53 補給物資なし
一日ぶりに訪れる学園。
そこにはトゲだらけの塔が出現していた。馴染みのある塔だ。
シェイムは魔王として覚醒したらしい。
先日はなかったものだし、昨日の何かが魔王になるトリガーになったようだ。
ショットが「飯がねえ、学園に取りに行く」といった時、まだここに深淵がなかったことを思い出して冷や汗をかいたが、とんだ僥倖だ。
こいつが不幸の根源だが、今だけは感謝しよう。
というより遠征をするのに食料も持ち合わせてないて、どこのフラ〇ス兵だ、こいつは。
無計画すぎるだろ。
「このまま、魔王の首を取るか」
そんな事をつぶやいて、ショットは正面の門から正々堂々と突撃していた。
どうやら奴の頭の辞書には計画を立てるという単語は載っていないようだ。
ここで立っててもしょうがないので、俺も中に足を運ぶことにする。
中はデュラハンが群れて、えげつないことになっていた。その黒い大群の中央をショットがかけていている。
奴は進攻方向にいるデュラハンを蹴散らすと深淵に飛び込んでいく。
「トカゲもあれくらいやってのけたらどうです。プラムならデュラハンどころか、学園丸ごと火の海に沈めることができますよ」
ショットが一騎当千の勇姿を見せたことでスリートがいまいちパッとしない俺に不安を持っているよう だ。
仕方ない。このまま、ショットが通った後を通り抜けようと思っていたが一級魔法の試し打ちをすることに変更した。
俺の情けない姿しか見せていないからな。「あなたとの契約は解消です」といわれる可能性もなきにしもあらずだ。
先ず、下準備に『フォース』を体にかけ。
風魔法で旋風を起こしながら、水魔法で水、土魔法で細かな石礫を作っていく。
途中、頭が混乱しかけたが、一級風魔法の『テンペスト』を何とか形にした。
嵐はデュラハンを巻き込んで、引き裂いていく。今回はなかなか上出来だろう。
スリートを見ると、ジト目になっていた。
「雑ですね。風のマナが多すぎます」
お気に召さなかったようだ。
「私がマナの扱い方を教えてあげましょうか?」
酷い言われようだな。精霊のお前よりは俺の方が魔法を扱えれるに決まっているというのに。
こいつの相手をしようと思った俺が馬鹿だった。『テンペスト』で大穴を開けた場所とショットが開けた道を通って、深淵の中に入る。
中に入ってみると信じられない光景が見えた。
先ほど獅子奮迅の活躍を見せていたショットがうつ伏せで倒れていた。




