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Kiss of Vampire  作者: かなみち のに
34/112

034

「で?何で私達まで三原家の掃除をするの?」

「まったくだ。」

すまない。敷島楓も宮田柚もくつろいでいればいい。

掃除は俺がする。

「じゃあ私が洗濯してやる。紹実姉ちゃんのもあるんでしょ?」

そうか。助かる。

「じゃあアタシはノトの世話してよっと。」

食事もトイレ掃除もしたが

「何を言うか。ノト介に遊んでいただくんだよ。」

宮田柚は適任だろうな。

「んで佳純は来ないのか?」

向こうの新年会の準備が済み次第小室絢さんが送ってくれる。

「佐代は?」

箱田佐代は家族で新年の挨拶回りだそうだ。

「伴君は呼ばないの?」

津久田伴には用事がある。


午後、小室絢が橘佳純と滝沢伊紀を連れて現れる。

食材も合わせて用意してくれた。

小室絢さんは参加しないのか?

「んー。そのつもりだったけどちょっと疲れたから帰って寝るよ。」

そうか。残念だ。

「綸君。絢姉ちゃんはホラ。一緒に過ごしたい人がいるから。」

「なっ違うっ本当に帰って寝るんだっ。」

「その人と一緒に?」

「アホかっ。アホーっ。高校生のくせにっ。一人で寝るんだょっ。」

「アホって。絢姉ちゃんは本当に乙女だなぁ。」

「お前こそそんな事言ってると理緒に逃げられるぞ。」

「ぬっ。」

「あーヤダヤダっ。ノロケ合戦かよっ。二人とも帰れよっ。」

「お前のウチじゃねぇだろっ。」

小室絢は「何かあったらすぐ呼べよ」と言い残して帰った。

橘結も南室綴もいない年越しは大変だったろう。

誰よりも気を張っていたかもしれない。

本心を言えばここで一緒に過ごして労いたかったが

子供達が相手ではかえって気を遣わせてしまうだろう。

「綸はイイ奴だなぁ。」

宮田柚は何をしみじみと言っている。

「でも私も後でその機会作りたいなぁ。」

「出来れば結姉と綴姉ちゃんが帰って来てから。」

「全員にお疲れ様って言いたい。」

そうだな。俺もその案に賛成だ。


三原家の居間で鍋を囲む。

最も目を輝かせていたのは滝沢伊紀だった。

「私、家族の者以外と鍋を囲んだ事がありませんでした。」

俺もそうだ。

「佐代ちゃんは挨拶回りだっけ?」

泊まりになると言っていた。

そう言えば箱田佐代から謝罪の言葉はあったのか?

「ん。あったよー。もうイイのにねー。」

「何だよ。佐代が何かしたのか?」

「何かされたわけじゃないんだよ。」

「前からイロイロあったじゃない。私を守るとかなんとかって。」

「私がそれを快く思っていないの佐代ちゃんも判ってて。」

「今回の事も本当は私がイヤイヤ誘っているんじゃないかって思ったみたいなの。」

「で、昨日佐代ちゃんから結構キツイ事言われてね。」

「どんな?」

「私は佳純がトモダチだから手伝っているだけだって。」

「ツンデレさんかよっ。」

「今朝電話があってね。昨日はトンチンカンな事言ってゴメンて。」

「トンチンカンて何だよ。」

「トンチンカンて何だよっ。」

宮田柚と敷島楓が笑い出す。

「アイツもイイ奴だなー。」

「ね。いい子よね。」

「綸君もありがとね。」

俺は何もしていない。


「ところで伴君来られないの?」

今朝家族と初詣に来た。

邪魔になるから手伝いに行くなと言われたと言っていた。

「それは知ってるわよ。コレには誘わなかったの?」

用事があると言っていた。

「用事?」

「桃姉と出掛けるんだと。」

いいのか?

「いいって何だよ。」

宮田柚はそれで良かったのかと聞いている。

「いいも悪いも無いだろ。桃姉がイイってんだから。」

そうか。

「うそっ。柚ちゃんそうなの?」

「あ?そうって何だよ。」

何でもないならイイんだ。すまなかった。

「ちょっと待てお前らっ。何だよっ気になるだろっ。」

「いやーん言わせないで。」

「そっかー柚ちゃんねー。そうだったんだー。

「佳純まで何だ。怖い。ヤメテ。何?何なの?」

あ、いや。勘違いならそれでイイんだ。

俺が勝手に宮田柚が津久田伴に好意を抱いているのかと感じたんだ。

「はあ?」

「そうなの?ねえそうなの?」

「ばっお前。アイツガンスじゃねぇか。何でアタシが。」

ガンス?

「お前はザマス。」

ザマスって何だ。

「で?何でそんなふうに思ったん?」

何となくだ。本当に。


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