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92 二度目の会議




 口を堅く引き結んで仏頂面のレッド。相変わらず無表情なドムズ。

 レッドの機嫌が悪いのは簡単にわかるが、ドムズは何を考えているのかわからない。

 2人の様子を見るとここの空気は良いとは言えない。


 今から、深淵の中で共和国奪還の会議を始めるというのに、こんなんで大丈夫だろうか……。

 そんなことを考えていると、ホットが咳払いをした。


「さて、共和国の奪還作戦の計画を練りたいと思う。ボルフ、何か言うことはあるか?」

「ああ、ある。おまえらには悪かったと思っている。おまえらの国に侵攻したこと、おまえらの国民たちを追い込むことで無理やり平等を実現しようとし、虐殺をさせてしまったこと。挙句の果てには、おまえらの国民たちを断罪しようとしたこと。取り返しのつかないことをした……」


 ホットが話を振るとボルフレディは滔々と後悔の念を語り始めた。

 レッドは仏頂面のままそれを睨みつける。


「何をしようとこのことは取り消せないし、許されることはないだろう。お前らのことと国民のことを考えればすぐにここから消えるのが一番だ。だが、俺は自分の後始末をつけることは、お前らの反感を買っても絶対にしなければならないことだと思っている。お前らの奪還作戦に俺を協力させてくれ」


 奴がそう言い終わるとしばし沈黙が訪れた。

 静まり返った一同を見ると、皆なんとも言えない表情をしている。

 協力をすることは助かるが、やったことがやったことだから、素直に申し出を行け入れることができないというところだろうか。


 沈黙した一同の中で、一番受け入れがたいだろうと思っていたレッドが不思議なことに口を開いた。


「お前がいなければ、国は救えん……。だから、その申し出受け入れさせてもらう! だがそれは貴様がしたことを許すわけではない!」


 レッドは何かを押さえつけるような大音声でそういうと、ボルフレディに殴りかかった。

 素人にもわかるような、感情のままに振るわれた大振りだ。

 ボルフレディはもちろんそれを見えていっただろうが、避けなかった。

 奴の頬から全身に、衝撃が伝播した。


 拳を受け止め口から一筋の血を流すボルフレディをレッドは睨みつけると


「ひとまずはこれで、国の奪還までは抑える。だがそれが終われば、俺は貴様に矛を向けずにはいられない。終わった時にはすぐにここから立ち去れ!」


 と忠告し、元の位置に戻った。


「すまない。ありがとう、おまえの忠告は必ず守る」


 ボルフレディはそれに口の血を拭わずに答える。


 奪還作戦に魔王が加入した。これでドラス共和国を奪還する最低条件がそろった。






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