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幕間⑤ バディウォーリアー(2)





 リードは他のパーティを組んだ奴よりは相性がいい。

 今まで組んだことのなかった魔法使いというのもあるが、他の奴のように文句を垂らすことがないというのがデカい。

 奴曰く、「お前の方が魔物狩りの経験があるからお前の判断が正しい」というのがあたしに文句を言わない理由らしい。

 トカゲのくせにちゃんとものが分かっているようだ。

 最初の方は腹が減ったら、あたしの頭を齧るんじゃないかと少し警戒していたがいらぬ心配だったらしい。




「アニャン、迷宮の種類てどれくらいあるんだ?」


 リードは迷宮の無機質な木の扉を見てつぶやく。


 ――そんなのあたしも迷宮に入ったことがないんだからわかるわけないだろ……。


 あたしは少し焦った。そんなことは知らない。

 だが正直に知らないと話せば、リードに先輩としての威厳が保てない。


「ああ、め、迷宮ね。迷宮は、……しょ、初級、中級、上級くらい」


 知ったかぶりをした。


「初級、中級、上級しかないてことか。ふーん。結構、種類少ないんだな」

「そう、そう。そんなことより目の前の迷宮だよ、迷宮」


 内心冷や汗を流しながら、迷宮にリードを押し込む。



 初級迷宮『始まりの洞窟』の中は洞窟という割には明るかった。

 というか、暗いところなど自分たちの影くらいしかない。

 そのおかげで先にいるモンスターの姿もくっきり見えた。


 あたしは早速先制で突撃していく。

 剣で貫き。盾ではじき。足でいなす。

 そうやってあたしがモンスターに攻撃しているところをリードが魔法でフォローする。

 楽勝だ。カウンターのお姉さんは気を引き締めろとか何とか言っていたが、こんな雑魚に引き締める必要がない。

 モンスター共を撃破して少し行くとすぐに階段が見えてきた。


「ふん。初級迷宮も大したことな。楽勝すぎるわ」

「確かにな。大して強い奴もいないしな。……でも、ボスの時は警戒した方がいいんじゃないか。他の奴より強いとかもっぱらの噂だぞ」

「あんた、ビビりすぎでしょ。ここの奴らがこんだけ弱いんだから多少強くても大したことないて」


 不甲斐ない相棒にそういうと、あたしはささっとで階段を降りていく。


 ちゃちゃとこんなところは抜けて、あたしになめた態度をとった大人共をぎゃふんと言わせてやる。

 足早に階段を降りるとひときわでかいモンスター――単眼の巨人が仁王立ちして待っていた。

 こいつがボスだろう。


「おお。よくぞ。ここまでたどり着いた冒険者よ。私がここのダンジョンマスター――」


 長そうな前口上を言い始めた。

 そんなものを待つわけがない。

 あたしは奴に突撃を掛けた。


「名乗りの途中に攻撃を仕掛けるとは無粋な!」


 ボスは、吠えると棍棒をあたしに振り上げてきた。

 盾を構えっているのだ。そんなの効くわけがないだろうに。


 だというのになぜか棍棒を受けた瞬間、盾を構えていた左腕に鈍い痛みと、背中が大きな衝撃に襲われた。

 壁にたたきつけられた。すぐにそう認識した。

 痛みのせいか体を動かせない。


「アニャン、お前、腕が……」


 リードがボスに背を向けて、こちらに向かっていた。

 その後ろでボスが棍棒をリードに振り下ろそうとしている。


「よけろ……」


 あたしは叫んだはずなのに。口からは小さなかすれ声しか出なかった。

 リードは声に気づかず、棍棒がその頭に降ろされた。


 はあ?


 あり得ない光景を見た。

 棍棒はリードの頭を殴ると砕け散った。

 リードは頭から血を流しているが、大した負傷ではない。

 あたしの手が折れたんだ。普通頭蓋骨が粉砕されてもおかしくないのに、なんでこいつは……あまつさえ棍棒を壊しているんだ。



「イタ!何すんだ、こいつ」


 そういうとリードはボスを土魔法で作った落とし穴に落とした。




 それからの事はよく覚えていない。

 おそらく、リードが自分より強いという事実が予想以上にショックだったのだと思う。


 起きると教会のベッドの上だった。


 死ぬほど悔しい!


 大人に馬鹿にされるよりもよっぽど、リードが自分より上という事実の方が悔しかった。

 起きるとすぐにその感情に支配される。


 リードに会いに行くことにした。リードが調子に乗らないように釘をさすためだ。

 リードに声をかけると


「アニャン、初級迷宮クリアしてCランク冒険者になったから……。おれ、迷宮構築師になりに行ってくるわ」


 とほざいた。

 こいつどういう神経してるんだ……。

 いきなりすぎるし、それじゃあ、リードをぎゃふんといわせられない。

 止めないと!と思ったのだが


「ふん!じゃあ、とっとと行けば!」


 と逆にぶっきらぼうな言葉を吐いてしまった。


「すまん、アニャン。元気でな。どっかでまた会おう」


 リードは申し訳なさそうな顔でそう言い、村から出ていた。


 リードが出ていても悔しさは消えないし、リードくらいましな相棒も見つけられなかった。

 あたしは決意した。


 修行にでて、強くなって、あいつを見返してやろう、と。


 あたしはリードが出っていた三日後に村を発った。







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