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ダンジョンリフォーマー〜リフォームで魔王と仲良くなる異世界放浪記〜  作者: スイセイムシ
シュライク魔法学園―魔道習得編  サイドC
32/155

26 深淵見学




 小さな明かりが点々と配置されている回廊を進んでいく。

 入った時に目をつぶされ、「目がぁ、目がぁ」といった時にデジャウを感じた。

 雪将軍、ビキニアーマー……。うっ! 頭が……!

 これ以上は危険だ。大人しく深淵の内部を目に収めるとしよう。


 明かりにまた目をつぶされないように、あまり上を見ずに回廊に目を這わせていく。

 特に普通の迷宮と変わったところはなく、違うところといえば、壁が肉肉しく、生き物のように蠕動している事くらいだ。

 戦々恐々として入ったが、期待外れといっては何だが、俺が想像したものよりだいぶこのダンジョンは緩い。

 モンスターは出てこないし、さしたるトラップも発動しない。


「前、上司から深淵について、嫌というほど悪い噂を聞きましたけど、ここは噂とは全然違いますね」

「あなた方は、この深淵の主と契約を交わしてますからね。敵とはみなされていないので、深淵のトラップは発動しないようになっていますから」


 契約。

 先ほどの門の前で果たした契約の事だろうか。あれは学園と契約というわけではなく、ここの主―魔王との契約だったという訳だ。


「契約の主が魔王ですか……。先に言ってくれても良かったんですがね」


 アルテマイヤは契約主をごまかされたのが面白くないのか、不平を口に出す。


「すいません、魔王と聞くとやはり皆さん、いい印象は持っていないので、契約の段になって拒否して、学園に入ってしまうということが在るものですから」

「契約をせずに、学園に入ったものはどうなったのですか?」


 学園長――ヒースが口を濁したところを、アルテマイヤが耳ざとく聞き返す。

 相変らず、性格がきついなあ。言葉を濁したところなどなんとなく、言いたくないことだろうとわかるだろうに。

 しかも、魔王の近くで起こることなど簡単にわかる。


「……亡くなりました」


 ヒースはひどく沈鬱な顔でそう答えた。

 その回答を聞くと、アルテマイヤはフンと鼻を鳴らす。

 そのアルテマイヤの態度に対抗心を燃やしてかは知らないが


「ですが、必ずこのことは止めるようにします。必ず」


 ヒースは思いつめた顔でそういった。

 



 その後ヒースはテンションが低かったものの、深淵にあるトラップについて紹介した。

 大音声を出す拡声器のようなもの、不快なにおいを放つという換気口、常時ランダムに発動して固有種のモンスターがひしめく部屋にたたき落とす落とし罠。

 まだまだトラップは在るらしいが、それを周り、解説をすると一日を費やしてしまうというらしく、割愛された。



 いくつ目かはわからないが、階段を上って、大きな門の前に出た時に学園長は立ち止まってこちらを振り返った。


「すいません、ここから先は魔王の間となりますので、リード殿、この覆面を被ってもらってもよろしいでしょうか。あなたと瓜二つのリーデンベルクのせいで、この先にいる魔王はリザードマンを見ると気が立つものですから」


 なるほど。リーデンベルクという奴はリザードマンのネガキャンを盛大にしてくれたらしい。

 これを断ったら、なんとなく魔王に八つ裂きにされるビジョンが見えた。

 断る理由などない。


「いいですよ」


 俺が了承するとヒースは服のポケットから覆面を取り出し、渡してきた。

 その覆面は俗にいうずた袋という奴で、猟奇殺人鬼がよくつけるあれだった。

 スプラッターなそれをつけた方が印象は悪いような気がしたが、こっちの方がましだというので半信半疑ながらそいつを被る。


「では、入りましょうか」


 ヒースは俺がずた袋をつけたのを確認すると、門を開けた。


 開かれた門の間から見えたのは、いたずらに広く左右の壁に本が所せましと並べられた部屋だった。

 魔王の間というよりは、どちらかというと書斎という方が近いような気がする。

 その書斎のような部屋の最奥にある不釣り合いな玉座に一人の男がいた。

 玉座の男は本を読んでいたようだが、こちらを見つけると微笑んで本を閉じる。


「新入生の皆さんこんにちは。僕はこの深淵の魔王シェイム・レッドハウンドといいます。よろしくお願いします」


 俺があった魔王は、大きなおっさん、ナイスガイときて、今度は優男だった。






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