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73 謎の浮浪者




「ホットていったな, あんた……。この馬車はドラス共和国に行くことになっているが。それでもいいのか?」


 レッドがホットに尋ねる。

 ホットは少し思案するように上目になってから、レッドに目を合わせた。


「構いませんよ。私は当てどなくさまよっている人間ですから場所にこだわってはいませんので」


 胡散臭い放浪者はそう言ってのけた。

 何だか信用できないな。どうにも浮浪者と自称するホットが信じらなかった。


 ただの放浪者がここまでの練気を所持できるものだろうか?

 形成している練気は、軍人のレッドの優に何倍ものマナを取り込んでいる。


 練気が武器を扱うことでマナを取り込んでいくことで量を増やし、強くなっていくことを考えると、ただの浮浪者がそんなことができるのはおかしな話だろう。

 放浪中に世界中の猛者とデスマッチでもするような事態にならない限り無理だ。


『珍しく意見が一致しますね、トカゲ。そこの男の練気は、前見たショットという魔王を優に凌駕しています。少なくとも、あれよりも武器に精通し、かつ才能もあると思った方がいいでしょう。そんな逸材を国や周りの人間がうちゃって、浮浪者にしておくとは考えられません』


 ショットもあれでエスカ帝国の伯爵だからな。強さで位が上がっていくと単純に考えると、この男はショットよりも階級が上になるのか。


 確かに、この男。

 行動を振り返ってみると何だか気品のようなものがある気もするしな。

 位の高い人間といわれれば、そう思えないことはない。


 少しかまをかけてみるか。


「そうか、こちらもよろしく頼む。突然だけど、ホットの趣味は何だ?」

「賭博です」


 俺がそう問いかけると、ホットは反射でそう答え、言い終えた時には険しい顔になっていた。

 確定した、こいつは浮浪者じゃない。


 浮浪者で、賭博してそんな身なりのいい奴はいない。


「あんたは何者なんだ?」


 険しい顔の謎の男に問いかける。





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