2話
主人公は今30センチくらいの設定
さて、何しようかな。まあ選択肢はほぼないんだけどね
1、探索…ここどこか分からないし出口あるかもだしとりあえず探索しようぜ。
2、寝る…これはきっと悪い夢だ寝たら治るっしょ。
3、食べ物探す…そういえばまだ朝?ご飯食ってないな健康のためにも食べ物探すか。
4、せっかく異世界きたんだからスキル使ってみようぜ。
2却下4やってから1と3を同時進行していくか。よしそうと決まれば早速魔法使ってみよう。
「…」
どうやって使うんだろう…呪文?念じる?うーん、とりあえず
「クルゥル『火魔法・ファイアーボール』!」
「…」
うん、知ってた傷ついてなんかない。周りに人がいないことが嬉しいだけさ。
くそったれが何で使えないんだよふざけんじゃねーよ。つかなんなんだよ…そもそもおかしいだろ
ー逆ギレ中ー
ふう、諦めて探索しつつ食べ物探そう…立つか。
先ほどの二の舞にならないよう慎重に立ち上がる。
上手く立ち上がれたのでとりあえず移動しようか。寝ていた場所は行き止まりになっていたので道は決まっている。
テチ、テチ、テチ
暗いはずの洞窟の中でも自分が発光してると結構見えやすい。それに鳥の足も歩きにくいわけでは無いし。確かに飛べた方が楽であろうが、飛び方知らないし。
通路を進んでいる途中、曲がり角を曲がったらなにかとぶつかった。
痛っ、すいません大丈夫で…す……か?
転生後初めて出会ったのは美少女などではなく俺を一飲みに出来そうな蛇でした。
人ですらないのかよ。
少し呆然としていたら蛇が威嚇してきた。ちなみに蛇の大きさは俺の倍。余裕で丸呑みにできるサイズだ。
ーー逃げよ。
急いで回れ右をして走る俺と追いかける蛇。
蛇が早いというより俺の足が遅過ぎる。余裕で追いつかれた。立ち向かうしかないらしい。
蛇が丸呑みにしようと俺に噛みついてくる。なんとか避けつつ、腕がないので嘴で突いた。コツンと小気味よい音が鳴った。見なくてもわかるダメージはゼロだ。もう一度丸呑みが来たので、また避ける。俺はドッチボールで最後まで残っていたタイプだ。あまり舐めるなよ。とは言え、正直なところ当たったら痛いじゃ済まなそうな攻撃が自分のすぐ右を通り抜ける感覚は普通に怖いし、チビりそうだ。何度か攻撃を避けているうちに左を通り過ぎる蛇と目が合った。恐怖に侵されながらも、嘴で蛇の目を突いた。少し硬い膜のようなものと柔らかいものを潰す気持ちの悪い感覚と蛇の苦しそうな声が同時に聞こえた。蛇がのたうち回るので何度か尻尾や頭とぶつかったが気にせずに逃げた。蛇は獲物を追いかけるどころではないらしく走って逃げても追いかけようとはしてこなかった。
初勝利(判定勝ち)を収めた俺は目が覚めた場所に逃げ帰っていた。疲れた。異世界やばい。正直、舐めてた。そりゃスキルの使い方もわからないのに自分の2倍もある蛇相手に勝てるわけないよな。次はしっかり対策を練ってから挑もう。とりあえずスキル使えるようにならないと。と、思ったら視界がぼやけてきた。なんで?毒?いや、噛まれてないし。疲れか…な……ぐう。
目が覚めても生きてた。よかった。蛇にあの後追いかけられていたらおそらく死んでた。
起きて早々だが確認しなくてはいけないことがある。原因不明の気絶と使い方不明のスキルの使用である。とは言え、両方とも心当たりがあったりする。
「ステータスオープン」
ーーー
MP276/600
ーーー
減っている。やはり、俺は歩いている間ずっと光らせていたがあれはMPを消費して光っていたようだ。
後もう一つスキルの使用についても多重に発動できないなら辻褄は合う。俺はそれらの仮説を証明するため光と念じるのをやめた。途端に体は光るのをやめた。そしてもう一度ステータスを開いた。
ーーー
MP175/600
ーーー
めっちゃ減ってないか?なんで?もしかしてステータス開くのもMP使うのか?しかも100くらいそんな頻繁に開けないなこれ。しかし、ステータス開いた分を引いてもMPは消費されていない。やはり、何においてもつけっぱなしはダメらしい。
次に俺はスキルを発動させようとした。なんかつけ。火みたいなの。出ろ。出ろ〜。何度か念じていると光った時と同じように体から何かが減る感覚と共にマッチくらいの火がついた。魔法が使えた喜びを感じ気が緩んだ瞬間火は消えた。これもしかして頭の中のイメージ無くなると消えるのか。俺は再度火を出した。そうすると、火が勢いよく出現し、顔を少し焼いた。火のイメージが消えたから火が消えただけで、MP自体は出し続けていたのかな?感覚的にはガス栓閉め忘れてたみたいな感じか。自爆以外で使えなさそうだし、一度置いておくか。
再度、慎重に火を出した。、イメージを途切れさせないようしつつ、火を動かしてみる。ヒョロヒョロ〜という擬音が付きそうな頼りない動きながらも火を動かすことにも成功した。よし、そしたら次は蛇への攻撃として使えるくらいに強い火だ。バーナーをイメージしたが上手く出ない。出力が安定しない感じだ。
どうして出力が安定しないんだ?ただ炎の形を思い浮かべるだけじゃ駄目なのか。もっと根本の仕組みに意識を向ける必要があるのかも。
俺は一度バーナーくらいの火を出すのを諦めて、先ほどからスキルを使おうとするたびに抜けていくものに意識を向けた。腹のあたりに何かがある気がする。これがおそらく魔力やMPと呼ばれるものだろう。魔法を使ったりなんだりしたせいで小さく、萎んでいるように思えるそこから全身に血管とは違う管というか道というか、とにかくそういうもので全身に巡っているようだ。。先ほどのバーナーがうまくいかなかったのはこの道や、発動地点をうまくイメージできていなかったからかもしれない俺はもう一度バーナーを出そうとした。右の翼の先からバーナーぐらいの炎が勢いよく出る。すごい。これならさっきの蛇とも戦えるだろう。でもその前に、少し休もう。魔法が使えない状況で蛇と戦っても勝てる気がしない。
ーーー
俺は地面を擦りながら進む音で目が覚めた。それに気づけたのは、鳥の体に慣れていないからなのか、ここが死と隣り合わせであると認識していたからなのかはわからない。
音から見て十中八九蛇だよな。さっきの目を潰した個体か、それとも別個体か。俺は火の玉を発生させ、視界を確保しつつ曲がり角を凝視する。角から顔を出したのは、先ほど右目を潰した蛇であった。蛇は俺を認識すると、先ほどの恨みを表すかのように威嚇した。互いに様子見をする膠着状態を破ったのは、蛇からであった。
蛇は先ほども見た突進からの丸呑みのような攻撃を仕掛けてきた。ギリギリで左に避けて、バーナーを蛇の右目に当てた。肉が焼ける匂いと共に、蛇が苦しそうな声を出した。しかし、温度が理由なのか時間が理由なのかわからないが、蛇の右目はまだ残っていた。そして、少し白濁しているが見えているらしい。恨みのこもった目線を送ってくる。
逃げたいな。けど、流石にもう逃してくれなさそうだ。
蛇が再度突進してくる。純粋に怖いことを除けば、動き自体はワンパターンであるため避けることは簡単だ。もう一度バーナーで焼こうとしたが、避けられた。流石に学んだらしい。2度目の膠着状態、それを破ったのはまたしても蛇であった。先ほどとは比にならないスピードで突っ込んでくる。俺は半ば勘に頼りつつ、死角になっている左に飛び込んだ。そして、先ほどの潰した目をバーナーで焼こうとした。が、それは蛇が更に加速したことで鱗に当たった。バーナーに意識を割いたことで動きが鈍っていた俺に、蛇は巻きつき締め付けてきた。意識がバーナーから離れたため火は消えた。抵抗してもびくともしない。ギチギチと締め付ける力がどんどん強くなっていく。細い骨を折るような音と共に、腕から激痛が走った。痛みから更に抵抗する俺を無視し、蛇はそのまま丸呑みにしようとしてきた。俺は咄嗟に蛇に向かって全力でバーナーを出した。避けられる可能性は限りなく少ない。先ほどとは比べ物にならない火力の火によって、蛇は顔だけでなく頭も焼かれ、糸が切れたかのように力が抜けて倒れた。
か、勝った…よな?急に動いたりしないよな?
心臓のバクバクが止まらない。スキル使えるようになって調子乗ってた。めちゃくちゃギリギリだった。あと、めちゃ腕痛い。
勝利の余韻に浸る間もなく、俺はステータスに乗っていた「火炎再生」なるものを使おうとした。
治れ、治れ…不発。痛いからか、うまくイメージできない。落ち着け。深呼吸だ。何度か深呼吸して気を落ち着かさせる。俺はもう一度「火炎再生」を使おうとした。
最初に火が出てきた。少し慌てたが、熱いといった感じはなく、むしろ温泉に浸かっているかのような温もりと気持ちよさがあった。少し経つと、腕の痛みが消えた。成功したらしい。
俺は蛇の死体の目の前に来ていた。食すためである。異世界に来てから、俺は何も口にしていない。不思議と空腹にはなっていないが、食べた方がいい気がする。しかし問題が一つ、蛇の食べ方を知らないのである。
ふんわりとあった知識を使って、半ば炭化しつつある蛇の頭をどうにか千切り落とし、足などで内臓を掻き出す。その後、火を当てて焼いていく。味は正直いって旨くないが仕方がない。全部平らげた。その日は嘴でも意外に器用に食べれることと、謎の腹痛に「火炎再生」は通じないことがわかった。