87 英雄の動機
三話まで改稿完了しました。よろしければどうぞ。
下に降りるとモンスター共にたかられるな……。
ホットに対して、まとわりついているモンスターの大群を見て察する。
痴漢を捕まえようとする正義マンでもここまであからさまなホールドはしないだろう。
まあ……こうやって察しても降りるしかないのだが。
風魔法でホットをこちらまで運ぶという手も考えたが、持ち上げた瞬間、反射でこちらを切りつけてくることが想像できたので却下した。
奴の周りにまとわりつくモンスターを『ランドコンクエスト』で排除すると、
「リードだ。敵じゃないぞ」
と声を掛けながら奴のもとに着地する。
近づいていくとホットは一瞬身構えたので、声をかけて正解だった。
掛けてなかったら、今頃真っ二つになっていたかもしれない。
「お前か……。他の奴らは何処にいる?」
ホットは少し疲れたようにため息を吐くと、こちらに尋ねてきた。
いきなり取り込まれてこの状況だ。その質問は至極当然だろう。
だがその質問には答えられない。
俺は今入ったばかりで他の奴には会ってないのだから。
「わからない。俺は今入って来たばかりだ」
俺の返事を聞くとホットは大きくため息を吐いた。
少しその態度にむっとする。
何だそのあからさまにこいつ使えねえみたいな態度は。
「上から他に土煙が上がっているところを見たか?」
奴を睨みつけていると再度尋ねてきた。
「見てないな」
そういうと、ホットの表情は見るからに落胆した。
こいつも仲間たちのことを、心配していたのか?
だがそれほどこいつには、心配するような理由はない。
俺らとは行きずりで会っただけなのだから。
「あいつらのことを心配しているのか?」
「いや、俺はボルフのことを心配してるだけだ。リザードマンたちが早まってアイツを殺せばもうあの国は立ち直すことは不可能になるし、単純にあいつには死んでほしくない」
ホットの言葉が耳に引っかかる。
魔王のことを愛称で呼び、あまつさえ虐殺を行っているというのに死んでほしくないというのだ。
単純に魔王とことを構えている人間が放つ言葉ではない。
ホットと魔王との間には敵以外のつながりがあることが理解できた。
「嫌に魔王と親しそうだな……」
「まあな。奴とは昔パーティーを組んで冒険した仲間だからな」
予想通り、英雄と魔王の間にはつながりがあった。
英雄がここにいる目的がやっと理解できた。




