31 合体魔法
「ペア組んでくれない?」
「……あんた、人にタックル決めたこと忘れたの?」
質問を質問で返すとは……。しかも、まだ昨日のことを根に持っているようだ。
気まずい中、声をかけた俺にあんまりな仕打ちじゃなかろうか。
普通ここは根に持ってても、火急の事態ということで一端は忘れてくれてもいいだろう。
「いや、忘れてないけど……。でもあの時、そっちもタックルした後にアタックしたし、あいこでしょう」
「昏倒してそのまま後ろに倒れるのと、地面をバウンドして跳ね回るのとどっちが恥ずかしいと思う?」
「……」
いや確かにそれは、そっちの方が恥ずかしかったのかもしれないが……。うーん、何故だろうこっちの方が悪いような気がしてきた。
「わかった俺が悪かった。すまん。俺とペアを組んでくれ」
「ふっ、そこまで言うなら仕方ないわね」
意外に謝ったらすぐに許してくれたな。
長引くと目立つということもあったのかもしれないが。
取りつく島もないと思っていたので僥倖だ。
「あんた名前なんていうの?」
「……リード。そっちは何ていうんだ?」
「あたしの名前は、エラー」
教室で名前を言ったというのにもう忘れられていたことにイラっとするが、機嫌を損ねてもしょうがないので流す。
それよりも周りがもう魔法を発動させているので、こちらも合体魔法をしなければならない。
「あんたの名前はエラーか。トラブルメーカーぽい名前だな。さっそくだけど俺は合体魔法の使い方を知らないから、教えてくれよ」
エラーは俺の言葉をむすっとしたようだが、食って掛かることはなかった。
もしかしたら、トラブルメーカーという部分が図星だったのかもしれない。
「はぁ、そんなことも知らないの。合体魔法は二人でタイミングと配合を合わせて三級魔法を使って二級魔法を発動させたり、二級魔法と三級魔法を組み合わせて一級魔法を発動させたりすることよ」
いや、なんで知らないのといわれても、新入生だし知らないに決まってるでしょう。
エラーはどうやら、人に求めるハードルがかなり高いようだ。
「というと、三級火魔法と三級水魔法を合わせて、二級火魔法「ボム」を作るみたいなものてこと?」
「そういうこと。わかったなら早くやるわよ」
ハリボテの中にいるというのに、エラーのやる気に満ち溢れた声が耳に響く。
そんな事を言われても、タイミングも配合もどんな具合でやればいいのかわからない。
というよりも各々の魔法の出力なんて違うのに、それで配合を合わせろてきつくないか。
もしエラーの出力が俺より高かったら、エラーが出力を小さく調整するか、俺が自分の出力を高く調整するかしなければいけない。
結構そこらへんの調整が難しいことは想像に難くない。
「タイミングと調整はどうするんだ?」
「タイミングはわたくしが『はい』て言ったら。調整はやってみるまで分からないからいつも通りでいいわよ」
「魔法は二級水魔法『ミスト』でいいか」
「いいわよ。あたしが水魔法やるから、あんたは火魔法をやりなさい」
『ミスト』のマナの配分は水7、火3だから、俺は小さいほうか。
まあエラーが水を担当した方が、俺が配分ミスして火勢大きくし過ぎても、フォロー出来るからな。
しくじって『ボム』を発動させて、エラーを巻き込んでもしょうがないので、地面に向けて手を掲げる。
俺は準備ができたことを伝えるために、エラーに目配せする。
「はい!」
合図が聞こえると同時に三級火魔法を発動させる。
俺から火炎放射が、エラーから水が放出させられた。
少し火勢を強くし過ぎたみたいで水が蒸発しかかっている。
火魔法を止めようと思うとエラーが水魔法の出力を強くして、調整した。
霧が周りに生じる。
初めての合体魔法だったが、エラーの機転で成功した。
「よし、成功ね。次は、一級魔法行くわよ」
「すまん。俺やったことないんだけど」
「リードは、三級魔法使えばいいだけだからすぐできるわよ。文句言ってないでやるわよ」
エラーはやる気満々で、命令口調でそういう。
魔法が好きなのだろう。声色とテンションが魔法を使ってるときは高い。
テンションの高い奴のペースに乗せられ、俺は終わりの鐘が鳴るまでぶっ続けで合体魔法を発動させ続けた。




