049 傷が多少癒えた態なので一度外に報告する
本日1回目の投稿です。
2回目の投稿は18:00予定です。
よろしくお願いいたします。
さて、弱らせるか。
「えっと。おはようございます、ご主人様。開口一番に何をおっしゃてるのですか?」
えっとね、猫ちゃん、元気。
6日前、瀕死の重症。
辻褄合わない、了解?
「人間基準だと回復が早すぎると言うことですね」
そう、だから弱って。
でも、演技じゃ無理があるからちゃんと弱らせる。
覚悟は良い?
「まぁ、ベッドに固定されてますから準備は良いと思います。覚悟決めなくてもするのでは?」
外に出るのは猫ちゃんの準備が出来上がってからかな?
服は猫ちゃんが弱っていく間に用意するから。
猫ちゃんは頑張って衰弱して。
「はい。頑張って衰弱します? 言ってて違和感がありますが、要はご主人様に身を任せれば良いのですね」
スライム魔道具改良版、闇属性追加。
今度のは怖くないよ。
弱い衰弱を付与しただけだよ。
「…ご主人様、弱くても数が…ひゃぁ!」
100個くらい慣れてないかな?
まぁいいや、ナイトメアゴーストおいでー。
ちょっと服の材料になって、いつもありがとう。
完成。
ナイトメアゴースト4の長袖ワンピース(コアさん監修で無駄に可愛い)。
効果は全て弱めに設定したけど、衰弱、恐怖、五感鈍化、痛覚刺激の4つだよ。
呪いの装備みたいだね、ね、猫ちゃん。
「…は…い?」
さっきまで叫んでたね。
だんだん弱くなっていったから良い感じに衰弱したんじゃない?
これ着て衰弱を維持しようね。
「…あ…るけ…ません。も…う…少し…」
歩けちゃダメだよ。
見た目きれい、呪いは解けた、それだけ、衰弱して身動き取れないって設定。
僕が運ぶから大丈夫だよ。
「…せけ…ん…て…い…」
大切な猫ちゃんを抱えて何が悪い!
行くよー。
「あっ! 触れ…るだけ…で、痛…みが…」
良い表情だ。
これなら大丈夫だね。
出発!
「あ、おはようございます。元気…ではないですね。お連れの奴隷はまだ回復はされてないのですか?」
「怪我、呪い、回復した。心身まではまだ回復はしていない。ギルドに行く約束だけど、兵士さんがこんなにも長く居てくれるとは思わなかった。ありがとう。どうしたら良い?」
「冒険者ギルドに同行しても良いでしょうか? 討伐記録を拝見させてもらえると、こちらは助かります」
えっと、ライトニングカイザーはある、金髪もある、コアって討伐記録に乗るのかな?
確か討伐時間までは載らなかった。
あぁ、金髪を殺したけどダンジョンが違う。
載ってるかな?
まぁ、適当に話を合わせよう。
「良いですよ。では、行きましょう」
「お連れの奴隷を運ぶのを手伝…」
「駄目! 僕のに触るな!」
「失礼しました。では行きましょう」
「お久しぶりです。討伐記録の確認に来ました」
周りが騒がしい。
ダンジョンで食ってた奴等かな?
失業状態だよね。
「おぉ、ご無事で。酷い怪我だとは聞いていました。特にお連れの奴隷は瀕死だったとか…連れ出して大丈夫なのですか?」
「連れてない方が心配。椅子借ります。猫ちゃんちょっと座ってて」
「…は…い」
さて、討伐記録を確認。
普通のとダンジョン専用のカード、両方出す。
「確認して記載してきます。口頭では人が多いので…少々時間をいただきます」
「いいよ。まだ仕事は出来ないからね」
急ぎ足で行く痩せたおじさんを見送る。
待ってる間に猫ちゃんに寄り添って、弱めの回復魔法をかけてあげる。
ちょっと気持ちいいのか、猫ちゃんから声が漏れる。
断続的にちょいちょい回復、その度に猫ちゃん小さく喘ぎ声が漏れる。
ん?
周りが静かだな?
「お待たせしました。こちらが討伐記録の写しです」
ライトニングカイザーは僕が殺ったことになってるな。
金髪は、ハーフバンパイアってちゃんとなってる、これも僕だ。
猫ちゃんは、リッチがすごい数になってる。
んー、まぁ問題ないかな。
ライトニングカイザーの止めは僕がした事にすれば良いだけだ。
矛盾はないだろう。
「これってギルドの正式な書類にできますか?」
「出来ますよ。どこからにしましょうか?」
えっと、リッチ戦からで良いかな。
ゴーストはリッチが出てからだからここだね。
猫ちゃんのも含めてお願いしよう。
「じゃ、ここから最後まで。猫ちゃんのは、ここから最後まで。お願いします。提出先はこの兵士さんです」
「多少時間がかかります。お待ちになりますか?」
兵士をちらり。
「体調がまだ優れないでしょう。私なら大丈夫です。お先に休まれてください」
了解、ぺこり。
「では、それでお願いします。これで失礼しますね」
カウンターに置いてあるカードを回収。
猫ちゃんを抱えてギルドを出てそのまま帰る。
出たら、冒険者達が騒ぎだしたようだが知らん。
「お疲れ様でした。演技とはいえ抱えてもらうのは心苦しいですね。マッサージいりますか?」
猫ちゃんのマッサージは良いけど、声が出るのが恥ずかしい。
猫ちゃんを哭かせるのが好きになりつつある主人から逃げる気は?
「無いですね。演技の瀕死以外は血の一滴も流さないじゃないですか。ご主人様にはその様な衝動があるように感じるときがありますよ」
んー、猫ちゃん知ってるのね。
ちょっと猫ちゃんが死んでからたがが外れてる感じがあるよ。
瀕死にするのに躊躇いがなかったのが、僕変わったなって思うよ。
逃げたら追いかける自信はある!
でも、逃げて! ね。
「逃げ切れる自信がないですね。常に傍にいるのですから。手を広げてもらえますか?」
? はい。
はぐっ!
「捕まりました。私はどうされちゃいますか?」
何!? この可愛い、猫ちゃんは!?
どうしたらいい? どうしよう? どうしてくれよう?
取り敢えず、抱えた。
お風呂行く?
「ゆっくり浸かりましょうね。私、逃げれませんから!」
手を首に回してくる。
猫ちゃんがとっても近い。
うん。痛みで歪む顔より、こっちの笑顔が万倍いいなぁ。
ゆっくりお風呂入って、ゆっくり食事して、首の鎖を縛って寝た。
あれ? ひとつ違う気がするけど…気のせいかな?
「ご主人様? 私で出来たブレスレットは鎖止めじゃなかったと思いますよ。いつ改造したんですか?」
勝手に形変わるよ。
猫ちゃんで猫ちゃんを縛る。
うん。縛ってないね。自縛?
「もう良いですよ。おやすみなさい」
はい。おやすみ。