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090 寝坊が過ぎた

夢を見ていた。

ベッドからあまり動くことはできないが優しい家族に囲まれていた。

自分だけが劣等感で押し潰されそうだった。


やがて心に限界が来た。

少し調子のよい時に死に場所を求めて這うように森に入った。

そこで死に場所を見つけ、死んだ。




コアさん、どう?


『困惑。外部との情報が絶たれています』


僕もなんだか何もない空間に取り残されている感じだよ。


『理解。このダンジョンは人工物です』


そうだね。

ダンジョンを殺すダンジョン。

それの試作だね。


『結果。破棄されています』


この計画は中止に終わったんだね。

別の計画が軌道に乗って途中で終わったんだ。


『不可解。残っています』


休眠していたのかな?

だって僕達の見ているものは数百年と経っていそうだよ。

見ている景色の世界が違うよ。


『肯定。遺失文化です』


昔はすごいね。何で今はこんなに劣化したのだろう?


『難解。情報が足りません』


そうだね。

この記憶はコアが見た情報だけだ。

推測するにしても分からないことが多すぎるね。


『一部理解。呼称「妖精の通り道」が設置できなかった空白地帯に原因あり』


あぁ、あそこね。

ダンジョンがないのに干渉できなかった場所だね。

この情報からしたら人工コアを破棄するに至った計画の結果があるのだろうね。


『肯定。人工コアの封印。優先プランの結果がその場所だと推測します』


確認に行こうか。

ボチボチ起きないとね。

皆が心配しているよ。


『困惑。私は残って良かったのですか?』


いいよ。

改めて、これからもよろしく。

コアさん。


『同意。よろしくお願いします』




「おはようございます、ご主人様。寝坊が過ぎると不安になりますよ」


おはよう、猫ちゃん、金髪、皆。

泣かないで、ちゃんとコアさんもいるよ。

ありがとう、皆が頑張ったから理想が叶ったよ。


『感謝。これからもマスターの側で支えることが出来ます』


コアさんは変わらないね。

それで、どのくらい寝坊したのかな?


「ばかぁ。ご主人様は163日も寝ていたのよ! 途中から制御を離れて何も出来なくなったんだから。感謝しなさいよ!」


あぁそれは寝過ぎたね。

さて世界はどうなったかな?

あれ? なんで人はこっちを見ているんだ?


「ご主人様が発する魔力が天を貫く光の柱になっていたんです。光の柱が消えたので、生まれ変わりの終わりを結果的に世界に告げたのですよ」


大層な表現だね。

僕は神か何かなのかな?


「信仰は集めているじゃない。自覚ないの? 今回の事で人間の中じゃ神格化は確定よ」


面倒。

いつもの通りに生活するよ。

あぁ、一ヶ所、行かなきゃいけないんだった。


「お供します」


「逃がさないわよ!」


うーん、様子を見に行くだけなんだよね。

あの空白地帯にある僕より上質な古代遺物が生きているか確認なんだよ。


「そのような言い回しだと、ご主人様も古代遺物になりますよ」


コアさんは古代遺物でコアさんになったんだよ。

古代遺物にコアさんの魂が入って、更に僕がマスターになったからこんな感じになったんだよ。

元は遥か昔の人工ダンジョンだよ。


「そうなんだ。私のダンジョンとは全然違うから変だとは思っていたけどアーティファクトだったのね」


さて、世界の中心と呼ばれる盆地に行ってみようか。


「その前に各国の支配者に挨拶してください。ご主人様が寝ている間に色々と混乱があったので終息してください」


うわぁ、面倒。




「久しいな。お主はちょっと大人びたか?」


「屑の王様も久し振り。ちょっと力がついただけ。胸もそんなに膨らまなかった」


「じじいにそんな話しても興味はないし、お主を手込めにしようと思っただけで命が尽きるわ」


屑の王様はまだ王様している。僕との繋がりが濃いからだ。替えがきかない。跡継ぎに統治は任せていても僕は屑の王様に会いに来るからね。


「して、人類が逃げそうなほどの威圧を抱えたお主が何用じゃ?」


「世界の中心に行く。あそこにある古代遺物が生きているか確認してくる」


「生きるものが入れる土地じゃないぞ。お主なら行けるのか? あと何故古代遺物があると分かる?」


「僕の力が古代遺物産。最近分かった。世界の中心にモンスターを抑えている古代遺物の情報もその時に分かった」


「ふむ。急ぐのか?」


「分からない。それを調べに行く」


「生きて帰れ。世界経済は妖精の通り道で構築されてきておる。失うと混乱が戦争を呼ぶ。頼む」


「死にたくないから無理しない。じゃね」




基本的には屑の王様以外は用件を一方的に言うだけ。


「元気になったから、世界の中心に行く」


とだけ伝えて帰る。

誰かが四六時中いる部屋を教えてもらっているので、そこに配置で移動して用件言ったら帰る。

これで回ってるから大丈夫。


さて用事も済んだし行こうか。


「遅いので休んでください。焦っていくような場所ではないと思いますよ」


まあ切迫しているかも分からないからね。


寝よっか。


「はい♪」


がっちり繋いで寝る。おやすみ。


「…これは久し振りね。ブレないわね」


「ご主人様がご主人様である証拠ですよ。おやすみなさい」

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