047 ダンジョン攻略者
本日1回目の投稿です。
2回目の投稿は18:00予定です。
よろしくお願いいたします。
猫ちゃんが復活するまでの6日間は我が家で過ごした。
先に行ったのは、ダンジョンの置かれている状況の確認。
戦場のど真ん中にダンジョンが出来たんだから変化があると思った。
だが、今も戦争は続いてる。
地上部ダンジョン化が逆に拍車をかけた。
死者を回収したら、戦場がきれいになったからだ。
範囲外はそのままだったから、地上部ダンジョンが戦場になった。
しかも衝突が終わったら、範囲外の死体まで地上部ダンジョンに持ってくるくらいだ。
おかげで、同時に手を出したダミーコアの作成が捗る。
戦場で死んだ人間の魂を回収できるからだ。
猫ちゃんが復活するまでにランク6が1つ出来たし、お釣りはランク1にして貯めてる。
肝心のダンジョンへの侵略は無い。
正面に敵がいる状況では、交戦地帯に入れば開戦の合図なのだろう。
戦争が続く限りは安心だ。
あとはリッチの蘇生を開始したくらいかな?
ゴーストの召喚をお願いしないといけないからね。
そのくらいだ。
「ちょっと。放置はどうなの? こっちに来てから基本的に無視じゃない! いい加減に私の処遇を考えてよ。ダンジョン内は自由って、今までと変わらないじゃない!」
煩いな。
猫ちゃんと判断しようと思ったが、殺すか?
「ひっ! 殺気!? …大人しくしてる…してます、ご主人様」
奴隷にはしていない。
猫ちゃんと同列じゃないから。
それ以下だ、ダンジョンから出ようものなら殺すように配下には言ってる。
ぼちぼちだ。
猫ちゃんが生き返る。
迎えに行こう。
「ま、待って…ください。私も行く…連れてってください」
おはよう、猫ちゃん。
はい、奴隷セットだよ。
付けて。
「おはようございます。早々に飛ばしてますね。少しお待ちを。…はい、お待たせしました。裸ですけど…どうなさるんですか?」
獣人化して。
手だけでいいよ。
出来る限りの大きな手を作って。
「…はい。これで良いですか? しかし、形だけですよ。維持するのも大変です」
戦闘力はまだ回復してないからね、獣人化できるだけ十分だ。
じゃ、僕を引っ掻いて。
「「えっ?」」
ライトニングカイザー戦で無傷じゃおかしいでしょ?
これは見た目だけ装備のただのゴブリン鉄。
柔らかくしてるから引っ掻き傷をいっぱい付けて。
「偽造ですか? ご主人様を殴りたくないですが…行きますね」
かしゅ、ひしっ、しゅかっ…
このくらいで大丈夫かな?
元の装備に最適化で傷を再現して、装備っと。
体は回復魔法ってことで良いかな。
「ご主人様を攻撃するのは、気分の良いものではないです。次は私を?」
シナリオは…
先ずは、ゴメンね、猫ちゃん。
「あっ!」
どっかーん!
爆発もちゃんと再現しなきゃな、火魔法だけどいいだろう。
僕も一緒だよ。
「うぐっ!」
「ちょ、ちょっと瀕死じゃない! 何して…」
黙れ!
バンパイアの攻撃の特徴は?
「…はい。爪と牙による呪いです。私の血で解けます」
猫ちゃん、立て!
…よし、腕で防御しろ。
金髪、呪い付きで腕を引っ掻け、そして、首に噛みつけ。
猫ちゃんを殺したら、10回以上殺して殺す。
「は、はい。…っ、ごめんなさい!」
「っ!」
「牙もいきます!」
「ぁ!」
これでいい。
金髪、十分だ。
「今更だけど、本当に…えっ?」
斬っ!
呪いには血がいるんだろ?
良い血飛沫だ、僕も猫ちゃんもちゃんと浴びれた。
煩いから、一度死んどけ。
猫ちゃんにお仕置き用の質の悪いワンピースを着せて。
さて、ダンジョン攻略者を演じるか。
『ダンジョンには人間は居ません。ダンジョン入り口付近に人間が集まっています。装備が統一されています』
この国の軍かな?
ちょうど良いかもしれないし、面倒かもしれない。
勢いで抜けるしかないな。
配置で金髪のダンジョン地下1階に戻ってきた。
瀕死の猫ちゃんを横抱きで運んでる。
弱い光の回復魔法で状態を維持してる、死んじゃう程度の演出がいるからね。
外に歩いて出ると、周りが騒然とする。
瀕死の奴隷、それを抱いた冒険者、両方若い、ボロボロで血塗れ、驚くよね。
軍の代表っぽいのが近づいてきた。
「これは…どうなっている。ダンジョンから生き残ったのか?」
説明は面倒だ。
一度猫ちゃんを下ろし、マジックポーチから2つ出して地面に置く。
ライトニングカイザーの下半身の死骸と、ここのダンジョンにあった壊れたコア。
「こ、これは…」
「ライトニングカイザーは奴隷に預けていた自害用の爆裂魔道具を口に投げ込み倒した。コアは破壊した」
さっきまでダンジョンを動かしていたコア。
やっぱり気に食わないので、コアさんが綺麗にしたけど証拠品になると思って壊して持ってきた。
ライトニングカイザーは、原型がわかるのが下半身しかなかったので仕方がない。
「理解が追い付かないが、ダンジョンマスターは?」
「殺した。死骸はない。僕の奴隷に止めを刺そうとしたから、粉々に切り刻み、吹き飛ばした」
衛生兵が猫ちゃんに近づく。
「僕の猫ちゃんに触るな!!!」
「す、すみません!」
「失礼。呪いだ。触れると危ない。触れられるのはバンパイアの血を浴びた僕だけだ。僕が治療と呪いを解く。帰って良いか? 奴隷が死んでしまう」
引いてくれるとありがたい。
猫ちゃんを横抱きに抱え、光の回復魔法を弱々しく当てながら町の方に歩き出す。
代表っぽいのが、
「急ぐだろ? 馬車を出す。乗ってくれ。おい、そこの奴、幌馬車を用意しろ! すまん。…これはどうする?」
死骸と壊れたコアか。
「要らないなら持って帰るけど、要らないの? 話は後日で良いから持ってていいよ。町のギルドに伝言でもして。僕と奴隷を治したら聞きに行く」
「分かった。馬車は安全に急がせよう。おい! 護衛も3人付けろ! 馬の許可も出す! 急げ!」
「「「「はい!」」」」
「第1部隊、偵察に向かう! 準備しろ! 第2部隊…」
「こちらへ」
代表っぽいのが指示してる中、馬車が用意できたようだ。
負傷者運搬用だろう、幌馬車が用意された。
離脱完了、送ってもらおう。
静養に7日くらいもらって良いだろう。
その後でもギルドに顔出すか。