23 シュライク魔法学園
魔法学園。そこに俺たちはいた。
場所は敷地内ではなく、校門の前だが。
しかしここからでも無駄にデカい敷地の中に、厩、謎の塔、四階くらいは高さがありそうなコの字型の校舎が在ることは確認できる。
謎の塔の黒々しく、突起をいたるところから突き出している反社会的な様相と、優しい茶色を基調にした社会に準じるだろう若人を送り出す校舎の外観が見事なコントラストを生じさせている。
二つとも近くにあるので、差異が目に応える。
さて俺は魔法学園を満喫した。我が魂の故郷フリジに帰還しようではないか。
「どこに行くんですか?リード」
踵を返したというのに、肩を万力のような力でつかまれて体が動かない。
「事務所に戻るんだよ。魔法学園てお前。厭な予感しかしないわ」
絶対にちょっかいかけてくる同級生とか例のあの人みたいな奴が出てくるだろうか。挙句の果てに眼鏡かけて、ステッキから雷バチバチさせてる将来しか見えない。
「何を言ってるんですか。旦那様からの依頼の放棄になりますよ。迷宮改築の技術を習得するのですから帰るのは魔法を習得してからです」
アルテマイヤはジト目でそんなことを言ってくる。
魔法を習得してて……、何時になると思ってるんだ。終わった頃には前世の年齢に追いついてそうだ。
「まったくこれだから、新人は打たれ弱くて困ります。トリシュも情けない同僚に何か言ってやりなさい」
「腹減った……」
こっちを向いてそんな事を言うな。「お前、マルかじり」とか言ってるようなもんだぞ。
まあ、魔法学園の道中でトリシュの食料のストックが切れかかって、ちょびとしか食えていないのでしょうがないといえば、しょうがないのだが。
この様子からすると魔法学園に逗留するにも、帰るにしても一度敷地内に入る必要がありそうだ。
「皆さん、お待たせいたしました。ギアスロールの準備ができましたので、ここで、契約を完了させたら中に入っていただきたいと思います」
重そうな門を開いたと思うと、つややかな金髪ショートを揺らして、ボーイッシュな碧眼のお姉さんが出てきた。
実に爽やかな人間だ。魔法て陰気臭いイメージがあるから、それが爽やかさを助長している感もあるが。
それよりも彼女の口から洩れた契約とギアスロールという言葉が非常に気になる。
「契約の内容は何ですか?」
アルテマイヤがお姉さんに尋ねる。疑問を口にしようと思ったが話が進行しているのでやめる。
アルテマイヤがそれに関しては詳しそうだし、ここは任せて、後から聞くことにしよう。
「契約の内容は、こちらは生徒及び講師陣に危害を加えないこと、そちらは学園で教授を受ける権利の保障となっています」
「……妥当ですね。契約を結ばせてもらいましょう」
アルテマイヤが了承の意を伝えるとお姉さんは三本のナイフを生じさせて、ギアスロールと共に俺たちに渡してきた。
アルテマイヤとトリシュは指の先をきると、ギアスロールに血をつける。
おそらくこれが契約完了の行為なのだろう。
俺もそれに習って、ギアスロールに血をつける。
「皆さん全員契約完了ですね。ギアスロールをこちらに」
ギアスロールをお姉さんに預ける。
「では、改めまして。皆さん、シュライク魔法学園にようこそ。我々はあなた方を歓迎します」
そうして、俺たちはシュライク魔法学園の門をくぐった。




