077 ごっこ遊びをしながら妖精の通り道に植樹
「おはよう。道中に変化ないけど大丈夫?」
3日半、ずっと変化が無いからね。
気が狂ってない?
「あぁ。それは仕方がないな。暇ではあるが安全なのだ。これに勝るものは無いだろう」
そっか、安全か。
確かに何も居ないからね。
「まぁ、頑張って帰ってね」
「では、進む」
朝の視察、昼の温泉、楽しく完了。
「これからどうしますか?」
面倒だけど、妖精の通り道に樹を植えとく。
屑の王様の夜営場所は植えてたけど、休憩所は終わらせておきたい。
道には魔石節約して1kmずつ植えとこうかな。
「妖精の通り道を一旦完成させるのね。コアさんと壁画を検討しているのだけど、凝り過ぎると完成の目処がたたないから難しいわ。手は抜きたくないし愛を感じる作品にしたいの」
金髪、不自然な敬語よりそっちの方がいいな。
猫ちゃんも砕けた口調でも良いよ。
「口調が砕ける時は、怒っているか酔っている時ですね。普段はこのままが良いですよ」
個人の自由でいいかな。
さて、孤独に作業するか、お供で遊びながら作業するか。
どっちがいいかな?
「お供します」
「お姉さま。私達で遊ぶのよ。何されるのか分からないまま即答は危険よ」
危険はないよ。
動けなくなったら、移動しながらの植樹作業に支障がでるよ。
せっかくの空間だし、ちょっと開放的な事をしようかなって。
「んー。行こうかな。壁画作りも場所の下見がいるからね」
じゃ、行こうか。
来たのは屑の王様の次の夜営地。
さて、ごっこ遊びをしよう。
「「ごっこ遊び?」」
ジャラジャラ、ゴトリ、パサッ。
じゃん、犯罪奴隷セット!
首輪に付ける鎖に、足枷に付ける鉄球、服は麻袋を裂いたもの。
「はい。着替えますね」
「お、お姉さま? そんなに堂々と着替えるものではないです。犯罪奴隷って物以下の畜生の扱いですよ」
うん、猫ちゃんの脱ぎっぷりと堂に入った姿に…犯罪奴隷っぽくないな。
「お姉さま! 麻袋が服の意味を為してません。これ、袋してないですよね! 麻の布の真ん中に首を通す穴だけ。お姉さま、横から色々見えます」
ちゃんとした犯罪奴隷用だよ。
屑の王様の時に手に入れた物を最適化で綺麗にしただけだよ。
ごっこ遊びでも形から入らないとね!
金髪、帰る?
「うー。着替えるわよ! 付き合うって言ったし…お風呂や寝室で着替えるより…恥ずかしい。囲うものって大切ね。…えっ? …はい、全裸で麻袋ですね。…すーすーするよぅ。うぅ」
犯罪奴隷って危険物を所持できないように裸…じゃちょっと見え過ぎるから麻袋で隠すんだよね。
うん、僕が犯罪者っぽいな。
「金髪ちゃん。お互いに畜生以下ですね」
「お姉さま…。嬉しそうですね」
猫ちゃん、素敵な笑顔だよ。
「ご主人様の所有物…いい響きです。遊びと言っていましたので酷いことされないのが残念です」
「その境地、天使ちゃんに置き換えたらイケます! ですが、天使ちゃんは汚せないので、この姿では前に出れないよ。ご主人様限定です」
2人とも案外と楽しそうだな。
ごっこ遊びだから、からかって遊ぶだけだよ。
じゃ、ゴブリン魔石を植えていこう。
「はい。植えたら良いのですね」
そう。
ちゃんと屈んで足を地面につけて丁寧に植えるんだよ。
「うぅ。この服じゃ動くと見えちゃうよ。ダンジョンだけど広い草原にこの格好は恥ずかしいよぅ」
魔石を植える、ダンジョン機能で樹を召喚、繰り返す…
んー、もう少し大きく出来ないかな?
「天井が高いですよね。3m位で成長が止まる樹ですからちょっと物足りないですね」
魔石だけじゃ駄目なのかな?
死体も入れて召喚…魔力を供給…7m位になったね。
いい感じに横にも広がった、どうかな?
「良いと思いますよ。後は夜に光れば問題は無いですね」
後付けできるかな?
先に植えた魔石のみの樹にゴブリンの魔石無しの死体を置いて…合成でいっか。
お、ちゃんと出来た。
金髪、闇魔法で暗くしてみて。
光るかも。
「了解。はぁーっとと…濃すぎた。ちょっと薄めて…あ、光ってますよ」
やっぱり、周囲が暗くなれば光るんだね。
死体と一緒に召喚したのも、死体を後から合成したのも光ってる。
両方とも襲ってこないし、大丈夫だな。
さて、先ずは1km毎に大樹を育てていこう。
歩くよー、倍速で。
で、首に繋がった鎖で僕を引っ張るんだ!
「はい。馬畜生のように引っ張ります」
「後ろから着いてくるの? うぅ、早いと服がめくれるよぅ。意地悪だ!」
うん、ふりふりと可愛い尻だ。
小道具登場!
こっちは本物じゃないよ、音だけ大きいの、痛くないよ。
そら歩けー。ぱちん! ぱちん!
「きゃ!」
「痛っ! …くない? ビックリしたけど」
音だけ大きい鞭、命中補正とダメージ軽減が付与されてる。
当たるとこんな感じの反応です。
ちょっと楽しい。
にょきにょき、ぱちんぱちん、にょきにょき、ぱちんぱちん…
「うふふ。良いですね、この遊びは。酷いのに優しいです。辱しめなのに他人の目がない、鞭撃ちでも痛くない、ご主人様らしい遊びですね」
「いや、普通に恥ずかしいよ。犯罪奴隷ってこんな扱いだっけ? いや、確かに畜生みたいな扱いっぽい気がするけど、配慮のせいで意味が分からないよ」
僕が楽しい。
それで良いのだ。
さぁ行け! ぱちん! ぱちん!
「はい、行きます! あぁ、歩くのが早すぎると首を絞めてくれます…「ぱちん!」あぁいいですよ。もっと」
「時々、お姉さまを遠くに感じるわ…「ぱちん!」痛っ…はいはいちゃんと歩きますよー。うぅ、すーすーするよぅ」
うん、これなら最後まで楽しく植樹できそうだ。
「えっ? この早さじゃ今日中に終わらないわよ。…いいわよ、ちゃんと付き合いますよ」
「あぁあ、幸せです」
にょきにょき、ぱちんぱちん、にょきにょき、ぱちんぱちん…
屑の王様が終点に着くまで昼の日課にした。