065 静かになった城
僕が指示したことは、
ダミーダンジョンを作るから、配下に人間を奇襲させる事。
配置は2人には自分以外をしたことないので、コアさんが遠隔で補助。
ダンジョン視点を、猫ちゃん、金髪、エンペラー、ノーライフ、に許可。
猫ちゃんはゴブリン部隊を、傍にエンペラーを呼んで指揮させる。
猫ちゃんとエンペラーの担当は城内、僕がいる部屋以外は殺す。
金髪はゴースト部隊を、傍にノーライフを呼んで指揮させる。
金髪とノーライフの担当は城外、透明化で静かにダンジョン範囲内の全てを殺す。
以上だ。
猫ちゃんは素早く伏兵を殺したようで、僕に追加はない。
良い仕事してるね。
うん、ざっと見回したが、苦もなく順調だ。
終わるまで、僕が屑の王と取り巻きの相手をしよう。
「数…ですか。誰も来ないですよ。とりあえず隔ててる結界を壊しますか?」
聞いといて何だけど、即実行。
魔剣・猫ちゃんで一閃。
呆気なく砕けた、防御甘くない?
「動くと殺す。あ、1人、動いた」
我先にと動いた屑貴族と思われる男に風魔法で首を飛ばす。
うん、皆、聞き分け良いね。
動かなくなった。
「こんな事して、国に喧嘩を売る気か!」
「おかしいですね? 国が、王が僕に喧嘩を売った。僕は買った側ですよ。結果は同じですね、対立です」
僕から売る気はなかったんだけどね。
ここまで舐められると、はいそうですかで済まさないよ。
「1人で何が出来る? 数は暴力だぞ!」
「んー。その言葉、覚えておいた方がいいですよ。屑の王にも適応されます」
「屑…だと!?」
「恩は仇で返すものではないですよ。ライトニングカイザーを必死で討ち取ったのに、自分の手柄にするんですから」
あれはやってはいけない。
猫ちゃんが命を懸けて倒したのだから。
譲れないよ。
「ふん。1人の英雄より強大な国だ。隣国で戦争が起きているんだ! 利用できるものは使うのが政治だ」
「その結果が、風前の灯、つまりこの状況ですね」
「貴様は何を待っている? ここの者達など、息をするように殺せるだろう?」
「いえ、簡単に殺しては面白くないですし、ここにいる屑の取り巻きは、国を支えているのでしょ? なら、この後を楽しまないと」
ダンジョン範囲全体の命がなくなった。
城を中心に、建物以外を全て回収する。
国庫だろうと、個人の財布だろうと、ガラクタだろうと、全て。
仕事が早いね。
人間の命は感じない、ここ以外は。
所有権は…うん、移ったね。回収っと。
僕が入ってきた扉が開く。
配下はメインダンジョンに撤収済み。
入ってきたのは、僕の奴隷、猫ちゃんと金髪。
「お待たせしました、ご主人様。遅くなりまして申し訳ございません」
「ご苦労様。もう用事はなくなったから帰ろう」
「「はい」」
回収のためだけに作ったダミーダンジョンから帰ろう…
「ま、待て。何故生かすのだ?」
「ん? 国って王がいれば成り立つのじゃないの? 僕と言う民草を蔑ろにしても良い国なんだから、立て直してね。結果は外で見てるよ」
「何を言っている? 意味が…」
「またね」
と、ダンジョンに入る。
直ぐに配置でここのコアの間に移動。
コアをランク1と差し替えて、魔力を空にする。
我が家に帰ろう。
うん。
ランク1の魔力無しでは維持できないね。
直ぐに縮小して、消滅した。
これで証拠隠滅は完了。
猫ちゃん、金髪、首尾は上々?
「城内は手応えが無い見た目だけの人間ばかりでつまらなかったとゴブリンさんからの苦情です」
戦闘狂は容姿が変わっても健在か。
「私の天使は素早く静かに仕事を完遂したわ…しました。最後は神々しく撤収させて可愛さを演出したわよ…です」
ん? 演出?
透明化で暗殺なのに演出いるか?
ちょっと、金髪、吐け!
「すみません! ごめんなさい! 調子に乗りました! 最後に呆然としてる範囲外の人間に見えるよう、透明化を解いて昇天するように浮上して撤収しました」
猫ちゃん、頭が痛い。
我が家と、関連する、情報、残した。
ファントムメリー、特殊進化、僕の、ダンジョン以外、居ない。
「金髪ちゃん。ご主人様が暴走しても防げないかも。逃げる?」
「あ…れ…? そんなに不味い? もしかして…殺されるより…危ないのかな? 私は」
「金髪ちゃん、城を殲滅したのがご主人様となると、強敵が狙う可能性があるわよ。ご主人様の望む安寧とは逆なのよ。ご主人様の生き方に真っ向から反対したの。擁護出来ない、かな」
ちょっと寝てくる。
明日、僕が、僕であったら、良いな。
おやすみ。
「あ…。私、どうなるの?」
「金髪ちゃん、殺されるだろうけど、消滅することは…ごめんなさい、言い切れないわ。ご主人様、一緒に寝ましょう」
今日は1人でいい。
ベッドは適当に用意して。
ほんと、おやすみ。
おはよう?
「どんな事でもします。ご主人様、ごめんなさい」
命乞い?
「最初はそう思いました。けど、自由がなければ生きていても死んだのと同じだと思い出しました。ご主人様の自由を汚しました。だから、ごめんなさい」
質の悪いワンピース、奴隷服で全力の土下座。
何時からしてるの?
「気がついたらしてました。足の感覚はもうありません」
んー。
良いよ、許す。
「えっ? いや、駄目です。ご主人様の人生が…」
金髪、お前も僕に人生に付き合うんだろ?
「はい。離れる事は考えてません」
じゃ、一緒に苦しもう。
まだ、狙われているわけじゃない。
工夫して、誤魔化して、自由に生きよう。
「は、はい。はい。はい。ごめんなさい」
泣くな、そんな顔の金髪は苛めても面白くない。
笑顔で終わるような1日じゃないと、僕の人生じゃない。
いや、そんな人生を送りたいな。
「微力ながら頑張ります」
猫ちゃんもそれでいい?
ってか、金髪に付き合ってたの?
「お、お姉さま? 何時から?」
「ご主人様が壊れても傍にいるためです。ちょっと予想外でした。金髪ちゃんはちゃんとご主人様に愛されたね。嬉しいよ」
猫ちゃん、金髪、落ち着くまでは不安定だから気を付けてね。
嵐の前の静けさ?
僕、自分の、心が、分からない。
「んー。壊れないけど折檻多めですかね。お城を虐殺して衝動が収まっていたのも幸いしましたね」
そっか、間が良かったのかな。
「今なら何でも来いです」
じゃ、猫ちゃん、金髪で遊ぼう。
「はい!」
「遊ぶ? 何をして?」
正座はね、固まりすぎると崩したら一時地獄を味わえるよ。
てぃ。
「きゃ! あ、足が全くゆうこと聞かない。動け…あっ」
今だよ、猫ちゃん。
つんつんっと。
「あっ! やめっ! これはっ! ひゃっ!」
「良い声で哭いてね、金髪ちゃん」
それ、つんつん。
「ひゃぁぁぁー! これっ! らめぇぇぇー!」