039
確認できたのは
「ロゼの本家は一切関わっていない事。」
どうして言い切れる?
「プナイリンナ家に確約したんだ。」
危険であった筈のサーラ・プナイリンナが帰国したのは
その誓約を受理する儀式のため。
だが残念ながら分家の行動まで把握していない。
追放された一族であれば尚の事実態は掴めない。
「そのうえで身内の不祥事だった場合はその始末の手伝いを要請してきた。」
「あー、じゃあ却って面倒ね。」
「そうだな。真犯人が判らないままだな。」
「分家の連中引っ張って拷問してやればいいんですよ。」
やはり魔女は恐ろしい存在なのでは?
「で、理緒君元気だった?」
「まあ体は平気なんだけど精神的にキツそうだったな。」
「そうなの?」
「そうですね。私が身体で癒してあげましたけど。」
「なんだと。」
「カナちゃんは何か発見あった?」
「いや、それがその。私はえーっと」
「カナちゃんはグレタとケーキ屋巡りしてたから。」
「だからそれを聞いているんじゃない。」
「本場の「魔法のケーキ」食べた?」
「うん。美味しかったよ。」
「何だよそれ。後でレシピ教えてよ。」
もうすっかり女子トークになってしまった。
「綸はケーキ作ったりしないのか?」
え?はい。作った事はありせん。
「綴が帰ったら作ってやれ。喜ぶぞ。」
そうですね。
「じゃあ近いうち私の家に来い。カナのケーキをご馳走になろう。」
「ええっ私の?」
「いいじゃん。レシピ教えながら試食もできる。」
「何だよ私も誘えよっ。」
「お前はつまみ食いするからダメだ。」
「そうですよ。つまみ食いして小室家まで吹っ飛ばされでもしたら困ります。」
市野萱友維は何をしたんだ。
「何もしてねぇ。あれはグレタがっ。紹実姉ちゃんだって昔がっ」
「黙れ小娘っ。」
恐ろしい姉妹だ。
それでその。
「うん?」
皆さんは俺がこの場にいる事に違和感はないのですか?
「は?」
「どうしたの突然。」
俺は魔女ではない。
「私も違うぞ?」
「絢さんは魔女よりヤバイじゃないですか。」
あ、いや小室絢さんがこの場にいるのは俺にも判ります。
でも三原紹実さんはどうして俺をこの場に呼んで
他の皆さんはそれに対してな
「だから、どうしてそんな事を聞くの?」
部外者とは言いません。ですが俺がこの件に関係しているとも思えない。
「何言ってるんだ?」
小室絢が少し怒って言った。
「お前は橘結に佳純を守れって直接言われただろうがっ」
「ひゃー怖いなーさすが人間の怪獣。」
「私は本気でっ。」
「判ってるよ。でも仕方ないじゃん。コイツまだ高校生だぜ?」
「だってコイツしっかりしているようで急にヘナったり。不安定だからさぁ。」
「それはホラ思春期だから。」
「思春期かー。」
「思春期じゃーなー。」
病人扱いですか。
「お前たちは高校生の頃理緒を守るのに本気だっただろ。」
「そうでもないよ。」
「そうね。結構適当だったわ。」
「そのお陰で理緒君随分な目に合ったよねー。」
「キスされたりキスされたりキスされたり。」
「何だじゃあ良かったんだ。」
小室絢が魔女達を称えて俺をその気にさせようとしているようだが
魔女達は何処まで本気なのか判らない返答をする。
申し訳ありません。俺の自覚が足りませんでした。
俺はもうとっくに事態は解決したのだと思っていました。
最初に橘佳純が狙われた際、魔女達が救助してその後事を進めた。
俺はそれで「もう終わった」のだと思った。
「それで佳純の護衛勝手に辞めたのか。」
そうです。もう心配はないだろうと。
「でもそれじゃどうしてジム通ったりしたんだ?」
それは、もう負けたくないと思ったから。
「おおーっ。」
「男の子だなぁ。」
人一倍負けず嫌いな魔女に感心されても。
「だよなー。ホント魔女って負けず嫌いだよなー。」
面倒な方達ですよね。
「なにおうっ。」
御厨理緒はこの人達をまとめている。それだけで尊敬に値する。
「まとめられているつもりはありませんよ。」
でも御厨理緒の言う事には従いますよね。
「従ってもいません。」
「あの人が土下座して頼んでいるからそうするだけ。」
「兄ちゃんはそんな事しねぇよっ。」
「お前はやっぱりまだ子供だなぁ。」
三原紹実は何を言いたい。
「こいつらが理緒の言う事聞くのは。」
「こいつら皆理緒にラブラブだからだよ。」
「ラブラブって。」
「ラブラブは無いわ。」




