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Kiss of Vampire  作者: かなみち のに
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恋愛感情

仮に、両者がそうなったとして

主人と従者の境がなくなり

「それだけじゃない。」

「お前らに子供ができたとする。」

「その子は橘なのか?南室なのか?」

「どちらにせよ、どちらかが絶える。」

伝統やしきたりには

「そうしなければならない理由」がある。

俺が橘佳純の従者になれたのは

橘佳純が正当な後継者では無い事と、

橘佳純には「御厨理緒」がいる事実。

「ま、理緒の事は冗談だけどな。」

三原紹実の冗談はよく判らない。

「理緒が他の奴とくっついたら佳純はフリーになるじゃん。」

いやまあそうでしょうけど。

まったくこの人は。

真面目な話をしていてもすぐに脱線して台無しにしてしまう。


と言うわけで滝沢伊紀が帰るまでの間だけでも

俺にその技術の基本を教えてもらえないだろうか。

「申し訳ありません。それは出来ないのです。」

そうか。残念だ。

仕方ない。他の部分でのみ補佐する事を考えよう。

「あのー。」

うん?

「諦めてしまわれるのですか?」

滝沢伊紀が「無理だ」と言うならそうなのだろう。

それに滝沢伊紀に無理をさせるつもりはない。

「えーと。」

「綸様は「基本的な」と仰いましたね。」

短期間で全ては無理だ。

「1月半では基本的な部分も無理です。」

「しかも綸様は他にも習い事があります。」

滝沢伊紀が帰るまでに教われるのであれば

この間毎日でも教えを受けるつもりでいた。

いや、勿論滝沢伊紀の都合次第だが。

「そんな事したら綸様が壊れます。」

「修行は週一程度で充分なのです。」

後々、その理由は判明する。

毎日滝沢伊紀の指導を受け続けていたなら発狂していただろう。

「それでそのー。一つ提案があります。」

「実はですね。」

滝沢伊紀は「高校卒業」まで、橘佳純に仕える事を

両親に「頼み」了承された。

「1年。いえ綸様の覚悟次第では半年で基礎の修行は完了します。」

それはありがたい。

本当に助かる。

でもどうして残る事にしたんだ?

「べべべ別に綸様のお手伝いをしたいとかではありませんよ。」

「佳純様をお守りするには私の力が必要かとー。」

「いえ決して綸様では頼りないと申しているのではありません。」

滝沢伊紀がいてくれるのであれば心強い。


高校二年生

箱田佐代も滝沢伊紀も同じクラスになった。

状況が動いたのは新学期が始まりすぐたった。

「動きがありました。」

滝沢伊紀の表情がその深刻さを伝えていた。

「もう終わったんじゃなかったのか?」

宮田柚の疑問はもつともだ。

いや、終わっていない。これから始まる。

当初、俺も含め全員が

「橘結不在の間、橘佳純を守る」

のが役目だと思っていた。

それは事実だ。

どうして「橘結が不在の間」だけなのか。

と、質問された時

「橘結が橘佳純を守るから」と答えるだろう。

そして何故橘佳純が狙われるのかと聞かれると

「橘結よりその警護が緩いから。」

「橘結に対する人質として使えるから。」

と答えられる。

橘結の不在に橘佳純が狙われた事実。

これは「悪魔のような」と呼ばれる連中が実在する事実でもある。

「あー、つまり理緒君達がソイツらぶっ潰さない限り佳純は危険なんだな?」

「柚ちゃんのくせに理解が速いな。」

「にゃにおうっ。」

「ふん。私は何も変わらないわ。」

「私は常に佳純を守り続けるだけよ。」

「その「悪魔のような」奴らだろうと、それ以外でもね。」

「そんな細い手足で何が出来る。」

津久田伴が箱田佐代に突っかかる。

「毛むくじゃらよりマシよ。」

相変わらず仲良しだな。

「コイツと仲良しとか無いから。」

「ホント。伴君は桃ちゃん一筋かと思ってた。」

「俺だってそえっ?何で桃さんの事知ってんだ?」

「知らないの本人だけなんじゃない?」


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