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080 驚異シルバーエイプが襲ってきた(後編)

シルバーエイプは油断できない。

さらに長期戦を想定した配置にした。




ゴースト部隊の核に金髪を使う。

ダンジョン上空に全力の獣人化で分身メリーを配置し呪いを遠距離でかける。

本来近接攻撃のみの呪いを遠距離でするので、ゴースト部隊は金髪の補助、共鳴して威力の底上げで無理矢理届かせている。


肉体鈍化を基軸に、魔力鈍化、衰弱、をかけてとにかく鈍らせる。

ダンジョンの魔力供給で魔力は回復するが、気力が問題。

金髪には無理を言うが、補助は交代制。


ノーライフキングは上空の守護。

シルバーエイプを弱体させないとこちらが詰む。

守ってね。




地上はゴブリン部隊の四方を囲む配置は変化無し。

プリースト、ウィザード、ロード、支援頑張ってと変化無し。

ウォーリアが若干変化。


前面に3割、残りは後方支援。

いつでも前面やエンペラーに速度補助をかけられるようにしている。

シルバーエイプを中央に押し返す瞬間火力だ。

負担が大きいので交代制、来なければ暇だが油断できない。


エンペラーは遊撃、と言っても防御での遊撃。

固いのだ、補助魔法で強化されたエンペラーは一撃に耐える。

ゴブリン部隊への攻撃を止めて、ウォーリア達が中央に押し返す。

頑張って。




僕と猫ちゃんが火力だ。

素早さがシルバーエイプに勝り、攻撃を当てられる。

体力や魔力は、魔力供給に支援で回復できる。


長期戦、気力が勝負を分ける。

長期戦の経験的にも戦力的にも、僕と猫ちゃん以外の選択肢がなかった。

目指すはシルバーエイプの体力か魔力の枯渇。


僕等が強力な攻撃を狙うのは諸刃の剣だ。

いや、シルバーエイプの防御力を考えると分が悪い。

通常攻撃でも浅い傷を与える程度、必殺とはいかないからね。




互いを削り合う気力の勝負。

こっちは魂まで殺されるので蘇生前提の攻撃が出来ない。

初めて死を感じる戦闘だ。


僕と猫ちゃんでは、元々中央に押さえてはおけない。

動きは一撃離脱だ、だからエンペラーとノーライフが中心となり押さえる。

シルバーエイプも周りが鬱陶しいのだ。


エンペラーはウォーリアと一緒に中央に押し返してくれる。

ノーライフはシルバーエイプの跳躍を交代要因のメリーと一緒に撃ち落としてくれる。

結構…かなり…ギリギリ、でも対応できている。


膠着状態での戦闘は日暮れまで続いた。

いや、夜になっても続く予定だった。

乱入者が現れるまでは。





「猫ちゃん! 一気に畳み掛けるよ! 金髪! 最大出力で攻撃!」


「ですね。攻撃に全力を注ぎます!」


「了解! 全力を当てるから、当たらないように突っ込んでね!」


金髪が攻撃に転じる。

呪いを纏った30本の闇の槍がシルバーエイプに襲う。

分身メリーを槍に変え、ゴースト部隊の力を収束した槍だ。


今までは呪いで鈍化させる事を狙っていた。

この呪いは相手の防御を貫く槍、あらゆる抵抗を下げる。

しかも分身だが直接攻撃だ、呪いは強く働く。


どどどどどどどど…どんっ!


着弾の確認も疎かに猫ちゃんが突っ込む。

ゴブリン部隊は防御寄りの支援を攻撃威力向上に変える。

帯電した猫ちゃんが縦横無尽にシルバーエイプに爪痕を刻む。


これまでにない深い傷が刻まれていく。

刻まれ、肉が瞬時に焦げる、帯電も獣人化の爪に収束されている。

去り際の最後の一撃で顔面に強打、一瞬、シルバーエイプの五感を鈍らせる。


十分だ。

金髪の槍も、猫ちゃんの乱舞も、大した時間ではなかった。

だが、僕の準備には十分な時間だ。


魔剣・猫ちゃんの帯電、魔剣・金髪の呪い、融合した黒い雷が2本の直刀を彩る。

魔剣の超加速と気配遮断で相手に悟らせない様に一瞬で間合いを積め…


バチンッ!!!


その勢いで2本の直刀がシルバーエイプの胸を貫く。


初めての大打撃、そして終わりの一撃。


バチバチバチ…!!!


痛みに反応したシルバーエイプが動こうとしたが遅かった。

黒い雷撃が体の外と中を同時に焼く。

纏わり付き殺すまで相手を焼き尽くす呪いの雷撃。


シルバーエイプに刃を指したまま全力で魔力を注ぐ。

殺し尽くすまで。

止まるまで。




シルバーエイプが事切れて倒れ…




「はははははぁ! ご苦労様だよ。これで鬱陶しい猿が俺の糧になった。お礼に君達も喰ってやろう!」


胡散臭い男が我が家を取り巻く壁の上で叫ぶ。

シルバーエイプが動きを止めた原因で、僕等が止めに動いた要因だ。

弱ったシルバーエイプの魂を喰らったのだ。


やれ!


金髪の収束させた2本の槍が胡散臭い男の両腕を貫く。

猫ちゃんが跳躍して瞬時に間合いを積め両足を裂く。

次いでとばかりに猫ちゃんが背に回り、我が家へ蹴り入れる。


ずどんっ!


両手両足を失った丸太が横たわっている。

胡散臭い男…乱入者…シルバーエイプの魂を喰った気の…

敵のダンジョンのマスターだ。


「ぐはぁ! な…何故…? 俺は…強くなった…筈だ…」


「魂を喰らうんでしょ? 警戒する。食べれたのは一部の一部。シルバーエイプの魂はこっちにあるよ」


乱入してシルバーエイプを喰おうとした。

そのせいで弱ったシルバーエイプの注意が胡散臭い男に向き、予想外の攻撃に戸惑ったのだ。

だから短期決戦に切り替えた。


あと少しだろうとは思っていたが、最後まで同じ攻撃を繰り返し倒す予定だった。

この男が何をするか分かるまでは動きは変えれなかった。

分かれば簡単だ、対処すればいい、倒して魂を我が(ダンジョン)に魂を取り込めばいい。


実際、この男が近付いていたのは知っていた。

律儀に妖精の通り道の地上を通ってきていたのだ。

戦闘中でも動きは観察していた。


死なない程度に四肢を失った傷に止血程度の回復と魔剣・金髪の呪いをかける。


「うぐっ! がぁ! 何をしたぁ! 痛い! 痛い!」


痛覚を過敏にして魔力鈍化しただけだが、男の悲鳴は心地好くないな。

猫ちゃんや金髪はとても良い声で哭くのに。

面白くない。


呪いだから金髪の血じゃないと解きにくいよ。

そもそも四肢がなくて芋虫だ。

どうこう出来る状態じゃないが、魔法もある、油断しないようにしよう。


「さて、侵略には報復で答えるけど…良い?」


敵だ、同情はしない。

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