『とある理由』
「『とある理由』というのは、数年前に起きたある出来事が原因なんだ」
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数年前、王都にある王城に手紙を持ったルースの使者を名乗るものがやってきた。
そのルースの使者の手紙の内容はこのようなものだった。
『宣戦布告
我が国ルースは、貴国グラウドに宣戦布告する』
使者からの手紙にはこう短く書かれたいた。
これを呼んだ兵士は理解するまでに時間がかかった。
それもそうだろう、仲が悪いとはいえいきなり宣戦布告をされるなど思ってもいないだろうから。
兵士が内容の理解をすると、すぐさま今すぐやらなければいけないことが脳内に浮かんできた。
それは、これを届けたルースの使者を捕らえることだ。
兵士は使者を捕らえるために手紙を投げ捨て、持っている槍を使者のいるほうに向ける。
しかし、不思議なことにそこにはさっきまでいた使者の姿が無くなっていたのだ。
兵士は逃げられたと考え、すぐに周囲を調べる。
いくら使者とはいえ、王城内から静かに抜け出すことなんて不可能に決まっている。
兵士は、すぐに門番に外に誰か出ていないかの確認をした後、今後誰も外に誰も出さないように命令する。
門番はここ30分は誰も出でいないと答えていたので、一般的な出入り口である門を通って外に出ていないのが分かった。
その後、場内にいる兵士に使者の捜索命令を出し、手紙を王の側近に渡す。
その日、兵士総出で場内を捜索したが、あの使者の姿をもう一度見ることはなかった。
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これが、その『とある理由』...
確かに、いきなり宣戦布告されたのに加えその手紙を届けた使者の姿が消えたとなるとかなり怪しい。
そりゃあ、素性の知れない二人がいきなり扉から現れたなんてことがあったら疑うに決まってるか。
今のケイナさんの説明の中にいくつか気になる点やおかしい点があったが、俺は今はそのことについては触れないことにした。
もしこの地下牢から開放されたら、この一件について調べる必要があるし。
そんなこんなでその後もケイナさんからいくつか質問されたが、ほとんどこの世界に関することばかりで、「分からない」とか「知らない」としか答えることができなかった。




