081 魂喰いダンジョンマスターとの話し合い
「何故、シルバーエイプを襲わせた?」
「知らん! 勝手に襲ったんだろうよ。制御が出来ないから放置していたんだ。育てて俺の糧にするつもりが、制御を振り切ってダンジョンを出たと思ったら、戻ってきて制御出来ないほど育っていたんだ。ほら、答えたんだ、仲間のよしみだ、見逃してやるから回復しろ!」
まぁ、予想通りだな。
他所のダンジョンは制御不能のモンスターを飼ってどうするんだろう?
なぁ、金髪。
「私は知らないわよ。うちのはコアが勝手に召喚してたんだから。もう許してよ」
金髪は許してるよ。
からかっただけ。
こっちのは許していない、シルバーエイプの後に自ら我が家に襲ってきたし。
「そっちの金髪の娘もダンジョンマスターか? なら、仲間になれるな。許してやるから早く治せ! 痛いんだよ!」
念話が出来ないのは不便だが、こいつと話すのは嫌だな。
猫ちゃ…いらない、金ぱ…いらない、皆は…いらない。
僕もこいつはいらない。
「我が家の総意だ。お前はいらない」
「なっ!? 有能な俺がいらないだと? これでもダンジョンを15階層にしてランク6モンスターも多数生息しているんだぞ! 冒険者に8階層までしか侵入を許していない凶悪なダンジョンマスターをいらないだと言うのか!」
よく喋るな、この肉団子は。
とりあえず聞きたいことを聞こうか。
どっちにしてもダンジョンは潰すけど、機能は聞いておこう。
「魂を喰う能力以外に何のダンジョン機能がある? 答えなければこのもいだ四肢を燃やす」
「ふん、治さなければ…」
1本目、左腕を焼却。
「ま、まて、再生なんて出来ないんだぞ! 繋げる腕が…」
2本目、左足を焼却。
いい臭いしないな、面白くない。
「やめろっ! モンスター召喚と魂喰いしかない!」
「モンスター召喚じゃランク6モンスターは生めないでしょ? どうやって作ったの?」
「…」
3本目、右足を焼却。
「キメラだ! 魂ごと喰うと特性すら吸収して育つ。モンスターや冒険者を魂まで喰わせたんだよ!」
「キメラって気持ち悪い? あと、シルバーエイプはキメラじゃ無いよね?」
キメラ…合成モンスター、異形が多いときく。
「ランク6までいくと原型がわからんな。それ以上は管理が難しくなる」
4本目、右腕…
「シルバーエイプは低ランクでコアが勝手に召喚したんだよ! 魂喰いをさせても異形にならないが全属性を持った化け物になった。それを俺は喰ってやろうと思っていたんだが、制御も魂喰いも受け付けないほど育った。これでいいだろ!」
焼却。
「ふざけるな! 俺の腕が…どうやって生きていけばいいんだよ!」
「なら、ふざけた魂喰いをするな! 今でも配下まで狙って喰おうとしてるだろ!」
こいつ、ちゃっかりと魂喰いを発動してやがる。
我が家が魂を保護してるから害はないが苛つく。
そういえば、シルバーエイプの魂喰いは強かったなぁ。
「っ! 気付いていたのか」
「魂が食べれない時点でそっちが気付け。あと、なにか隠してるから魂まで消滅する!」
「そしたら憑依が! …うっ」
こいつのダンジョンは魂を操るのに特化しているのか?
ちゃんとこいつのダンジョンは、しっかりと侵食してから壊さないとな。
冒険者って言ってたな、どこの国だろう?
まぁ良いや。
「じゃ、終わり。死体すら要らないから完全消滅ね」
「た、助けてくれ! ダンジョンのモンスターもやるから。見逃してくれ!」
「いらない。バイバイ」
配下を移動して隔離。
ダンジョン機能で魂を見張ったまま黒い雷撃で灰すら燃やし尽くす。
魂を固定、こちらも黒い雷撃で魔力にすらさせず燃やし尽くす。
念のためにシルバーエイプの体も魂も燃やし尽くす。
大聖堂に来ている。
『蘇生可能。告。魂の修繕に時間を要します。目安30日です』
14匹のファントムメリー、僕の油断が魂まで傷つけてしまった。
「魂喰いは初見でした。ご主人様の対応が早く、皆救われています。悔やまないで下さい」
「メリーちゃんは大丈夫だよ。魂は綺麗な色してるよ。ご主人様を恨んでなんかいないって」
あのダンジョンは許さん!
妖精の通り道から、あのダンジョンに一番近い場所にいる。
残りのランク2ダミーコアで侵食攻撃開始。
丹念に殺す。
夜も更けた、一度休もう。
「「はい」」
おはよう。
今日は作業中止にした。
余剰魔力を全て侵食攻撃に充てた。
『告。玉座の間以外の侵食に成功しました』
早いな。
金髪のダンジョンとは、マスターの有無、ダミーダンジョンのランク、使用した魔力、どれも違う。
マスターの有無が決定的に違うのだろう。
侵食は継続。
モンスターを蹴散らせながら行くよ。
猫ちゃん、金髪、おいで。
「「はい」」
広さはさほどないがモンスター多いな。
一部は共食いをするためかモンスター同士で戦ってる。
うん、ランクは1~2程度だな。
「私、いっきまーす!」
金髪か、楽するにはいいか、やれ。
「はい!」
返事と同時に獣人化で分身メリーを呼び出す。
僕等を守るように半円に展開。
「はっじめー!」
声と同時に闇魔法が周囲に放たれる。
次々と一撃で爆散するモンスター…強すぎるな。
金髪、力みすぎ。
「あはは。ちょっと気持ちが昂って…私も許せてないんです」
猫ちゃん、道中は金髪に任せるよ。
「はい。下層の敵で我慢します」
じゃ、終わったようだし降りようか。
「はい」
「駆逐します!」