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97 確信




こちらの返事を待つように、鋭い双眸が睨みつけてくる。

その睨み目を見ていると久しぶりに、シェーンに再会したのだと実感した。

こんな状況だというのに、何を考えているのか俺は……。

言い逃れが出来そうにはないが、どうしたものだろうか?


『言い逃れしてください。シェーンにバレれば、ラルフにも生存していることがばれます。必ずあの人は私たちを潰しに来るでしょう。今度は塵さえ残さずにこの世から消えますよ』


それはまずい。だが今シェーンは俺だと気づきかけたことで、処刑を止めている。

俺じゃないと否定すれば、奴がどうするかなど想像せずとも理解できる。

どちらに転んでも碌なものでもなさそうだ。

こちらが応えるか、応えるまいか煩悶しているとシェーンは口を開いた。


「沈黙は肯定と受け取る。貴様、何故生きている?」


そう詰問すると、シェーンは俺を揺さぶる。

完全に断定に入っている。容疑者を尋問する刑事の態度に近い。


「誤解です! 俺はリードじゃなく教会の神父、リーデンベルクといいます!」


揺さぶられながら、俺は苦し紛れの嘘を吐くが揺さぶりは止まらない。

奴の確信に罅も入れることは出来ていないようだ。


「嘘をつけ! そんな腰の入っていないひょろひょろな殴り方をする奴など、お前以外にいるわけないだろ!」


シェーンは地味にディスった上に、揺さぶりを強めていく。

俺の嘘は裏目に出たようだ。


 どうしたものかと手を考えているとシェーンは俺から離れた。

 先ほどシェーンが居た位置に、何かが通り過ぎる。


「うおおおおおー!」


 ドップラー効果を起こした老人の声が遅れて聞こえた。


「無事か?」


 背後を振るむくとホットがいた。

 なぜここに思う?と、ホットは落ちていく。


 奴が浮けなかったことを思い出した。急いで風魔法で浮かせる。


「無事なら、浮かせてくれ……」


 小言を吐きながらげんなりした顔でホットは浮上してくる。


「悪かったよ。それより、なんでお前がここにいるんだ下の奴はどうした?」

「下の奴らか。バルザックは叩いて眠らせて、土魔法の爺さんはあそこにいる」


 奴が指さした先に、左腕のない土精霊と再び影で顔を覆たシェーンがいた。


「なんじゃあれは! 殺しても死なんかったぞ……! 人間じゃなかろうが!」


 老人は額に汗を浮かべて、こちらを凝視してくる。

 その言葉で英雄の不死身伝説が本当だったのだということを確信する。


「化け物はそっちだろうが……。なんで地面のないところから土槍が出たり、地面をいきなり崩壊させることができる。そんなことができる術など見たことも聞いたこともない」


 腰にぶら下げている光る箱。ホットはそれをチラりと見やるとそうぼやいた。

 心無しかその箱の光が以前見た時よりも、弱くなっている気がする。

 前見た時と同じようにその光には、なにか引き付けられるような魅力を感じる。


「コールド!」


 箱に目を奪われかけると、シェーンの怒号が鼓膜を揺らした。

 それが空中での戦いの始まりのように、俺たちはにらみ合った。





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