表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンリフォーマー〜リフォームで魔王と仲良くなる異世界放浪記〜  作者: スイセイムシ
シュライク魔法学園―魔道習得編  サイドB
52/155

46 次はやるて言うときは絶対にやらない




 グラウンドにいる怪我人たちを治療するのは、やはりハードワークだった。

 師匠との打ち合わせで、端と端から初めて最終的に合流したら終わりという事だったが、俺が左端に移動すると向こうにいる師匠が六分の一くらいの大きさに見え、縮尺からすると先ほどの見立てよりも怪我人が多いと気づいた。

 

 だがそれでも、「多く思えるだけで、実際は違う」と自分に言い聞かせ、一人一人治療し始めた。

 治療をしていく途中、中級神聖術を使うとなぜか五人先まで怪我人が治療されていることに気づいて、神聖術は初級から上級まで、クラスが上がるごとに効果と共に範囲の広さも上がっているということが分かった。

 

 それゆえ、一人一人治療していたのを中級神聖術でいっきに五人治療するようにしたが……。

 やはり数が多すぎた。作業効率が五倍になったというのに、全くけが人が減っていかなかったのだ。

 むしろ効率が上がったことでなまじ怪我人の数が確認できた。そのおかげで、自分に「多くない」と言い聞かせることができなくなり、げんなりしたほどだ。

 最終的に、俺が中級神聖術を掛けた回数は50を優に超えていただろう。


 合流した時に、師匠が六割くらいやったように見えたから、俺が四割ほどと考えると最低怪我人は700人以上いただろう。

 これを二人でやれと言うのは酷ではなかろうか。というよりも本来は俺がいないから師匠がこれを一人でやったことになる。

 2人でやって真夜中終了だ。一人でやれば朝までぶっ通しだったのではないだろうか。

 そう思うと、教会は福利厚生がかなりまずそうだ。


 とりあえず、さすがに精神的に疲れた。グラウンドの端に尻餅をつく。


「リードさん、あなた、体力がないですね。今回は少ない方だというのに」

「……」


 おれより多くの仕事をこなしたというのに、ピンピンしている師匠はそんなことを言った。

 師匠が俺の名前をリードと認識していることと、教会のブラックさが露呈したことで俺の心にダメージが入る。

 とりあえず、名前の修正をしなければならない。


「リードさんというのも、中途半端だし、呼ぶならリードもしくはリーデンベルクさんて呼んでよ」


 おそらくこの時代の師匠は実直そうだし、リーデンベルクさんと呼ぶだろうと思い。さりげなくリーデンベルクと呼ばせるために二つ選択肢を用意した。

 だが俺の予想に反して、師匠はむすっとした顔をして、第三の選択をした。


「はい、リードさん。次からそう呼びます」


 そのままで徹すという用意していなかった第三の選択を。

 「次から呼ぶ」という絶対呼ばないときのパターンを踏襲していることから間違いない。

 粗を指摘されたのが、面白くなかったのだろう。

 これで二回目の失敗だ。早く修正しないと、取り返しがつかないことになりそうだというのに。


 だが焦って今、しつこく「リーデンベルクて読んでくれよ」なんて言えば、逆に反感を買うことは目に見えている。

 もどかしいが再度、時間を空けてトライするしかない。


 しばらく虚空を見つめて、リーデンブルクと呼んでもらえるいい文句がないかと思案していると師匠が口を開いた。


「一休みも済んだでしょう。学園の人間に報告しに行きましょう」




―|―|―




 真夜中の学園には、魔王と何だか溌剌とした若い男しかいなかった。

 魔王は報告をすると、「お疲れ様です」とねぎらいの言葉をかけて、俺たちを寮に案内した。

 現在疎開中で生徒がいないので、どの部屋も好きに使っていいという。

 俺はとりあえず、過去に飛ぶ前に使っていた部屋にした。


 中に入ると、どこに姿を消していたのか。

 スリートが出てきた。


「ああ、疲れました。やっと寝床に着けるんですね」


 出てきた勢いままに人が横たわろうと思っていたベッドにダイブした。

 ああ、俺のベッドが……。


「勘弁してくれ。お前がそこを占領したら俺が寝れんだろうが」


 俺が文句を言うと、スリートはやれやれといった感じで手のひら天に向けた。


「しょうがないですね。あなたにベッドの半分をわけ与えましょう」


 そんな当たり前のものを、どこぞの魔王みたいな口調で言われても。

 というよりもスリートが俺とは別の部屋を使えば済む話だ。


「いや、半分は狭いだろ。お前が隣の部屋のベッド使ってくれよ」


 俺がそういうと、スリートは俺を睨みつけてきた。


「あなた、精霊がどういうものか。わかっていないようですね?」


 その声音を聞いて俺は本能的にやばいと確信した。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ