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ダンジョンリフォーマー〜リフォームで魔王と仲良くなる異世界放浪記〜  作者: スイセイムシ
シュライク魔法学園―魔道習得編  サイドC
47/155

41 バッドエンド




 山から学園まで降りてくると、惨状が見えてきた。

 ボロボロの校舎と傷ついた生徒たち。グランドには血だまり。

 これが先ほどまで普通に授業が行われていた学園だとは思えない。


「おい、リード何やってんだ! 早くここからはなれろ!」


 学園を放心しながら見つめていると、聞きなれた声が校舎の方から聞こえた。

 そちらを見つめると担任のガリが怪我をした生徒を担いでこちらにかけてきた。

 こちらに駆けてくると奴に頬を張られた。


「ボケとしてんじゃねえ! シェイムの野郎がとち狂った。ここはもうだめなんだ。

早く走れ、深淵から出てきたデュラハンに殺されるぞ」


 いつもはやる気のないおっさんだというのに、らしくない鬼気迫った形相でこちらを怒鳴りつけてくる。

 その態度にひるみそうになるが聞かなければならないことがあるので、退却しそうになる足を踏みとどまらせる。


「魔王がとち狂ってどういうことですか? エラー、トリシュ、アルテマイヤは何処にいるか知っているんですか?」


 今だからこそ落ち着かなければいけないというのに、早口で切羽詰まっているだろう相手に、まくしたてるように質問してしまった。


「シェイムのこと何ぞ知らん。あいつは魔王とやり合った時からぶ壊れている。トカゲの件もあったし、何かのはずみだろ。お前の仲間のことも知らん。エラーの事は……知らない方がいい」


 ガリは途中まで投げやりな口調で応えていたというのに、エラーのところでひどく苦しそうな顔をして言葉を濁した。

 その態度でエラーに何かあったことはすぐに分かった。こんなところで油を売ってる場合ではない。


「エラーは何処にいる?」

「だからそれは……」

「頼む、教えてくれ。教えてくれるならあんたの生徒に神聖術をかけてやる」

「深淵近くのグラウンドにいる……」


 ガリは苦り切った顔でそう言った。俺は約束した通り、ガリが担いでいた生徒を回復させて、グラウンドに駆けた。


 そうして、グラウンドの中ほどまで来ると尻餅をついたクライハ教頭が頭のない剣を持った化け物共に囲まれていた。

 ひどく危うい状況だった。助けるべきだと瞬時に心がささやいたが、理性がそれではエラーが手遅れになるかもしれないから見捨てろとささやく。

 どちらも選ぶことなどできない。


「リードさん、逃げて!」


 教頭が化け者たちに囲まれながらも、気丈にそういう。

 その声は俺がエラーのところに行くように後押しするようだった。

 俺は教頭と化けものどもの脇を越えて、深淵付近をめざそうとしたが足が止まった。


 そこには化け物たちが蠢いているだけで、人らしいものなんて何もなかった。

 倒れているだろう人影さえない。

 ガリはうそをついたのか? いや、手遅れになったと考えた方がいいのか。

 どちら道、ここにはエラーはいない。

 エラーは死んでいるという可能性が色濃く脳理をよぎる。


「チクショウ!」


 教頭に襲い掛かろうとする化け物どもに苛立ちと共に『ストリーム』を放つ。

 だが、『ストリーム』は化け物たちの中ほどで消えた。

 化け物の一体が『ボム』を展開してレジストしたのだ。

 二級魔法を使うモンスター? その上、レジストまでする?

 そんなもの聞いたことがない。


 モンスターは三級魔法までしか使えないはずだ。

 こいつは危険だと瞬時に理解した。『フォース』を発動し、『ボム』を相手にかけようとすると、嵐の 渦に俺は飲み込まれた。


 ふざけている……。これは一級風魔法『テンペスト』だ。

 ただのモンスターが扱えるような代物ではない。

 『フォース』をかけてなければ、身体を風の刃にみじん切りにされるところだった。

 何なんだこいつは? 深淵のモンスターは上級魔法まで使えるていうのか?


「いくら何でも隔絶しすぎだろ……」


 俺では『テンペスト』を瞬時に展開などできない。相手の方が俺よりも魔法の実力は上だ。

 一気に肩をつける必要がある。


 『テンペスト』から飛び出し、奴の胸にゼロ距離で『ボム』を叩き込む。

 奴の上半身が吹き飛んだ。そして、何故か倒した化け物の中から男子生徒らしきものが出てきた。

 理解が追いつかない。なんだこれは?


「リードさん、まだデュラハンはいます。気を抜いてはいけません」


 生徒に意識が飛んでいるところを教頭の声でまだ残っている化け物――デュラハンに意識を戻される。

 『ストリーム』を残りのデュラハンに放つ。奴らはレジストすることなく、光になって消えた。

 デュラハンが消えたことで、男子生徒に意識が再び戻る。


「教頭どういうことですか?」


 男子生徒に目をくぎ付けにされながら、教頭に尋ねる。


「わたしにもよくわかりませんが、一部の生徒たちが兄の怒号が響くと共に、姿をデュラハンに変え、無差別に周囲の人間を襲い始めました」


 教頭は疲れと困惑が混じったような声でそう答えた。

 すぐに深淵との契約のことが頭にちらついた。


「その姿を変えた生徒は、深淵に足しげく通っていたんじゃないんですか?」


 教頭は肯定も否定もせず、ただ目を伏せた。


「わかりません。ただ、逃げる生徒たちの中で『深淵に通ってたやつが化け物になった』という声も聴きました」


 じゃあ、エラーはデュラハンになったという事か。

 ガリが言葉を濁す姿が脳裏をかすめる。


「デュラハンからもとに戻す方法はないんですか?」


 ガリと教頭の態度からもう答えはわかっていたが聞かずにはいられなかった。


「……現状ありません。デュラハンになった生徒を倒しても、またデュラハンとして出現し。このように運よく中から生徒をひきずりだしてもしばらくするとデュラハンに戻ります」


 深淵の近くにいるデュラハンを見る。あの中にエラーがいるだろうことはわかったというのにとれる手段が存在しない。

 魔王をもしかしたらという気もしないことはない。だが、俺に魔王を打倒する力など存在しない。

 忸怩たる思いで歯を食いしばる事しかできない。


「クソが……」




―|―|―




 俺は、魔力切れの教頭を学外に運びだした後、エラーはどうすることもできないため保留にし、トリシュとアルテマイヤと合流することを考えたのだが、二人とも発見できなかった。

 学園内から脱出した人が集まっている学園外の場所もくまなく探したが、痕跡さえ存在しなかった。

 少なくとも、学園内に奴らの死体はなかった。深淵に入って死んだ可能性が脳裏によぎったがそんな事を疲れ切った心で考える余裕はなかった。

 俺は二人は行方不明ということで決着をつけた。






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