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98 空中戦




 中天に上った太陽の元。

 無存在と精霊、魔王の娘と英雄がにらみ合う。


 その緊張を魔王の娘―シェーンが最初に破った。

 青空を突っ切り英雄に迫ると拳と剣の応酬を繰り返しながら、黒い影は空を自由落下して行く。


 そちらに目をやっていると、土のマナが視界の端で蠢く。

 土魔法が発動する前兆。風魔法で移動し急いで回避する。


「完全に気をぬいとったというのになぜ回避できる?」


 土精霊の方を見やるとこちらに質問を投げかけてきた。

 応える必要はない。

 それよりも無力化するために奴の周りに集まる土のマナを散らせることにする。

 土のマナを散らせるために奴の周りに意識を集中する。


 だが、土のマナは動かなかった。どうゆうことだ……?


『単純にあなたよりも、あっちの方が土のマナを支配する力が強いだけです。私のマナを操る権能は土精霊よりも上ですが、あなたはペーペーですからね……。マナを操るんじゃなくて、魔法で対抗した方がいいですよ』


 アイツがマナ操作(中)LVMaxだとすると、俺はマナ操作(大)LV1みたいなもんてことか。

 忠告と体験でマナをうごかせる気もしないので、魔法を放つことに切り替える。

 体を浮かせている特一級風魔法をそのまま利用して、奴にかまいたちを放つ。


「ふん! ちんけな人の技など食らう訳もなかろう」


 無数のかまいたちを土精霊は土壁を広げることで、レジストする。

 そう簡単には行くわけもないか……。

 奴の土壁は堅牢だ。普通の特一級魔法では突破力が足りないし、突破力のある『メテオ』使っても、土のマナを操作されて途中で崩壊させることが容易に想像できる。

 手としては、先ほどの三重の特一級魔法しかなさそうだ。


『リード。今は土精霊が来たおかげで、土のマナがあるんです。やるならば、四重――特一級空魔法の方がいいでしょう。そちらの方が確実です』


 でもそれじゃ、土のマナも使うから操作されて崩壊させられるし、第一、土のマナはあいつが操っているから使えないだろう。


『大丈夫ですよ。土精霊もすべての土のマナをいつも操れる程器用ではありませんし、特一級空魔法は一瞬なので、土のマナを操作する隙もありませんよ』


 試しに三級土魔法で、小さな土片を作ってみると形を成した。

 スリートの言は正しいようだ。それを確認すると迷いが消えた。

 特一級空魔法を発動させるために、風、火、水、土の順番で重ねることにする。


 火まで重ねたところで、土のマナが急激に動き出し始めた。


「顔が変わったな……。お主、何をするつもりか……」


 どうやら、こちらの所作で土精霊は何かをすると悟ったらしい。

 土のマナが動き、その度に土槌、土槍、土壁が生じる。

 魔法をくみ上げながら、それを避ける。

 ひどく脈絡がないので、土のマナが見えなかったらと思うと背筋がぞっとした。


「ちょこまか、ちょこまか避けおって! お前を見とるとスリートを思い出すわい」


 そう怒鳴ると、俺の全方向に土のマナを集め始めた。

 土で固めて、握り潰すつもりだろう。


 まずい……。

 だが、もう後は特一級土魔法を重ねるだけだ。

 特一級土魔法を重ねて、特一級空魔法を発動させる。


 奴のいる場所で、マナが凝縮し、大爆発が起こった。

 『ボム』の比ではない。爆発は空気だけでなく、マナまでも吹き飛ばしている。


 その余波はおれまでも吹き飛ばした。空中で錐もみして、目を回しながらも風魔法で制動を掛ける。

 態勢を整え、土精霊がいた位置を見つめると、奴の姿は消えていた。

 その代わりに膨大な量の土のマナが散乱している。


『土精霊、撃退完了ですね……』


 その言葉を聞いて、やっと目の前の脅威が消えたことを理解した。





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