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088 コアさんの抵抗

遅くなって申し訳ありません。

ダンジョンランクが9に上がって何となく分かったこと。

ランク10の条件。

それに伴って僕の人間への対応というか心情も変化していたんだと思う。


猫ちゃんはすぐに気づいてた。

僕も人間が住みはじめて何となく気づいた。

コアさんは…気づいて、抵抗していた。




条件、ダンジョン内に人間が友好的で永続的に居ること。




簡単に言えば人間が住めば良いだけ。

人間を飼うだけじゃ駄目、友好的ではないから。

だから、便利に使ってくれと妖精の通り道を適度に増やした。

なら勝手に友好的な感情で有効的に使ってくれる。


このランク10に上がる条件、結構面倒な設定だった。

地上部もダンジョンだから人間の住む街の下に作れば良いと言うものではなかった。

ダンジョンと認識し、ダンジョンに友好的で、それでもダンジョンに住む、それで漸く条件が成立する。


各国に廻っている妖精の通り道を認知させること。

友好的で有効的に利用してもらうこと。

住居の下を通っていると知っても怯えない様にすること。


妖精の通り道を作ったけど、僕はそれ以上の努力していない。

要請してきた国が勝手に宣伝してくれたから苦はなかった。

街道に沿って作ったから街を潰したわけではないしね。


各国に作った地下宮殿も役立った。

人工密集地に堂々とダンジョンを作ったのだ。

しかも利用するお偉いさんが自慢するように告知してるから認知されて尚良い。


ランク10に上がる条件はかなり満たされてきた。

で、ひとり? 抵抗するコアさん。

得られる機能も分かったから。




機能、ダンジョンマスターのダンジョン化。




肉体を失うものではない。

ダンジョンマスターの周囲が常にダンジョン同等の扱いになるだけ。

それに伴ってマスターコアとの統合が成される。


コアさんが恐れているのはどちらかの人格の消失、もしくは統合。

正確には僕の人格の消失や変化。

コアさんは消えても良いと思っている様子。


付き合い長いのに良いんじゃないの?


『否定。肉体と魂との適合率が曖昧です。マスターコアが勝る可能性を否定できません』


確かにこの女の子の体はコアさんの元の体だけどね。

相性良いでしょう。

コアさんが生き返れるよ?


『否定。望んでいません。マスターに譲渡し、満足しています』


僕も消失は嫌だけど、統合なら良いんじゃないの?


『否定。マスターの人格が変化します。承認できません』


コアさんに消えてほしくはないよ。


『感謝。その言葉で十分です。マスターは必ず残します』


過保護?


『否定。これはマスターコアの私ではなく、人間だった魂の抵抗です。マスターに会えて体が元気に動く姿で胸が一杯です。マスターからその体を奪うことは許せないのです』


頑固。


『肯定。これはマスターコアとして、私として、最後に果たす仕事です。マスターにも譲りません。体は譲ります』


分かった。

僕も考えるよ。


『感謝。よろしくお願いいたします』




ってことで、一挙両得な良い案ない?


「コアさんはご主人様が大好きですからね。コアさんを犠牲にするのも避けたいと…前みたいに出来ないのですか?」


前みたいに?


「あぁ、ドミニオンちゃんとエンシェントちゃんの時かな? あの子達はちゃんと中で仲良くしていますね。多重人格って言えば良いのかな? 時々、脳内会議で止まってる姿が可愛いの。本人は気付いてないけど表情に出るの。コロコロと表情が変わって…思い出すだけでご馳走様です。じゅるり」


あぁ、モンスター合成か。

確かに僕の想像以上に馴染んでくれて嬉しいよ。

でもあれって、僕とコアさんという上位の管理者が、下位の配下を合成する、そんな力関係があっての成功だからね。


しかも、2つの肉体と2つの魂。

合成する力関係が拮抗していたから2つの魂がどっちも押し負けなかったんだよ。

それにね、互いが受け入れ納得していたのも大きい。


ランク上昇に合わせてモンスター合成を使う問題点。


魂で言えば、コアさん消失する気満々な積極的な自殺願望。

体でいえば、合成するにも僕の元の体は弱い人間だ…そういえばまだミンチ。

力関係がごちゃごちゃでどうなるんだろう? ってのが1つ目。


誰が実行するかが2つ目

上位者である僕等の合成を制御できる力を持ったのが居るか?

ダンジョン機能に長けた2人が抜けるのだから、機能も上手に制御できないとね、って心配。


「意外と問題点が多いのですね。私達じゃモンスター合成の制御が出来ないのですか?」


流れに身を任せるなら出来る。

理想を押し付けるなら力業。

制御する力が足りないと思うよ。


「個で駄目なら数で。天使ちゃんと協力すれば?」


結論を言えば、分からない。

僕の覚醒で全ての配下の力を貰った。

僕ひとりの肉体で力は拮抗してると思う。


「ダンジョン機能ですから、貯蔵魔力を使ったらどうですか?」


それでも分が悪いと思うよ。

今の貯蔵魔力は各国に張り巡らせた妖精の通り道にも分散して貯蔵している。

一転集中するだけでも、制御できるか問題な魔力量だよ。


「なら、なら、天使ちゃんを増やせば良いです! 責任持って手取り足取り育てますから!」


制御の要員を増やすか…無理。

育成期間、機能の制御を学習する時間、その時間がない。

あとコアさんが限界でランク上がるので精一杯な感じ。


「残念です。刷り込みが出来ると…いえ! 何でもありません!」


金髪は平常だな。

僕も平常に折檻を楽しもう。

3割増しだ。


「やったね、金髪ちゃん! 私にもおこぼれ下さいね!」


「…お姉さまも平常ですね。論議がずれました、すみません」


話してて思った。

確実はないけど、皆の協力で良い方向に持っていこう。

コアさんが心配だ。


下準備は出来る限りする。

ランク上昇に合わせてのモンスター合成は配下全員で協力してもらおう。

それしかないな。


「全力で頑張ります」


「天使ちゃんと協力すれば私は全力以上が出せるわ。任せて」


コアさん、それで勘弁ね。


『…了承。私では時間内に解決策が導き出せませんでした。限界は近いです。よろしくお願いします』


先ずは下準備。


僕の元の体を変質させる。


少しでもこの体に釣り合うように。

人間の枠は越えるな…まぁまだミンチだけどね。

どんな状態になるだろう?

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