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84 疑い

三が日は更新できるかわかりませんが、できるだけ更新します。




 いつもの馬車にいるだろう餓鬼族の元に向かおうとする途中、焚火をぼんやりと眺めているリザードマンたちがみえた。

 かなり堪えているようだ。

 兵士は死に無頓着だと思っていたがあの様子だとそうでもなかったのだろう。


 俺もリザードマンのよしみだし、何かしてやりたい気持ちになったが、俺にできることはほとんどない。

 あれを回復する方法は、苦楽を共にしてきたあいつら自身と時間だけだろう。


 リザートマンたちの様子に後ろ髪をひかれつつ、馬車に近づき、幌を開けた。

 餓鬼族の奴らは前と同じように、馬車の中に詰めていた。

 前回のやり取り同様ドムズが、こちらに歩いてくる。


「何か用か?」


 ドムズは相変わらずの無愛想な顔でこちらに尋る。


「いやそういう訳じゃないが、暇潰しに話がしたいと思っただけだ」


 用はあるが、正直に言って警戒されても面白くないので誤魔化しておく。


「そうか。俺もお前とは話したいと思っていた。ここじゃ話にくいだろ。場所を変えるか」


 ドムズはそういうと、幌から外に出てきた。

 俺のすぐ隣に降りてきたので、奴の背の高さを実感させられる。

 ドムズの身長は今の俺の1.5倍くらいあるだろう。

 俺はスリートと存在を重ねることで身長がだいぶ縮んだが、そこらにいる人族と同じくらいなのでおおよそ170前半くらいはある。

 そう考えると奴は2メートルくらいはあるんじゃないだろうか。


「あそこのテントの後ろあたりでいいだろ。あそこならちょうどリザードマンたちからは見えない」


 俺が身長のことについて思案していると、ドムズはそう言ってテントの方に向かっていく。

 それに遅れてついていく。


「お前は話す場所とかそういうのには無頓着そうだから。場所を指定するなんて意外だな」


 ドムズの止まったところまでたどり着くと、所感が口から洩れる。

 奴は少し顔をしかめると、口を開いた。


「興味がない訳じゃない。餓鬼族は戦いのことを最優先にしているからそういうのはなかなか気が回らないだけだ」


 なるほど。同じ餓鬼族のトリシュ曰く、こいつらは生粋の戦士のようだからな。

 戦闘ばかりでコミュニ―ケーションにおいて、あまり気を配ってこなかったのだろう。

 気を配ってこなかったというのに、今回、話をしようとした時に妙にドムズが乗り気だったのはどういうことだろう。

 別にしゃべるのが好きなわけではないだろう。今までのドムズの行動を見るとまるで先制して主導権を握ろうとしているようだ。

 なんだか嫌な予感がしてきた。


「早速だが、リード聞かせてもらおう」


 奴はそう言って、こちらの返事を聞かずに言葉をつづけた。


「お前は聖職者じゃないだろ? 何が目的で素性を偽った?」


 どうやらドムズは、俺がホットを怪しんでいたように、こちらに疑念を持っていたようだ。

 

 疑いを掛けられた状態。

 しかも誰からも見えないところに誘いこまれている。

 これは返答次第でまずいことになりそうだ……。





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