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物語を作りし者たち  作者: アンノウン
3/5

亜人連合国編 エピソード迅後編

はい!後編でございます!疲れた……

 世界を管理する神の加護 

 それは無数に存在する異世界たちそれらすべてを管理する神、世創之命よづくりのみことから与えられた加護。

 この加護を与えられたものはこことは異なる異世界という存在について理解及び認識できるようになり世界から世界への渡航権を得ることができる。迅が世界に干渉する魔法を使用できるのはこの加護を得ているからだ。

 この加護は世創之命がそのものがその世界における物語の主要な存在となりうると判断したものに与えるもので、通常は他者に譲渡することはできないが加護を受けているものが認め信頼しているものに対し力の一部をを分け与えることができる。

 迅はこの加護の力を使い自身の感知魔法を通常の魔術師では届きえない深淵や平行世界にまで届かせ原因となる術式を発見したのだ。

「しかしまさか平行世界から仕掛けられていたとは……相手は相当な使い手ですな」

 施設長は驚きつつも敵の実力に感心したように呟いた。

 それも当然だろう、世界へ干渉する魔法は原理こそ解明されていないものの使用できないというわけではない。古代の魔導書や魔法具、超大規模魔法を使用すれば発動そのものは可能である。

 しかし、発動にはたいてい膨大な代償や数十年単位の準備期間を必要としまた発動できたとしてもたいてい暴走し制御不能になり使用者もろとも次元の狭間に飲み込まれることが多くまともに使えるものなど数人を除いていないとされてきた。

 しかし今回相手は小規模とはいえ正確に術式を発動させしかも平行世界から正確にこちらの座標に干渉してきた、これは本来考えられないことであり施設長の驚きもうなずけるものである。

「しかし……どうしますか?平行世界からの干渉となるとこちらとしては手の打ちようが……」

「それに関しては問題ない。こちらで対処しよう。元々そのために来たんだしね」

「おお!ありがたい。それではよろしくお願いします」

「ああ、任せておいてくれ」

(さて、どう解除するか。普通に解除してもいいんだがかなり完成度の高い術式だ、当然防衛用のカウンターマジックなんかも仕掛けられているだろう、私に帰ってくるものなら問題ないんだが……まあ大体この手の施設なんかを狙ったものは広範囲に被害が出るような奴が仕掛けられているだろう。となればやることはひとつ……)

「皆、少し離れていてくれ」

 迅はそう言って周りの人々を遠ざけ、そして腰に差していないにもかかわらず、抜刀の構えをとった。

「迅さん一体?」

「なに、術式ごと叩き切る!そのほうが一番手っ取り早い」

 迅はそう言うと意識を術式に集中させ次元魔法を発動させた。彼の周りの空間が歪みはじめ徐々に彼の前方に黒い穴が形成されていった。そしてその穴の奥に魔術陣が複数重なった形をした巨大な魔術式が見えた。

 周囲の人々はその巨大な魔法式を見て驚愕の表情を浮かべていた。

 特に魔術師達の驚きは大きくかった。彼らは皆魔法の深淵を求める者たちだ目の前に伝説に等しい完成された世界干渉魔法の式があるのだゆえに逆にその式に見入ってしまうものもいたが……

「なんと素晴らしい魔術式だ……しかし、迅さんの次元魔法もすさまじい、通常であればこの世界内の次元にしか干渉できないのにまさか世界と世界の間に穴を開けてしまうとは……!」

 驚き騒ぐ彼らを横目に迅は目をつぶり目の前の魔術式一点に意識を集中させていった。そして彼は目を開き名を呼んだ。

「来たれ絶刀……お前のその刃で我が国に仇なす障害を斬れ!」

 すると迅の何もなかった手の中に一振りの刀が現れた。その刀は柄から鞘まですべてが白く純白というよりは色がないといったほうが良いような白さであった。そして刀には装飾などはなく鍔さえなければ見ようによっては白い棒に見えなくもない。

 迅はその刀をしっかりと握り、そして……

「蒼神流抜刀術……皆斬!」

 迅がそう言ったかと思うと次の瞬間空間の先にあった魔術式が無数に切断されそして消えていった。 

 しかし、迅はその場から少しも動いていなかった、そして式が消え去ると構えを解いた。

「おお……これがうわさに聞く迅さんの抜刀術……! 抜刀の瞬間すら見ることがかなわぬとは、まさに神速だ」

 そう、迅はあの瞬間確かに刀を抜き放ち魔術式を切断したのだ。

 蒼神流抜刀術、それは迅の生家である蒼神家に代々伝えられてきた抜刀術である。

 蒼神家は元来戦いにおいて速さを求めており、ただひたすらに速さを突き詰めそしてその抜刀術は閃光と呼ばれるほどであり他の追随を許さぬほどになっていた。

 しかし、迅の抜刀術はそれのさらに上を行くこととなる。その刀速は時さえも置き去りにし刹那の時間で敵を切り刻む。彼の抜刀術は相手に切られたと認識させることすら許さず、相手が気付いた頃にはすでにすべてが終わっている。あまりの速さに第三者から見れば迅は構えたままなのに相手が急に斬られたようにみえる。

 それゆえ彼の技は神速とまで呼ばれている。

「さてこれで式も消えたしもう問題ないはずだ。後は魔力を元に戻すか」

 魔法で開けた次元の穴を消しつつ迅がそう言うと、持っていた刀がその形を変え始めた。

 先ほどまでの刀が白かったのに対し次に現れた刀は深い緑色をしていた。その鞘には草木をモチーフにしたかのような意匠が刻まれていた。 

 そして刀が完全にその姿を現すと迅は刀を抜き放ちそのまま地面に突き刺した。

「創造:魔力」

 そう唱えると刀身が淡く緑色に光り輝き始めあたりに魔力が満ち始めた。

「おお……!魔力が満ちていく……!素晴らしい、これがかの刀、創造の剣の力か……!」

 そして光が収まると空間には魔力が満ち溢れておりゴーレムたちが再び起動し自らの職務をこなし始めていた。

「これで良しっと。後はそちらに任せるよ。また何か起きたら呼んでくれ」

「ありがとうございました。これで業務が再開できそうです、本当に助かりました」

 施設長はそう言って頭を下げた。ほかの従業員たちも同様に感謝していた。

「ああ。それでは私は帰ることにするよ、それじゃ!」 

 迅はそう言うと来た時と同様に空間跳躍を使いその場から立ち去った。

 民衆が彼を見送る中物陰からその光景を見ていたものがいた。

「ちっ……失敗したか。だが、まあいい。ほかにいくらでもやりようはある。見ていろよ迅……!」

 そういうと人影は闇に紛れ消えていった。

 執務室に戻った迅は机に向かい今日のことについてまとめていた。

「しかし、いったい誰があの術式を……目的もいまいちわからん。何かしら国に混乱をもたらすにしても、確かにあそこは農業地区だがそれよりも大きな主要農業地区を狙ったほうが被害も混乱も大きいだろうし……どこぞのバカが世界干渉の魔法具でも手に入れて使ったか? にしては正確だったしなぁ」

 迅は思い悩みながら目を閉じしばらくして目を開けると。

「月下、いるか?」

 そう虚空に向かって話しかけた。

 すると何もなかったはずの場所から全身をローブに包んだ人物が現れた。

「話は聞いていました……今回の騒動に関してより詳しい調査にむかいます」

 月下と呼ばれた人物は男にも女にも聞こえる中性的な抑揚のない声で答えた。

「話が早くて助かる。また同じようなことをしでかさんとも限らん。徹底的にかつ内密に頼む、あまり民を心配をさせたくないからな。隠密部隊総司令のお前なら適任だろう」

「承知しました。朗報をご期待ください」 

 そういうと月下と呼ばれた者は再び影に紛れ消えていった。

「さて、どこのどいつだが知らないが私の国に手を出しておいて逃げ切れるなと思うなよ。必ず見つけてやる……!」

 迅は窓の外を睨みながらまだ見ぬ敵に向けてそう呟くのであった。

           

               エピソード迅亜人連合国編 完


迅の物語ですがこれで終わりというわけではなくまだ続きます。今はとりあえずここまで、またいつか続編が出るまで気長にお待ちください。

さーて次は誰のを書くかな

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