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135 第三の選択




 ラルフは白と黒のオーラを放ちながらこちらに向かって来る。

 奴は手を上げるとそこに黒いオーラが集中し始めた。

 その様子を見て今までの経験から大きな攻撃が来るとわかった。


 そう思うと奴は過たずに手から黒い波動を放出する。

 対消滅させるためにこちらも破壊の力を放つ。

 黒い波動と黒い波動のぶつかり、少し拮抗するかと思うと、ラルフの黒い波動が俺の黒い波動を打ち負かし、こちらに迫って来た。


「リード。俺は元々破壊の神だ。同じ破壊の力使っても、お前が勝てる道理などない」


 慌てて、黒い波動を回避して波動の範囲内から逃げていく。

 同じものを使ってもプロと素人じゃ全然違うてことか……。

 奴に破壊の神聖力を使って、対抗するのは叶わないらしい。


 スリート、お前の創造の力ではどうにかならないのか?


『あなたが先ほどの選択をするというなら、私はその質問に答えかねますね』


 そう尋ねるとスリートは憮然とした声で答えることを拒否した。


 なんでだ? あの選択ならば誰も犠牲にならずに済む可能性ができる。


『それはただの希望的観測です。あなたの取る選択は実際のところリスクがあまりにも大きい。最悪あなたが犠牲になってそれで終わるかもしれません』


 どんな選択にもリスクはつくんだから、そんなこと言ってもしょうがないだろう。

 それに俺はあの2つの世界は嫌なんだ。


『あなたはわがままですね』


 わがままか……。どちらかというと強く望んで全部救いたいと思ってたわけじゃなく、ただ選べなかっただけだから俺が弱かったという方が自分的にはしっくりくるんだがな。

 自分の命を犠牲にしてスリートを苦しめる世界も、大切なものを犠牲にして、トリシュだけを生存させる世界も取れなかった。

 だからおれは第三の選択肢を取る。


 俺がそう決意した結果、『神の書』は壊れたように意味のない羅列が続くようのものになり、選択後の世界がどうなるかは全く分からないが、確かに俺はこの選択で誰も犠牲にしなくてもいい世界が実現できると展望が見えたのだ。

 それにまったくわからないということは俺の展望が叶う可能性も確かに存在するということだ。


 手を伸ばせばそれを掴めるかもしれないのだ。ならばそれに手を伸ばしたい。

 だからそのために協力してくれスリート!


『確かじゃない選択は好きじゃないですが、それですべて救えるというのならいいかもしれませんね。よくよく考えれば私とラルフの罪を命で清算できるほど軽いものじゃありませんし。あなたの世界ならばちゃんとした形で人々に報いて、償うことができますしね』


 しょうがないと言った感じでスリートはため息を吐くとこちらに協力をしてくれる意を伝えてきた。


『……先ほどの質問に答えましょう。創造の力で破壊の力を対消滅させることはできます。

ですがそれは破壊の力を消滅させるだけで、攻撃能力は皆無に等しく、防御するときにしか使えないのでラルフと戦う上ではあまり有効打にはなりません』


 スリートはこちらの質問に答えた。

 だがそれはあまりいい返事ではない。

 こちらは防御しかできないのだ。魔法などの攻撃手段と併用して使う必要がある。

 あちらは一つで防御も攻撃もできるのでフットワークはどうしてもこちらの方が劣る。


『あなたの特一級空魔法ならば防禦も攻撃もできるはずですから、創造の神聖力よりもそちらを使った方がいいでしょう』


 でもあれは爆発でとりまわしが悪いし、防御しろっていてもどうやって防御するんだ?


『フォースと同じ様に体に纏えば防御となりますよ』


 爆発するものをどうやって纏えっていうんだ?


『爆発する臨界のところで魔力を抑えて、体のまわりに発動させれば纏えます。

纏うと魔力で活性化されたマナに体を傷つけられますが、私の創造の力で何とかできますから気にしなくていいです』


 なるほど。臨界寸前で止めるていう手段があったか。

 爆発させるものは魔力を込めれば込めるほどいいという固定観念があってついぞ思いつかなかった。


 奴の言葉に従い、臨界ぎりぎりで魔力を抑えて特一級空魔法を纏う。

 体の表面が削れていく感覚に襲われ、痛みが走るがすぐに緩和された。

 おそらくスリートが創造の力で削れる前に皮膚でも創造しているのだろう。


 これでラルフとやり合えると言っても実感がわかないがやるしかない。

 先ほどまで様子見のように破壊の波動や瑠璃色の光弾を放ていたラルフは、こちらの様子が変わったせいか急接近して黒いオーラを纏った拳をぶつけてきた。


 纏った特一級魔法のおかげで黒いオーラは大丈夫だが、拳から放たれる衝撃まではどうにもならない。

 拳の衝撃が体を貫き、痛みが走る。


 追撃をされないために、奴の胸にカウンターを入れる。


「腰が入っていない」


 カウンターが入ったというのに、ラルフは涼しい顔でこちらの粗を指摘してきた。


『拳だけ臨界を越えさせてください!』


 するとタイミングを見計らったようにスリートがそう言ってきた。

 奴の言葉に反射で応える。

 すると激痛と共に爆発がおき、ラルフが飛んでいた。

 飛んでいた先を見ると瓦礫の中から血だらけになったラルフが這い出て来た。

 奴は白いオーラを体で覆うと傷を癒した。


 次ぎ来たらどう対処しようかと爆発した拳を見ると綺麗に拳がまた生じている。

 なるほど、拳を犠牲にしても創造の力で再生できるから大丈夫なのか。


 スリート、破壊の力は壊すものを限定できるか?


『できますよ。それを使ってラルフは神としての私と自身を破壊しましたから』


 出来るのか。

 そうわかるとこれからどう立ち回るか決まった。

 奴に接近し、破壊の力を発動し神としての奴だけを破壊するために


 こちらが決意するとラルフは、接近戦は危険だと悟ったのか。

 体の黒いオーラをすべて右腕に集中させてこちらに打ち出してきた。


 スリート、創造の力であれを抑えてくれ!


『言われずとも、やるから大丈夫ですよ』


 スリートがそう答えると白いオーラが目前から放たれた。

 拮抗して対消滅するのを確認すると、こちらから仕掛ける。


 ラルフに向かって接近し、拳を放つ。

 奴はこちらからくるとは思っていなかったのか虚を突かれるような顔をしたが、それも一瞬で冷静な顔になると避けた。

 さらにこちらにカウンターとして蹴りを横から繰り出す。

 左手でそれを受け止め、爆発させる。


 ラルフは吹っ飛んだが先ほどとは異なり、体勢を空中で立て直し、空気を蹴ってこちらに向けて破壊の波動を放ちながら近づいて来る。


 それをスリートが放っただろう白いオーラが打ち消す。


 ラルフは接近すると鉄の糸――ワイヤーのようなものを手に生じさせてこちらの首に巻き付けてきた。


 窒息させるつもりか……。

 破壊の力を首に発現させて、ワイヤーを破壊する。

 後ろに回っただろう奴の元に振り向くと、顎に強烈な衝撃が走った。

 脳が揺れ、意識が飛びかける。

 意識は何とか保ったが、脳震盪を起こしたのか体が言うことを聞かずに前のめりに倒れる。


「リード、消失するときまで眠っててくれ……」


 ラルフはこちらの意識を刈り取ったと思たのか、疲れた顔でそう言った。


 まだだ。まだ終わっていない。

 体を動かずとも魔法は使える。

 奴の背後に特一級空魔法を展開する。


 ラルフともどもそこから吹っ飛ばされる。

 何度か衝撃に体を貫かれると開いたままの目が、ラルフがおれを下敷きにして倒れているところを確認する。

 ラルフがこちらの腹に手をついて立ち上がろうとするところで限定して破壊の力を発動した。


「リード、お前。破壊の力を限定して『神としての俺』だけを破壊したな! 何を考えている!?」


 奴は神の権能と白と黒のオーラを体から放出させながら、理解できないものを見る目で俺を見つめた。


 ラルフが放出させた神としての力はこちらにすべて流れ込んできた。

 これで2柱分の神の権能と神聖力が俺の中にながれこんできた。


 第三の選択を取るための最低条件がそろった。

 




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