076 続・金髪の幼女への笑顔が気持ち悪いので
朝の温泉は失敗した。
温泉に付き合った配下に金髪が暴走。
好かれようと一緒に遊ぼうとするが…欲望が漏れてる。
昨日の汚れは落ちたが、汚名は更に汚れた。
逃げ惑う配下、それでも食らい付こうとする金髪。
配置で金髪をベッドに飛ばして縛って落ち着かせた。
「スライム魔道具200個は一瞬で地獄が見えます。天使ちゃんに愛されたいだけです。努力です。評価してください」
2度目の入浴(普通の風呂)で再度復活した金髪の談。
懲りていない。
先に屑の王様の朝の様子見を済まそう。
「おはよう。息詰まる?」
「ふむ。快適じゃ。これ以上は望めないし、これ以上快適な街道は思い付かん。妖精の通り道とでも名付けたいの」
金髪、良い笑顔だな…反省してない顔だ。
猫ちゃん、問題ないらしい。
コアさん、壁のデザイン考えてる…440kmあるよ?
「それ、採用。ここ妖精の通り道」
「名付け親になれたな。光栄じゃ。では進む」
「気を付けて」
昨日、屑の王様がいた場所の高さを整えてから帰った。
さくっと屑の王様の用事は済んだのだが、この金髪はどうしよう?
「徹底的に教育するしかないのでは? 昨日の折檻は欲望を浮き彫りにしただけでした」
だよね。
普通に接すれば、普通に笑顔な配下だよ。
って、教えたかっただけなんだけどな。
あの過ぎた愛情はどうにかならないか?
『否定。可愛い者を愛でるのに抑えは効きません』
コアさんに実体がなくてよかったよ。
2人も居たら…蘇生の輪廻に送るか?
まぁ、問題は金髪だけなので何とかしよう。
朝の視察を開始。
金髪がウザい!
どうにかしてなつかれようと無闇に接しようとする。
配下は逃げ、僕が殴って止める、落ち着いたら再発。
「一度手を打たないと、楽しく仕事している配下ちゃんが可哀想です」
スライム魔道具200個の地獄は直ぐに復活した。
魔道具地獄より歪んだ愛が勝っている状態か。
折檻を強くしないと勝てないのか…。
金髪より配下達のストレスが気になるな。
昼からストレスを発散させよう。
的はあるし…ね。
「はい? あ、メリーちゃーん! ぐふぉ!」
うん、僕が殴っても効果が薄いな。
使っていない妖精の住み家を一時的に改造。
すり鉢状の観客席がある闘技場。
ここで行われるのは、962対1の一方的なストレス発散。
割り切れないけど50組を用意、ダミーダンジョンの守護をしてる娘は交代で参戦。
ルールは簡単、1組15分で殺さない程度にボコる。
的の金髪は抵抗して良いと言っている、殺すのは禁止で。
「何故に!? 天使達と戦いたくないです!」
別に攻撃しなければ良い。
金髪に攻撃の意思はなくとも、こっちにはある。
今までは仲が良かったから問題にならなかったけど、今回は金髪に不満があるそうだ。
初めての喧嘩だよ。
存分に殺ってしまいなさい…殺しちゃ駄目、最後まで回すから。
死ななかったら回復できるからね。
はじめ!
「お願い! 攻撃しないで! 嫌だよ! 痛っ!」
「やめてよ! ぐっ! もう嫌!」
「痛いよ。嫌だよ。天使ちゃん、やめてよ」
「いっそ反撃を…嫌! そんなこと出来ない! うっ!」
ふむ、20組は回ったな。
反省しても全員が回るまで終わらないよ。
終わるのは深夜か…寝る必要はないから問題ないな。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」
「可愛い天使ちゃん達に意地悪してごめんなさい」
「嫌がることしないから許してください」
38組目。
心は折れたが装備が良いから、ちゃんと死ねない。
最後まで付き合え。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」
金髪はそれしか言わなくなった。
しかし伏せている訳ではない。
攻撃を受けても立って目を見て謝り続けてる。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」
攻撃をしている配下だけじゃなく、見学している配下にも謝っている。
あと、1組。
エンペラーとノーライフだ。
「ごめんなさい。嫌な思いをさせてごめんなさい」
エンペラーもノーライフも攻撃をしない。
金髪が心から詫びていると感じたのかな?
金髪の謝罪で15分が過ぎた。
深夜の温泉。
ダミーダンジョンの守護者以外は皆来ている。
僕も、猫ちゃんも、金髪も。
「嫌なことはしない。ちゃんと相手を見て、考えて、優しく愛でる。笑顔でいられるように愛する」
ぶつぶつと自分に言い聞かせている金髪。
暴走はもう無いだろう。
金髪、下ばかり見てないで前見ろ。
「ふぇ? あっ」
メリーが金髪によしよししてる。
ごめんねって言ってるぞ。
金髪、答えてあげなきゃ。
「よしよし、嬉しいよ。こちらこそ、ごめんね。もうしないよ。大丈夫だよ。ちゃんと愛してあげるからね」
うん、こっちの涙は良いな。
仲直りできた。
愛が重いが、自重出来るなら良いだろう。
「やりすぎですね。金髪ちゃんを再起不能にする気だったんですか?」
配下は本気じゃなかったよ。
やっぱり優しいんだよ。
僕の命令じゃなきゃ、攻撃をしてないね。
そういえば、エンペラーとノーライフは命令に逆らったな。
自我が強くなってる。
優しい心なら良いだろう。
「そのエンペラーちゃんとノーライフちゃんはご主人様の後ろで正座してますよ」
気にするなって言ったんだけどね。
温泉にいる間だけ反省中なんだよ。
真面目で、優しくて、強い、良い娘達だよ。
「良い娘ですね。金髪ちゃんの気持ちが分かる気がします」
浮気?
僕の愛は重いし痛いよ。
「知ってます。でも最後には優しいですよ」
飛び付きたいけど…配下の前じゃ…。
続きはベッドで。
「はい。分かりました」
金髪はどうする?
「まだ自分を押さえきれないので、お姉さまと一緒に」
じゃ、朝までいい声で泣き叫んでね。
金髪を正して、僕はそのまま…良いのか?
「「良いですよ、ご主人様」」
なら、行こうか。
「「はい」」