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Kiss of Vampire  作者: かなみち のに
37/112

037

新学期早々、その少女から連絡があった。

「綸君にお礼伝えといてって。」

俺に?

「御守りが効いたんじゃないかな。」

家に帰りその話をすると

「帰りの車の中でチョットお前の話をしたんだ。」

「もしかしたらお前に憧れたとか何だったら惚れたかも。」

どんな話をしたらそうなる。

「何だよ私がフランス行ってる間に何があったんだよ。」

市野萱友維はフランスでの新年会を報告した。

魔女達の年越しは実に賑やかだった。

話を聞き付けた他国の魔女も数十名合流し近況を報告しあつた。

「デカイホテル丸まる一軒借り切りだよ。恐ろしいな魔女って。」

各個人の近況は平穏そのものだった。

しかし話題がそれぞれの「国」の話になると場は緊張する。

「やっぱりどうしてもテロの話になるんだよな。」

御厨理緒の方針は変わらなかった。

「魔女は政治と宗教に関わらない。」

対策はその国やその政党を支持する国民に任せるべきだ。と。

御厨理緒は一貫して魔女の介入を禁じた。

だがその表情と言葉の伝え方からは

憎悪と深い悲しみが見て取れた。

「でもな。」

「一人でも魔女が犠牲になったなら、その時は力を貸してほしいって。」

それは復讐ではない。

仲間の死に対する責任を取らせる。

「ま、結果的に復讐になったとしても建前だけは通さないとな。」

「もっとも魔女がテロに巻き込まれる可能性は低いんだけど。」

魔女は都会に住まない。

事故や、魔女同士の諍いを考慮している。

つまり魔女自身がそれほど危険な存在。

この姉妹を見ると納得してしまう。

「なんだと。」


橘結と南室綴がこの街から出かけて3カ月が経った。

あれから橘佳純が狙われるような事はなかった。

橘結の仕事はまだ片付かないのか。

「いや。もう終わるって言ってた。」

どんな仕事をしているのかは知らない。

橘結だけでなく南室一家まで付いて行って

3カ月も掛かる仕事。

「んー。単純に人手が足りないんだよ。」

「今の世の中お祓いだのなんだのって本当にできる人なんて僅かだから。」

例えば一つの「山」が穢れたとする。

影響を受けるのは山に住む生物と

その山に関わる住民と、その住民に関わる人々。

「その一つ一つの安全を確認しないとね。」

「何か」があった場合では遅いかもしれない。

だからどれだけ時間が掛かろうとそうするしかない。

毎回こんなに掛かるのか?

「結姉が高校生の頃に大きい案件があったみたいだけど。」

「私がコッチ来てからは無かったよ。」

橘佳純は「それも時代」だと言った。

三原紹実にその話をすると

「あー知ってるよ。私も行ったから。」

「その時結の彼氏が熊倒したんだよ。」

熊はともかく、俺が気になるはその「穢れる」て行為。

「行為?」

あ、えーと、神社とか放棄されたりすると不浄が溜まって穢れるのですよね。

その時の山ってそんなに辺鄙な場所にあるのでしょうか。

「まあ山だしたな。」

聞き方間違えました。

元々人が寄り付かないような山なのですか?

「いや観光地だよ。駐車場とかフツーにあるし。」

今回のも「温泉地」だと言っていた。

その、意図的に山を「汚す」事って可能ですか?

「やっぱりスゲェなお前。」

はい?

「実はあの時もキズナがずっとブツブツ言ってたんだよ。」

真壁絆はそれを「違和感」として捉えた。

当時の彼は「自分が無知だから」とあまり語らなかった。

当然、今回の件の「違和感」にも気付いた。

「まあ、な。」

「ただ子供達には余計な心配させないでおこうって話になってさ。」

余計な心配ってのは?

「佳純には黙ってろよ。」

約束は出来ません。

「うわっ。そこは嘘でも判りましたって言えよ。」

橘佳純に聞かれたらマズイ事なら俺も知るつもりはありません。

「真面目な奴。」

「実際騙しても嘘吐いてもいないんだけどな。」

どういう事ですか?

「ただ言ってないだけ。」

何が違うのだろうか。


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