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71 父との邂逅




「レッド隊長――」


 2人組がレッドに話しかけている途中だったが、見ていられなくなって、神聖術を掛けた。

 神聖術をかけると、少し父の表情が柔らかくなったような気がする。

 そんな所感を持っていると、レッドはゆっくりと体を起こして口を開いた。


「お前ら、少し下がってもらっていいか」


 2人に向かって言葉を紡いでいるはずなのだがその目は俺を捉えていた。

 リザードマンの原型をとどめていないというのに、俺が息子だとわかるというのだろうか。


 2人がテントの外に出ていくと、レッドは再び口を開けた。


「教会の神父様、神の御業をこの体に授けてくださり、心より感謝申し上げます」


 その言葉を聞くと少し傷ついた。神聖術を使ったのだから教会の人間と間違えることもしょうがないし、見てくれも変わっているので気づけなくても当然だというのに。

 顔に出ってしまったのか、レッドが緊張した顔でこちらを見てくる。


「すいません。考えごとをしてて……。自分にはもったいない言葉です、教会の人間として当たり前の事をしたまでですから」


 誤魔化して、そのまま勘違いを肯定してしまった。

 本当は否定したかったが、そうするしかなかった。

 俺はこの人を裏切っているのだ。否定して名を名乗った後に拒絶されればロース村のことについて聞けなくなってしまうのだから。


「なんと謙虚なお方か。何かお礼をしたい。何なりと申してください」


 レッドは敬語でこちらに望みを言うように求めてくる。

 その敬語の言葉を聞くたびに心が痛む。

 だが、因果応報という奴だろう。

 俺が何も言わずに飛び出した時に、レッドの味わった心痛が今俺に襲い掛かっているのだから。


『痛いのなら、素直に言えばいいでしょう』


 スリートが無責任な言葉を吐く。

 だからそれで拒絶されたら元も子もないんだよ。


「では、そちらのことを聞かせてもらっていいですか? ロース村に縁があるもので少し気になって……」


 そういうとレッドは少し顔をしかめた。

 やはり、何か隠したいことがあるようだ。


「条件つけるようで申し訳ないが、これは我が国の醜聞にかかわることになります、他言をせぬと約束いただけますか?」


 レッドは厳しい顔でそうこちらに尋ねてくる。

 俺は頷いて、了承した事を伝えるとレッドは言葉をつづけた。


「ご配慮感謝いたします」


 レッドはそういうとこちらから視線を外して、申し訳なさそうな顔をした。


「われわれは暴徒と化した民によって国を追放されてしまったのです」


 その言葉だけで俺の思っているよりも単純な話ではないことが分かった。





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