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091 世界の中心

久し振りに猫ちゃんの暖かさを感じてる気がする。

金髪も抱き心地は良いけどやっぱり猫ちゃんだよね。

猫ちゃーん。


「はい。いますよ。よく眠られましたか?」


バッチリだ。

今日は世界の中心の調査だよ。


「何か焦っていますよね。そんなにも切迫しているのですか?」


分からない。

けど、そわそわするんだよね。

コアさんはどんな感じ?


『肯定。古代遺物の記憶が断片的にも介入していると推測します』


世界の中心に行けば僕の、いや、このダンジョンの成り立ちや存在する意味が見出だせるかもしれないんだ。

だから、僕よりも優先された古代遺物がどんな物なのか知りたい。

そんな所かな。


「分かりました。お供はしますよ」


「私も行くわ。古代の叡知が生きているのよね。わくわくするわ」


普通の人間じゃ近寄れないらしいよ。

気をつけてね。


「「はい」」




「これは息苦しさを感じますね。モンスターすら存在できません」


「魔力かしら。変質してよく分からないわ」


介入不可のエリアの森。

もう何が出ても驚かないよってくらいに不気味だ。

木も変質して植物なのか怪しい、黒いし。


ここで麓だ。

山を越えたら盆地になっているはず。

古代文献の情報だから信憑性はないけどね。


時間をかけてゆっくり歩く必要もない。

魔法で加速して走って一気に登りきる。

僕も猫ちゃんも金髪も強くなったなぁ。


「これは…」


「入っちゃ駄目よ! あれは不味いわ!」


頂上で見たものは黒い湖…のようなもの。

広大なカルデラ盆地に8割は溜まっていて、うごうごと蠢いて、今にも溢れそうだ。

これは何だろうね?


『結果。モンスターと同質です。推測。古代遺物はモンスターの原型を崩し封印したのでしょう。厳重注意。範囲に入れば溶けると思われます』


今の僕はダンジョンだ。黒いドロドロも範囲に入っているので干渉してみる。

あ、一滴程度でランク1のモンスターを生むことができた。

湖に投げ込むと溶けた。

これは溜めすぎだな。


「急にモンスターを呼んだと思ったら確認ですか?」


ここの黒い湖は水滴1粒でランク1相当のモンスターだよ。

それがこの量だ。

古代人は処理まで考えてはなかったのか?


『報告。呼称「古代遺物」より通知あり。「起動限界により魔力への還元が追い付かず。応援求む」以上です』


そっかぁ。

モンスターを魔力に還元して、その魔力で起動しているのかな?


『報告。呼称「古代遺物」より通知あり。「劣化。還元比率の低下。自己修復する魔力の余剰余裕なし。応援求む」以上です』


ふむ。

魔力の供給は出来ると思うが、一回この黒い湖を片付けないとな。

今の僕でも一人じゃ無理だな。


「私達もいますよ。と言いたいですが焼け石に水ですね」


そうなんだよね。

処理する手順を考えないとね。

まぁもう決めてるけど。


「ダンジョンよね! 作るの?」


そうなるね。

コアさん、古代遺物に許可をもらって。


『了解。交渉。…。許可が出ました。マスターのダンジョンのみ作成が可能になりました』


本来ならダンジョンは敵だよね。

巣穴を作られないように対策されていたんだろう。

いや、古代遺物の破壊や黒い湖に溶けずにモンスターが入ったら崩壊するな。

ちゃんと古代人も考えていたんだね。


さて、作るか。

麓に帰るよ。


「「はい」」




黒い森からも出て巨大なカルデラ全てを飲み込むようにダンジョンを作っていく。


地下1階は黒い森の直下に。

地下2階は黒い森とカルデラを形成している山脈に。

地下3階以降は山脈とカルデラの下に。


ランクは階に合わせて湧くようにする。

地下1階ならランク1、地下2階ならランク2、と難易度調整。

生まれるモンスターは食用限定にしておいた。


食料事情と黒い湖対策になるだろう。

冒険者は食料を調達する生産者にもなるんだ。

まぁ妖精の住み家や他でもやっているけどね。


しかしここは急務だ。

面倒だが屑の王様経由で対策してもらおう。

世界の存亡がかかってるからね。


僕が行かなきゃ人類は滅んでたんじゃないかな?




と、屑の王様に話してみた。


「な、んと!? そんな状況なのか! これは世界会議を開かないといけない規模だぞ! 感謝を! 感謝するぞ!」


「うん。僕じゃ無理だった。基礎は作ったけど処理は任せるよ」


「普通の人間に対策出来ようもない。会議は妖精の聖地を利用してよいか?」


「いいよ。好き放題は嫌だけど適当に使って。うちの子に迷惑かけないでね」


鉱山も役目を終えたので鉱山側の本当の配下の住み家の一角に人間用の建物を用意している。

世界規模の最重要な案件はそこで開かれる、妖精の家が存在するから聖地とか勝手に言ってるが配下の住宅ってだけだ。

妖精の通り道とかを話し合うのだがまだ数回しか使ってないんだよね。


「分かっておる。あそこはある意味では世界の中心じゃ。世界の政治があそこだけで動くのだからな」


なんか知らないうちに各国の外交官が地上部に建物構えて居座ってるんだよね。

世界を征服した気分?

君臨すれども統治せず?


「僕も出ようか?」


「なにぃ!!! お主が出るだとぉ!? そこまでの危機なのかぁ!? んんっ。す、すまない。取り乱した。助かる。出てくれ」


失礼な。

午前中なら気が向いたら働くんだぞ。

気が向いたらね。


準備に相応の時間がかかるとのこと。

世界の重臣が来るもんね。

大変だねぇ。


さて、任せて帰ろう。


「用意できたら教えてね。じゃね」

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