079 驚異シルバーエイプが襲ってきた(前編)
ダンジョン視点で妖精の通り道の地上を確認。
僕の痕跡を辿ってるね。
この速度だったら夜通し走れば朝には来るだろう。
移動速度は僕と同じくらいか?
ん? あぁ風魔法の速度上昇をかけたな。
速度は同等だと分かったがそれだけで判断はしない。
見た目は白い猿の巨人。
身長は3m位か、大きな腕を使い4足獣のように走る。
尻尾は…無いな、短いから攻撃は出来ないだろう。
戦場は屑の王様が使った妖精の通り道に繋がっているランク2の地上を使う。
ダンジョン内ではない理由はゴースト部隊の空襲が制限されるから。
地上ダンジョンは結構な高さまでダンジョンとして扱われているのは確認済み。
今回は総力で戦う。
前衛主力は、僕、猫ちゃん、エンペラー、後方主力は、金髪、ノーライフ。
混線は避けて囲う、四方をゴブリン部隊が固め、上空をゴースト部隊が押さえる。
中央まで引き付けて配置で包囲する。
主力が攻撃して、包囲は抜けないように壁になる。
ゴブリン部隊の魔法系は主力に回復と補助魔法をかける。
ゴースト部隊も基本的には対象指定の弱体系の魔法だ。
攻撃魔法では狙う必要があるから、外せば友軍誤射になる。
基本火力は主力のみだが、強化と弱体が切れず、敵を逃がさない包囲はとても優位だ。
あと、配下には悪いが新たな切り札もある。
囲う理由でもある。
配下も装備に換装している、出迎え準備は良いだろう。
強敵だ、気を引き締めてかかろう。
強敵シルバーエイプは少し休憩を挟んだので朝の明るくなった時間に来た。
急襲するわけではなく、速度を落として悠々と敵陣に歩いてきた。
対峙、一度止まるシルバーエイプ、出迎えは主力の3人と2匹。
何を語るわけでもなく、唐突に始まった殺し合い。
獣人化猫ちゃんとエンペラーが前面に、金髪とノーライフがその後方に、僕は全員に全属性のあらゆる支援魔法をかける。
シルバーエイプは光と風の支援魔法、ライトニングカイザーを喰らって風を手に入れたのか。
こちらの主力の戦術は前衛3枚による一撃離脱の波状攻撃。
シルバーエイプは強靭な腕による一撃必殺…通常の攻撃が必殺に近いな。
全配下を配置し、強化と弱体の魔法を厚くする。
数の暴力だ。
戦闘を始めて1時間位か。
倒れる気配が全くない、光の属性が主属性なのだろう、回復が早い。
何故か弱体の効き目が薄い、闇属性に耐性があるのか?
シルバーエイプが上を警戒…くっ! ファントムメリーが焦って下降している。
対象指定の弱体系の魔法は距離が離れると効果が弱くなる。
メリーが力んで近づいてしまったようだ。
ノーライフキング、メリーに上昇を…
遅かった!
シルバーエイプが腕で全力で地面を叩き跳躍…このままでは何匹かは一撃で死ぬ。
ノーライフが意図を組んで範囲の14匹に急下降を命じ、シルバーエイプに特攻する
ごめん!
「配下自爆!」
どががが…どっかーん!
シルバーエイプが近接したメリーを強制的に自爆させる。
ぐっ! 反動が痛みとなって僕を襲うがメリーの方が痛い…大丈夫、これくらい…
ん? 地面に叩きつけられたシルバーエイプが、高度を上げたメリーを見て…
『警告! 魂が…』
分かってる!
「僕のものを奪うなー!!!」
自爆したメリーの魂が吸われている!
無謀な特攻を仕掛け…いい一撃をもらってしまったが…大丈夫。
自爆したメリーの魂は大聖堂に送ることが出来た。
自爆した14匹、誰も欠けていない、魂に傷を負っているが…
「作戦を変更! 猫ちゃん、エンペラー、1分でいい、引き付けとけ!」
「了解!」
急いで我が家を改装、上階5層追加、地下1~5階はだだっ広い普通の石壁ダンジョン。
入り口を全力で開ける、やはりダンジョン範囲すべてが入り口になるな。
地下1~4階をすべて落とし穴に、これで大きな吹き抜けの空間の完成だ。
配下を一時的に全てシルバーエイプから配置で隔離。
2度目の特攻、今度は焦っていない、魔剣を操り、黒い雷撃を纏う。
魔剣・猫ちゃんの超加速、魔剣・金髪の気配遮断、引き付けている猫ちゃんとエンペラーをも置き去りにしてシルバーエイプを吹き飛ばす…僕もろとも一緒に。
「シルバーエイプは魂を喰らう! より力を振るえる我が家を戦場にする」
返事も聞かず、猫ちゃんとエンペラーを配置で我が家に飛ばす。
ゴブリン部隊も我が家に飛ばす。
あとは、シルバーエイプを誘導だ。
吹き飛ばすのに体当たりしたが、シルバーエイプとの距離が離せない…押される。
ちょっと…かなり…死ぬかなってくらい痛いだろうけど、餌になるか。
超加速で飛び上がる…うん、知ってる、お前も高く飛ぶよね。
殴られるのは覚悟済、問題は吹き飛ぶ方向だ。
出来る限りの我が家に近づくように飛び上がった。
シルバーエイプが叩き落とそうと両手を振り下ろす…合わせて飛翔で自分の位置を誘導…全力で前に防御魔法。
ドンッ!
おぉ、痛い…意識はある…空中制御は…無理だな。
叩きつけら…プリースト、ロード、防御魔法を層にして落下を軽減してくれた。
うん、動ける…動かないと、降ってきたシルバーエイプに潰される。
どがん!
あの落下で平然としているのか。
頑丈だよな。
はるか上空に金髪、ノーライフ、ゴースト部隊、配置。
「敵は魂を喰うぞ! 死ぬことは許さん。時間をかけてなぶり殺す」
さて、仕切り直しだ!