どうすれば効率よく、効果的に彼女を守れるか。

その研究と研鑽と修練の積み重ね。

三原紹実の言った通りだ。

小室絢が男性なら、橘結は恋心を抱いただろう。

「ホントは佐代ちゃんが入って嬉しいんだょ。」

橘結が俺に耳打ちするように教えてくれた。

そうなんですか?

「佐代ちゃんてキックボクシングやってたでしょ?}

「隙あらば動きとか盗むつもりよ。」

「んなっ。盗むとか人聞きの悪い。」

「ちょっと参考程度に教われたらいいなぁとは思ったけど。」

小室絢のこの言葉には箱田紗代も呆れている。

小室絢が箱田佐代を受け入れたのは、彼女の

「私は競技者として強くなりたいわけじゃない。」

の一言だった。

でもどうして箱田佐代が「強さ」に拘るのだろうか。

目的は?

それについては敷島楓に心当たりがあるようだ。

「悪魔のような」奴らに襲われた時の話をした時の事だった。

宮田柚の取り扱いについての話の後、

「それじゃ本当に一人で5人相手にしたのね。」

「正確には1人しかやっつけてないけどな。」

「でも自信があったのよね。」

「まあそうだろうな。」

「ちょっと、強くなるの速すぎない?」

「ついこの前逆にやっつけられたって言ってたのに。」

しかしあの時俺には自信なんて無かった。

それでも心配はしていなかった。

あの場にはサーラ・プナイリンナの護衛が少なくとも二人いた。

相手も素人だった。その前の時のように

「格闘技の経験者」がいたわけではない。

体格こそ最初の連中より大きかったがそれだけだ。

「自信もねぇのに立ち向かったのかよっ。」

時間稼ぎは出来ると思った。その自信はあった。

10分程稼げば魔女が現れる確信があった。

市野萱友維は約束していてくれた。

だから俺は「何かある」ような言いぶりで脅した。

最初のハッタリで二人怯えたのが判った。

それで強そうな奴に仕掛けて1対1の構図を作ろうとした。

「俺は強い」と思っている奴は仲間だとしても手を出されるのをイヤがる。

まして雇われただけの連中だ。仲間意識は最初から無いだろう。

そいつが俺を掴もうとして「素人」だと理解したので方針を変えた。

「すげぇ。何お前そこまで計算してたの?」

計算と言うほどの事じゃない。

小室絢と市野萱友維からの教えだ。

その話の際に箱田佐代が何かを思いついたような顔をしたのを敷島楓は見逃さなかった。

「なるほど。佐代は綸に置いて行かれると思ったんだな。」

「多分ね。」

置いて行く?

箱田佐代は俺より強い。それなのにどうして。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ