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異世界への扉

「お兄ちゃん、私の部屋に来て!」


扉を開けた途端、彩乃あやのが抱きついてきてこう言ってきた。


「えっ?えっ?!ど、どうした。何かあったのか?」


彩乃が普段から優しくしてくれているとはいえ、こんなことをされたのは初めてなので、俺も焦ってしまう。


「わ、私の部屋のクローゼットが大変なのことなってるの!どうしよう、私怖いよ」


彩乃はひどく怯えているようで体が震えており、その振動が俺にも伝わってくる。


彩乃のクローゼットに何があったのかは分からないが、とりあえず見てみないことにはどうしようもない。


俺は妹の部屋に連れて行ってもらうことにした。


「わかった。とりあえず、部屋に連れて行ってくれ。見てみないことにはどうにもできないからな」


俺がそう言うと、頷いて返事をしてくれた。


そして、彩乃は俺の左腕に抱きつきながら部屋に向かって歩き始めた。


妹の部屋の扉は、慌てて出てきたようで開けっぱなしになっていた。


部屋の中で何があったのか分かっていないため、俺はすぐに部屋に入らずに覗いて様子を確認する事にした。


そういえば、彩乃の部屋を見るのはいつ以来だろう。


多分、俺が中二ぐらいになってから入りづらくなって、いつのまにか全く入る事が無くなったんだよな。


俺がゆっくりと部屋の中を覗くと、そこには意外とシンプルな空間が広がっていた。


元々、彩乃が何かに強い興味を持つような子でないことは知っていたが、まさか生活する上で無くても困らないものをここまで省いているとは思わなかった。


彩乃の部屋には、ベッド、勉強机、本棚、タンス、そして部屋の真ん中に置いてある丸いテーブルぐらいしか無かった。


もう少し女の子らしく、可愛い物を置いても良いと思うのだが。


俺が部屋を見回していると、彩乃は俺の背中を軽く叩いてきた。


「お兄ちゃん、あんまりジロジロ見ないで。ちょっと恥ずかしい」


「す、すまん。悪気があったんじゃないんだ。そ、それより入っても良いよな」


「いいけど、すぐにクローゼットの方に行ってね」


「わかったよ」


入室許可を得たものの行動制限されてしまった俺は、部屋に入り真っ直ぐクローゼットの方に向かった。


クローゼットの目の前に立つと、彩乃はクローゼットを開ける。


そしてクローゼットの中にあるハンガー掛けの数着の服をずらして、この騒動の原因となるものを見せてくれた。


「これって、扉か?」


クローゼットの奥にあったのは、見たことのない扉だった。


「うん。さっき開けて服の整理をしてたらこれがあることに気づいて。でも、位置的にあるわけないからおかしいと思ったんだ」


彩乃の言う通り、ここに扉なんて絶対になかった。


なぜなら、その扉の反対側には俺の部屋があるからだ。


元々扉があったとしたら、俺の部屋からも確認できたはず。


なのにこうして彩乃が俺に相談してきたとなると、考えられるのは一つ。


それは、扉がいきなり出現したというものだ。


こう言っておいてなんだが、俺はあり得ないとわかっている。


ただ、こうして目の前は扉があるという事実からは、目を背けることはできない。


こうなったら、真実を確かめるために開けてみるしかないな。


「なあ、彩乃。開けてみてもいいか?」


「お兄ちゃんが開けるなら良いけど、私下がっててもいい?」


「もちろんいいぞ」


俺は、妹がクローゼットから少し距離をとったのを見てから、ドアノブに手をかけた。


特に違和感なくドアノブは周り扉が開いた。


その扉の先には、見知らぬ世界が広がっていたのだ。

今回もお読みいただきありがとうございます。

新作の投稿はペースが遅いですが週末投稿なので休み無くがんばります。

では、次な話もお楽しみください。

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