084 僕の覚醒
「「覚醒、楽しみねー」」
猫ちゃんと金髪はいらない気がするけど…
は、はい…やりますよ。
覚醒!
「んんぅ。はぁ」
「ふぁぁ。ふぅ」
どう?
見た目は違和感ないね。
「あぁ、とっても滑らかになりました。魔力の流れが特に。内に秘める力が…多分、ライトニングカイザーの成体と同等以上ですね。獣人化が体の一部の様に扱えます」
とても自然に耳や尻尾を出す。
手足は纏うと言うより同化してる。
尻尾さわさわ。
「ひゃん! ここでは止めてください。後でちゃんと付き合いますから」
はい、楽しみです。
金髪は?
「再合成でも感じたけど、それを上回る自然体ね。ごめん。永続的な精神支配を覚えちゃった。封印する?」
何気に分身がエンジェルメリーになってる。
愛が重いな。
バンパイアの羽もさわさわ。
「あんっ! 茶化さない! これってご主人様の驚異になる技能よ。謀反を企てたり天使ちゃんを奪える力よ」
配下を奪ってみる?
人形のように付き従う天使が欲しいならだけど。
「…ごめんなさい。する気は元々ないわ。自由な天使ちゃんに愛されたいの。一方的なのはもう嫌よ」
ならいいよ。
猫ちゃんは失われし獣人なのかな?
金髪はバンパイアになったのかな?
「獣人…とは違う気がします。もっと…自分で言うのも変ですが神々しい感じです」
じゃ、性愛の神獣バステトで。
「バンパイアと同じかなぁ? 私も神々しい? ちょっと違う気がするけどそんな感じ」
じゃ、幼女を操る悪魔サタナキアで。
「性愛ですか? 伝承では豊穣の方をよく言われますよ?」
「伝承じゃ将軍じゃない! そっちの方の女性を操るのはあまり語られないわよね? まぁ、天使ちゃんは好きだけど」
種族名だし気にしない。
猫ちゃんと金髪、それでいいじゃん。
それはお仕舞い、で、装備は…
『覚醒の影響で武具も一緒に成長をするようになりました。素材が成長に伴い足りなくなれば、自分の体を分け与え補う形だと分析します。欠けた部分を修復するので蘇生ほど魔力も時間もかかりません』
これで終わり…
「「ご主人様は?」」
えー、面倒…はい、やります。
覚醒するのに何故に配下が囲むの?
猫ちゃん、金髪、引っ付かなくても出来るよ?
むしろ離れて。
「隠しても無駄ですよ。ちょっと規模が大きくなるんですよね」
「天使ちゃん達も知ってるよ。生け贄が必要だって」
僕はダンジョンマスターだ。
広大なダンジョンそのものだ。
それが覚醒したら、僕の物である配下を含めて影響が出る。
やりたくないなぁ。
あ、はい、早くやれ、と。
覚醒!
…。
…。
…どのくらい経った?
『…起動。…8時間と思われます』
皆は無事?
『…魂に問題ありません。存在の半分を吸収されたため休眠しています。魔力供給を開始します』
僕は何になったと思う?
『不明』
ゆっくり悩むか。
襲撃なくて良かったよ。
『4ヵ所、守護者不在でダミーダンジョンが失われました』
ちょっと前なら困ったけど、今は余裕があるから良いだろう。
ダミーコアを食べたモンスターが急激に育ちそうだけど…。
『告。非常事態に備え魔力を集中させておきました。マスターの覚醒による魔力消費も大きく、最低限しか残っていません』
コアさん、流石に仕事が出来るね。
『ありがとうございます』
で、何時この体返そうか?
『!? 何時から?』
ちょっと前かな?
確信したのは覚醒してからかな。
『私には不要です。憑依を使っても戻れないと結論しています。いつものようにマスターコアの呼称「コアさん」でお願いします』
ごめんね、好き勝手に使って。
『否定。元気に動く体でよかったです。これからも使ってください』
ありがとう。
「終わりましたか?」
猫ちゃん、他は?
「私しか聞いていませんよ。今の話を他言することはありません。ご安心を」
金髪、猫ちゃんを騙せるようになったのは凄いが、感心しないぞ。
「私も言わないわよ。だから寝たふりで流そうとしたのに。察していて起こすのは趣味悪いわよ」
別に隠すことではないが、いつもの通りによろしく。
「「『はい』」」
我が家、連日休業状態。
僕の覚醒が終わっていなかったのだ。
配下は目を覚まし動けるようになったが、僕が存在を吸い続けてる。
回復する端から吸うので配下も辛そう。
猫ちゃんも金髪も同じ。
動けるのは僕だけ、だけど体が馴染まず動き辛い。
金髪のダンジョンだけ遠隔で改装して放置。
モンスター湧きの維持管理用ダミーダンジョンを壁と偽装して隠した。
ランク3~6のモンスターの湧き時間を調整をした。
今いる強いモンスターを倒せば、強いモンスターが少ないダンジョンになるだろう。
蘇生も効率が上がり魂の修繕していたファントムメリーも無事に起きた。
すぐに覚醒を希望し、覚醒後に僕に触れて、存在を吸われてぐったり。
皆、何故にそこまで僕に献身的なのだろうか?
装備も可笑しいほど強くなった。
魔剣は相変わらず、猫ちゃん、金髪、が主体だがちょっと配下が混ざった。
防具に至っては全配下が混ざって調整され続けている。
覚醒が終わらないと落ち着かないだろう。
更に何日か経過してようやく僕の覚醒は落ち着いた。
落ち着いてよかったよ。
しかし、配下は回復しきれていない。
そんな中、妖精の通り道を通ってきた人間の集団がやって来た。
準備できてないけど出迎えるか。
「「お供します」」
いや、休めよ。
今の僕って倒せる人間いないと思うよ?
「「お供します」」
はい。
無理しないでね。
「「はい」」