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Kiss of Vampire  作者: かなみち のに
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010

どうにも身体が重い。二人の旅行と関係あるのか?

道場で身体がイメージ通りに動かないと小室絢に相談すると

彼女は一歩離れ上から下まで俺を眺め

「あー、うん。オマエまた長くなったな。」

ナガク?

「背伸びただろ。お前横にこないな。」

何で楽しそうなんだこの人。

「マッチ棒に磨きがかかった。」

この人は何を言っている。

それでどすればいいですか。

「どうって?」

身体がイメージ通りに動かない。

「ああなんだ。身体の成長に頭が付いていかないだけだよ。」

「頭と身体の誤差があるからイメージ通り動かない。」

「慣れるまで慎重にな。」

慎重?

「その誤差を修正しようと無茶すると怪我するからな。」

「日常生活には支障ないんだろ?」

ええ。

ですが悠長な事を言っている内に橘佳純に何かあったら?

「何かあっても佳純はお前より強いから心配するな。」

橘佳純は強い。でも俺よりも強いって?

「佳純。」

「うぇいっ。」

「ぅえいって何だよ。」

「油断していると絢姉ちゃんに襲われるから気を付けろって。」

「襲うかっ。」

「綸。佳純の腕を取れ。」

言われるままに橘佳純の手首を掴む。

「佳純。投げろ。綸は受け身とれよ。」

橘佳純は掴んだ手首を絡めるように俺の手首をとる。

一歩、足を引いたのまでは判った。

景色が回り、背中から落ちた。

「受け身を取れ」と言われていなければ痛打していただろう。

橘佳純は強い。ならばこそ

俺はその技を習わなくていいのだろうか。

「あれ?お前ここに来る前まで合気柔術やってただろ?」

「佳純の父親の実家と同じ流派の筈だ。」

「お前はここに来た時点で基礎はあったから今は別の事やらせてる。」

「忘れるなよ。私はお前に、他人を傷付ける方法を教えようとしているんだ」

小室絢は何を言おうとしているのだろう。

「そんな事より。だ。」

「お前が連れてきた見学者の紹介はしてくれないのか?」

「女連れて道場来るとか偉くなったもんだな。」

小室絢は何を言っている?

「彼女じゃなければ道場破りってとこか?」

箱田佐代は俺と小室絢絢の間に入り

「そうです。南室綸君の友人の箱田佐代と申します。」

「今日はお手合わせを願いたく参上しました。」

おい。

「まあまあ綸。せっかく来てくださったんだ。」

俺が相手しますよ。

「いやお客様に失礼だ。私が相手をするよ。佳純、更衣室で防具着けてやってくれ。」

いいんですか?

「あの子他所で何かやってるだろ。キックかな。」

判るのか。

「うちの道場がどの程度なのか知りたいのだろう。私が相手してやらないと。」

手加減してくださいよ。

「判っているよ。」

その必要は無かった。

箱田佐代が防具を装着し、その気になって現れたものの

小室絢の準備運動を見て、すっかり戦意を喪失させた。

ストレッチで身体を解し、その長い脚を軽く振り上げ、そして舞った。

「うひっ。ダメだこりゃ。」

隣にいた橘佳純は聞こえて吹き出しそうになったそうだ。

(何も言わずに防具を付けた橘佳純も結構意地が悪いと思う)

「よし。やろうか。」

小室絢がその気になって楽しそうに、嬉しそうに言うのだが

「あ、いや、その。」

「心配するな。君は他の武術を少し体験したかったんだろ?」

小室絢は素敵な人だ。

小室絢は終始箱田佐代を褒めながら攻撃をさせる。

大人と子供。

それでも、箱田佐代は強い。多分俺よりも。

小室絢を基準に見て判ってしまった。

「あ、ありがとうございました。」

「おす。ありがとうございました。」

息を切らす箱田佐代。汗ひとつ無い小室絢。

「私達よりよっぽど化物じゃない。」

俺もそう思う。

「あんな人に教わってたら強くなるわ。」

いや、俺は弱い。

「伴はいないの?」

アイツは剣道だ。曜日が違う。

「ふーん。まあいいわ。それで?私は佳純の力になれそう?」

小室絢は箱田佐代がどうしてこんな真似をしたのか理解している。

このタイミングで「吸血鬼」でもある箱田佐代が道場に現れる。

「綸がとうとう彼女連れて来たかと一瞬思ったんだけどなぁ。」

何を言っている。

「箱田さんて言ったね。他にもいるのかな。」

他って?

「橘佳純を守ろうとしている者。」

「私は津久田伴君から聞きました。」

「伴は柚と楓が煽ったんだろうな。」

「何?どーゆー事?」

当の橘佳純は困惑している。

「お前たちあの日集まって宿題してたんだろ?」

「橘結の留守にお前を守ろうって決めたんだろうな。」

「イヤよそんなの。」

イヤなのか?

「イヤに決まってるでしょ。どうしてそんな事。」


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