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吉川進シリーズ

吉川進シリーズ第1弾 『天才』

作者: 辻幸次郎

「今日はお菓子の紹介をします!!」

俺はカメラの丸いレンズに話しかける。

そう、今流行りのユーチューバーだ。

登録者なんてもんは300人くらいしかいないけど。でも少なからず俺の動画で楽しんでくれている人はいる。


 俺の名前は吉川進。38歳のおじさんだ。四年前までは立派な会社員だったんだけど、リストラを食らってしまった。何もかもヤケクソになってユーチューブに「うんちもらすの!」って動画をあげたら結構話題になってニヤニヤ動画にも転載された。それは500万回再生された。だからニヤニヤの方では今でもスゲェ人気者らしい。それで味を占めてユーチューバーになってしまった。ユーチューブでは人気者になるのが難しい、とても。商品紹介をしようにもありきたりな内容になってつまらない。ゲーム実況をしようにも俺ゲーム下手だから非難される。

俺になにかすごい特技があるって訳でもない。

だから一時期すごかったけど今では登録者も再生数も悲しい数になってる。


「今日はどんな動画あげようかな?」

最近は常にこんな事を考えている。でもネタ切れの毎日。そんなときには仲間を頼る。俺のユーチューバー仲間だ。島田敦。こいつは俺より15も下の大学生だけど俺と仲良くしてくれる。イイヤツだよな。それと竹原恵一。コイツはネットではケイキンとか名乗ってる。クソみたいな名前の癖して登録者が5万人もいる俺たちの中での1番の有名ユーチューバーだ。主にはこの三人が仲良し。三人でのコラボ動画もたまにやる。そうするとケイキンの視聴者が流れ込んでくるから正直おいしい。ケイキンとコラボしたい。敦はイイヤツ何だけど動画はすごくつまらないからコラボしても「おじさんと一緒に折り紙」とかいうクソ動画が見事に出来上がってしまう。実は今日も三人でのコラボ動画を撮る予定の日なんだが。


「ケイキンさん遅い!!!」

敦が叫んだ。ケイキンは今5時間遅刻している。連絡はない。俺がケイキンに連絡を入れようとすると敦がなぜか止めてくる。

「連絡せずに待ちましょう?」

とか、アホかよ。しかし流石に5時間ときたからブチ切れたらしいので敦はケイキンに電話をかけている。

「ケイキンさんでない!!」

敦がここまで怒るなんて珍しい。

「ケイキンの家行くか」

俺が言うと

「行きましょう」

と、敦が言った。なのでケイキンの家に向かった。すると。

ケイキンが死んでいた!


「なんでケイキンが死んでるんだ…?」

俺は言った。すると敦が

「こんなクズ死んで当然ですよ。いやー死んでくれて嬉しいです。えっ?!殺したの僕じゃないですよ?」と言った。

「お前が殺したのか?」

俺は敦を問い詰める。

「そんな訳ないじゃないですか。やめてください」

「いやお前が殺したんだな最低だなお前早くムショ行けよクズ人間!うんこ!110番するから!!!」

「なんでですか??確かに死んで欲しかったですけど殺すなんて事僕にはできませんよ。ていうかうんこしてる所がネットにあがってる人にうんことか言われたくないですよ。」 

なんか冷静なツッコミされた。悔しい。

「べ、べつにいいじゃないか」

俺は動揺を隠せていなかった。

敦が言ってきた

「ていうかケイキンさん殺したの進さんですよね?知ってますよ?」

「何言ってるんだかさっぱり…」

「知ってますか?実は僕たちってとある人によって作られた想像上の人間なんですよ。だから僕は進さんが殺した事実も知ってるんですよ。」

「いや殺してないってだから」

「まぁいいですよ。さっきの話ですけど、そんな理由だもんでこんな事もできるんですよ。」

「どぅもおおケイキンで〜す!おっはようございま〜す」

「ケイキンが生き返った!!!!」


そう、僕たちは簡単に死ねるし、簡単に生き返られる。なぜかって?それは天才『辻幸次郎』によって作られた想像上の人間だから。

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― 新着の感想 ―
[一言] 第2弾から参りました、伝説のコメント師です。 なかなかヤルじゃねーか。 実験的de良いと思うんだけど、伝説のコメント師としては、ついていけないってなりそうになったゼ! ではまた会おう。いつか…
2020/06/18 19:54 伝説のコメント師
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