幻想と現実の差
「で、妹よ。あれはどうするんだ?」
妹の部屋にあるクローゼットには、いきなり現れた扉がある。
最初はそんなはずない、もし扉があったとしてもその先には何もない。
そんな風に心の中では思っていた。
だが、現実はそうもいかなかった。
扉を開くと、そこには自分が全く見知らぬ世界が広がっていたのだ。
見知らぬといっても、大抵の人は自分が見たことのない風景などを指すことが多いだろう。
でも、そのような風景は見ようと思えば見ることができるはずだ。
しかし、俺が見たものは見ようとして見れるものなどではない。
俺の見たことのないものとは、端的に言ってしまえば『異世界』なのだから。
もちろんそんなの一般人に言ったら、「そんなものはあるはずない」とか「きっと幻想か何かに決まってる」とか「ゲームやアニメが好きだからって、そんな現実的じゃないものまで現実にしようとするな」とか言われるだろう。
でも、それを見たのは俺だけじゃなく他にもいる。
それは、俺の妹の彩乃であり、超真面目な常識人なのだから。
「あのー、そのー。どうすると言われましても、どうすれば良いのやら」
俺に問われた彩乃は、どうすれば良いか答えを出せずに困惑していた。
まあ、いきなり自分の部屋のクローゼットに異世界に続く扉なんて現れたらそりゃ困惑するだろう。
世の中には『異世界に行きたい』、なんて言う人もいるだろう。
俺もその1人だったわけだが、その『異世界』のあまりのリアルさにそんなものはどこかに消えてしまったほどだ。
でも、この扉を放って置くわけにもいかない。
放って置いたら、なにかの拍子であった側から誰か来る可能性だってある。
そうなったらお終いだ。
その前に早急に手を打ちたいところだが、この部屋の住人である彩乃の意見を無視するわけにもいかない。
何しろ、あっちの情報が足りてないのが問題だ。
そのためにはあっちにもう一度行ってみるのが良いと思っている。
俺はそのことを彩乃に伝えることにした。
「彩乃、いいか?あれを今すぐどうにかするのは無理かもしれない。だから、俺はもう一度あっちに行ってみようと思っている。その間に父さんと母さんが帰ってきたらうまいこと誤魔化しといてくれ」
「待って!わ、私も一緒に行く」
「え?でも、何かあったら危ないしここにいた方が...」
「いいから行くの!」
「は、はいっ!」
なんかめっちゃ押されたが、ともかく彩乃と一緒に再びあの扉を開けることが決まった。
どうもMontyです。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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